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レビュー対象商品: 1000%の建築 (単行本(ソフトカバー))
人気若手建築家である谷尻誠さんの初めての著作を手に取る。タイトルもそうだが、サブタイトルも思わせぶり。谷尻さんの建築作品と同様、楽しさにあふれた本だ。谷尻さんの作品は、多くの方は雑誌などを通してご存じであろうから、ここでは人柄と本柄?に触れる。不思議なことだが、書いたものとご本人の人格がこれほど一貫している人は、少ない。(いや建築界には特に少ない 笑) 僕は、人前で調子よく話を合わせたりするのは得意だが、実は、長年付き合っているスタッフの一部とだけにしか心を許しているような了見の狭い人間なのだ。しかし会ったとたん、谷尻さんは僕の心の中にストンと入り込んできた。エネルギーを発散しまくっている(だいたい発散しまくっている人はウザいことが多いのに)にも関わらず、嫌味なところや押しつけがましいところがなく、何ともさわやかなのだ。たぶん僕が女の子だったら、彼に恋していただろう(ちょっと気持ちの悪い文章になってきた 笑)。それほどに、谷尻誠さんとは魅力的な人物なのだ。 この本も、谷尻さんご本と同じように、ストンと心に入って来る。「勘違い」をキーワードに、釣りと凧揚げの合体から、バスケットボールのスリーポイントシュートの話やらを語るなかで、谷尻デザインの神髄をあけっぴろげに公開し、僕らをその手法の虜にする。いや手法なんて言葉すらがいやらしく聞こえるくらいに、勘違いは谷尻さんの人生とデザインのアプローチそのものなのだ。建築学生の皆さん。この本を通して谷尻さんのデザイン手法を盗もうなんて考える必要すらないのです。読めば、自然にストンとわかるのですから。(言葉に対する考え方なんて、ソシュールを無理して読むよりよっぽど記号論を理解できそうな気がする) いつの間にか「そういえば、あの時のあのアイデアがひらめいたときって、確かに勘違いだったよな」とか、「あの時はそうか、勘違いしなかったからマズったのか!」とか思っている。オノセイゲンさんが登場するあたりになると、もうどこかのレストランで谷尻さんの面白い話をオノセイゲンさんと一緒に聞いているような気すらしてきた。気が付けば、僕ももうすっかりその気になっている。明日からは勘違いでいこう!と思っている僕がいる。 しかし、僕みたいなおじさんまでその気にさせ勘違いをさせてしまう気にさせるこの本、「恐ろしい!」と書きたいところだが、谷尻さんのキャラクターが決してそうは思わせないところがさらにすごい。全然恐ろしくないのだ。喜んで、前のめりになって、気軽に勘違いしたくなってくるから不思議だ。 5年後、10年後、この勘違いが何を生んでいくのか、本当に楽しみになってきた。 |
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