カスタマーレビュー


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42 人中、35人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 世界で最高に美しい映画
ベルナルド・ベルトルッチとヴィットリオ・ストラーロのコンビが生んだ至高に美しい作品です。ワンカット、ワンカットが芸術写真のようでうっとりしてしまいます。光と影をこれほどまでに映画の雰囲気に合わせてコントロールできた監督と、撮影監督は彼らしかしかいないのではないかと思わせる程、すばらしい!映画ファンのみならず、写真や映像、美術、衣装、ヘアメイク、照明などに興味がある人には必見の作品です。とにかくレベルが違います。本物とはこういう物なんだと、目から鱗が落ちること間違いありません。
投稿日: 2005/3/6 投稿者: nico830

対
7 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0 混迷と錯誤の森。
よい映画だった。時間をおいて思い出そうとすると、ちょうど夢を思い出そうとするのに似て、あいまいなのに鮮烈な印象、前後した時間、奇妙なこだわり、おなじ顔のふたりの女、などが現れてくる。イメージに満ちているということだ。主人公の男はあまりいかさないけれども、それがかえって良いのだろう。

おつむの弱そうなジュリアがとても無垢で、彼らのなか唯一「正しい」のだ、ということを思う。暗殺の森は、混迷と錯誤の森だ。
投稿日: 2007/9/26 投稿者: null


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42 人中、35人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 世界で最高に美しい映画, 2005/3/6
ベルナルド・ベルトルッチとヴィットリオ・ストラーロのコンビが生んだ至高に美しい作品です。ワンカット、ワンカットが芸術写真のようでうっとりしてしまいます。光と影をこれほどまでに映画の雰囲気に合わせてコントロールできた監督と、撮影監督は彼らしかしかいないのではないかと思わせる程、すばらしい!映画ファンのみならず、写真や映像、美術、衣装、ヘアメイク、照明などに興味がある人には必見の作品です。とにかくレベルが違います。本物とはこういう物なんだと、目から鱗が落ちること間違いありません。
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31 人中、25人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 早く再販してください, 2005/11/7
Amazon.co.jpで購入済み(詳細)
名作中の名作です。まず、映像が素晴らしい!いかにもヨーロッパの濃厚さが画面全体に出てます。シーン一つ一つも絵画のような美しさで、忘れられません。ドミニク・サンダの女同士がタンゴを踊るシーン。森の中の暗殺のシーン。ベルナルド・ベルトリッチのイタリア映画の傑作のひとつといっていいと思います。内容も少年時代に殺人を犯した男が普通の男として生きるために結婚し、時代の波に逆らわずファシズムに身を投じていきます。男の抑えられた不安、凶器が見事に映像化されています。
強くDVD化を希望します。
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41 人中、32人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 映画の美と奥深さを感じさせる傑作, 2005/11/24
 私にとっての、ベルトリッチの最高傑作です。映像の美しさ、役者陣の個性の豊かさ、全体を流れるゴージャスさ。これは、爛熟し、退廃の際にあるヨーロッパそのものの美しさと言えるかもしれません。ドミニク・サンダとテファニア・サンドレッリの2人の女優の存在感の見事さ。これぞ映画女優!こんな女優さん、最近はとんと見られませんわ。暗殺シーンで、ドミニク・サンダが、助けを求めて自動車の窓を叩くときにはめている革手袋の哀しさと美しさ。もう10回以上見ていますが、見る度にどんな細部のシーンにも刺激と満足感を味わえます。ストーリーだけを追う人には、この映画の本物の素晴らしさはわからないかも。この作品は、映画好きへのチェックシートとしても使わせていただいています。この映画が好きという人とは、きっと話が合うと信じています。
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6 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 ベルトルッチ!ストラーロ!, 2011/10/16
By 
hide-bon (名古屋市) - レビューをすべて見る
(トップ500レビュアー)   
ベルナルド・ベルトルッチは、「ラストエンペラー」以後、オスカー監督として広く名声を受け、ハリウッド資本で映画を連発し、多くの映画ファンにその名を浸透させたと記憶しているが、ベルトルッチの真髄と凄みは、飽くまでもイタリア時代の諸作品でこそ窺えるものだと思っている。

今作の舞台は、30年代イタリア、ファシズムの道まっしぐらに国が突き進んでいた時代。これは、主人公は、幼少期に犯された男性を殺害し、以来体制順応な道を選ぶ事で普通の市民になれるとの強迫観念に駆られ、ファシストになろうとする男の物語。
映画は、主人公が、暗殺現場に秘密警察員と向かうシーンから、主人公の過去を辿る構成で進められる。
つまり、時系列を時折崩しながら、主人公の内面を掘り下げる人間ドラマと政治的サスペンス、それに第二次大戦前夜の暗黒と頽廃的ムードでの男女の愛欲の情念を交え、全編官能が煮えたぎる中で、この数奇な物語は展開するのだ。

ベルトルッチと盟友ヴィトリオ・ストラーロ、果たしてどれほどの映画ファンがこのふたりの顔ぶれに心ときめき、眩惑、陶酔された事だろう。
ストラーロは、今作を熱愛するフランシス・F・コッポラに請われ、「地獄の黙示録」や「ワン・フロム・ザ・ハート」の撮影監督を引き受け、また、ウォーレン・ベイティの「レッズ」や「ディック・トレイシー」でも光と影の魔術師ぶりを遺憾なく発揮させ、我々を唸らせたが、やっぱり、ベルドルッチとのコンビネーションこそ最高無比だと確信する。

イタリアでのまるで主人公の心の荒涼感をえぐり出したかの如き白を基調とした背景色と、パリでの一転自由と解放を象徴するような青を基調とした背景色。
時にフィクス、時に大胆に動くカメラから注がれる視点は鋭利かつ冷徹この上ないが、それでいて、頽廃にして官能的な空気が蔓延しているのだ。
構図とライティングがクールに決まり、長回しに細かなカット割りが効果的にインサートされる。
ワンショット毎に映像の力、美しさがみなぎっているが、同時に、心わななくようなエロティシズムに酔わされる。

そして今作は、ふたりの美しく素晴らしい女優を見つめ続ける映画でもある。
ドミニク・サンダとステファニア・サンドレッリ。当時サンダ19歳、サンドレッリ24歳。
ふたりが舞踏会で踊るダンスは、映画史に残る溜め息ものの美しさであったと思う。
サンダは、今作出演後、ベルトルッチの次作「ラスト・タンゴ・イン・パリ」に主演する予定だったと言う。残念ながら、それは果たせなかったが、もし実現していたら、その後のサンダの女優人生も変わっていたかも知れない。

今作には、有名な逸話が多いが、ふたつだけ紹介する。
劇中出てくる主人公が暗殺を命じられて近づく反ファシズムの大学教授の自宅の電話番号は、当時のJ.L.ゴダールの自宅のそれだったと言う。
ベルトルッチにとって、ゴダールは映画の父的存在で、これが初期のベルドルッチ映画のキーワードとなる父親殺しに繋がっていくとの見方がよくされている。
それと、何かで読んだんだけど、今作は初公開時はCICが配給し、「ミネソタ強盗団」との2本立てにてスプラッシュ上映されたらしいとの事。
何か、名画座でもブッキングさせないような2本立てだし、この傑作が僅か2週間の限定公開だったと言うのも、何とも先見の明がない話だと思う。

因みに、72年度に日本公開されていた外国映画は、「ゴッドファーザー」、「時計じかけのオレンジ」、「ダーティハリー」、「わらの犬」、「恋人たちの曲・悲愴」、「フレンチコネクション」、「恐怖のメロディ」、「脱出」、「早春」に「ラストショー」。偉大なフィルムメイカーたちのキラ星の如き傑作たちが並ぶ極めて歴史に残る豊饒な年だったと痛感する。
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7 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 目の眩むような官能的な映像美, 2008/2/11
モラヴィア×ベルトルッチという20世紀のイタリアを代表する作家と映画監督の夢のようなコラボレーション。
アルベルト・モラヴィアの作品は『倦怠』『深層生活』『金曜日の別荘』など様々な監督が映画化していますが、性を磁場にした退廃性のせいかポルノグラフィー的な解釈をされたものも多く、唯一原作の品格を損なわずに最高の状態で映画化されたと思うのがこの『暗殺の森』です。
流麗なカメラワークにドラマチックでありながら行き過ぎない演出、素晴らしいセットと衣装、そしてフランスを代表する映画音楽家ジョルジュ・ドルリューによるオリジナルスコア・・・一切が手抜きなく、ヨーロッパらしい映像芸術の醍醐味を感じさせてくれます。
好対照な魅力で光を放つドミニク・サンダとステファニア・サンドレッリという華やかな女優陣に対し、内省的でインテリジェントなイメージのジャン・ルイ・トラティニアンという配役もいいですね。性倒錯者の役でちらっと顔を出すフランスの個性派俳優ピエール・クレマンティ(『昼顔』『豚小屋』etc.)も素敵!
有名なタンゴのシーンの他どこをとってもフォトジェニックで、古いモード雑誌でも眺めるようなお洒落さも感じます。
ファシスト政権に弾圧を受けた作家が書いたイタリアの現代史ともダブるストーリーですが、たとえ政治色の強いストーリーに共感できなくとも、映像だけでも十分に楽しめるところは監督の優れた手腕じゃないでしょうか。
ベルトルッチは『ラストエンペラー』あたりから個性に乏しくグローバル化し、残念ながら私にはもはや興味のない監督になってしまいましたが、'70年代頃の様式的で耽美で感傷的な作品の数々は彼らしくて大好きです。感情表現の激しさと豊かさはラテンの気質ならでは。ファッションやデコレーションに対する美意識の高さもイタリア人らしいと思います。
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7 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0 混迷と錯誤の森。, 2007/9/26
よい映画だった。時間をおいて思い出そうとすると、ちょうど夢を思い出そうとするのに似て、あいまいなのに鮮烈な印象、前後した時間、奇妙なこだわり、おなじ顔のふたりの女、などが現れてくる。イメージに満ちているということだ。主人公の男はあまりいかさないけれども、それがかえって良いのだろう。

おつむの弱そうなジュリアがとても無垢で、彼らのなか唯一「正しい」のだ、ということを思う。暗殺の森は、混迷と錯誤の森だ。
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10 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 人間の光と影・体制順応者(Conformist), 2007/10/1
By 
荒野の狼 (アメリカ ルイジアナ州シュリーブポート) - レビューをすべて見る
(トップ500レビュアー)   
アメリカでは公開時にカットされた視覚不自由者達の結婚祝賀会のシーンの5分間が後に復元された経緯がある。カットバックシーンが錯綜しているので、一度見た時点で全てを理解するのは困難で、二度目を見るなり、ベルトルッチ監督のインタビューを見るなりすると味の出てくる映画。ドミニク・サンダが同性愛の傾向のある教授夫人を演じているが、サンダは監督がデートリッヒやガルボの雰囲気を持つ逸材として採用しただけあって、デートリッヒ風に煙草を吸ったり、女性を誘惑するシーンは男女の性を超越した美しさをみせる。原題はIl Conformista/The Conformist(体制に従う人)。ムッソリーニ時代の同性愛の傾向のあるイタリア人ジャン・ルイ・トランティニャンが主人公で、この場合“体制”はファシズムとheterosexual。主人公は、自らが他人と異なることを嫌い体制に迎合していく。プラトンの“国家”の第7巻の冒頭にある‘洞窟の比喩’が引用されており、光と影、人間の二面性といったことがテーマ。たとえ一時期“体制”であっても、影(偽り)は光(真実・イデア)に直面することで消え去ることの比喩が、見事に光と影を使った映像美で数秒のうちに表現されるシーンは必見。時代背景と舞台がパリということで、自らに当てはめて映画を見る日本人は少ないかもしれないが、日本人は体制に従う傾向があり、事実、日本も戦時中はファシストに組し、特効警察はこの映画に描かれているものに近い。最近では、横綱朝青龍のマスコミ総出の理不尽な非難に、体制に迎合した作家や芸能人が組したことが思い出される。この映画の鑑賞後の後味は重く暗いので、美しいエンタテインメントを映画に期待する人には不向き。ジュリアス・シーザーをイメージした暗殺シーンは陰惨で、サンダとサンドレッリのヌードシーンもあり(性描写はきわめて穏当)、鑑賞は中学生以上が適当(アメリカではR指定)。
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15 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 画質について, 2012/6/23
レビュー対象商品: 暗殺の森 Blu-ray (Blu-ray)
シーン毎にばらつきがありますが、ストラーロ監修だけあって、各シークエンスの色の出し方等、流石ブルーレイと唸らされます!
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12 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 陶酔の映像, 2012/6/26
By 
響子 - レビューをすべて見る
(VINEメンバー)    (トップ10レビュアー)    (殿堂入りレビュアー)   
Amazon.co.jpで購入済み(詳細)
レビュー対象商品: 暗殺の森 [DVD] (DVD)
本作の初見は20年以上前、記憶に強く残っていたシーンは、D・サンダとS・サンドレッリが踊るタンゴでした。
赤・白の色彩で縁取られたダンスホールの窓から差し込む青ざめた光の中、アール・デコ風のモノ・トーンのドレスで身を包んだ二人の女優が美しく、妖しく官能的な映像美に酔いしれました。
当時若干19歳とは思えないD・サンダの美貌と、成熟した女性の香りは驚くべきものがあります。
もう一人のヒロイン、S・サンドレッリの退廃的な美貌も魅力的でした。
DVDパッケージにも使われた名シーンは必見。
その他にも、赤・青・白の象徴的な色彩を使い、窓枠などの直線的なラインで切り取られたシーンの数々は、美しいステンドグラスや、光と影の魔術師・天才画家カラヴァッジョの絵画を見ているようでした。

ヒトラー同様、ムッソリーニが熱を入れたローマ市内のファシズム建築が、劇中効果的に舞台背景として取り入れられています。
コンクリート・鉄・大理石という冷たい素材を用い、曲線のフォルムを極力排した直線的・幾何学的な建造物を背景に撮影された映像が多く、当時のファシスト政権下のイタリアを覆った無機質で冷たい灰色の空気を濃厚に感じられました。

マルチェッロが愛してもいない女(S・サンドレッリ)と結婚式を挙げる直前、教会で懺悔しますが、その時に彼が「人と同じでありたい」と順応主義者になった重要な動機が語られて、大変興味深いものです。
「教会では(人の命を奪う罪よりも)同性を愛することの方が罪らしい」という台詞が重要な鍵にも思えました。
登場人物達は、卑劣で退廃的で感情移入できる人物がいない点が特徴で、ファシスト政権下で保身に走った中産階級・富裕層、知識層の立ち位置が、うっすらと見えてくるのかもしれません。
主役のマルチェッロを見ていたら、なんとなく「ラストエンペラー」の溥儀を想起しました。
この当時マルチェッロだけが卑劣な順応主義者ではなかったことが、ムッソリーニ失脚後の民衆の行動で表現されています。
解説によると、ラストは原作とは大きく異なるとのこと。

原作はモラヴィアの「孤独な青年」(原題は「同調(順応)主義者」。
DVDの付録冊子は、読みごたえがあり、あらすじ、作品解説、監督インタビュー記事等、大変興味深いものでした。
当初のキャスティング構想、有名な「ゴダールの電話番号」の件、原作とは異なる部分についても解説されています。
特典映像は「暗殺の森」「フェリーニの道化師」「ロベレ将軍」の予告編とフォトギャラリー。
本作が日本で初公開された時は、ベルトルッチは日本ではまだ無名、二本立て扱いで不入りだったとのこと。後に名画座で上映されて本作とD・サンダの人気に火がついたというカルト・ムービーです。
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41 人中、27人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 ベルトルッチ!、ストラーロ!, 2012/4/16
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hide-bon (名古屋市) - レビューをすべて見る
(トップ500レビュアー)   
Amazon.co.jpで購入済み(詳細)
レビュー対象商品: 暗殺の森 Blu-ray (Blu-ray)
ベルナルド・ベルトルッチは、「ラストエンペラー」以後、オスカー監督として広く名声を受け、ハリウッド資本で映画を連発し、多くの映画ファンにその名を浸透させたと記憶しているが、ベルトルッチの真髄と凄みは、飽くまでもイタリア時代の諸作品でこそ窺えるものだと思っている。
今回、そのイタリア時代の作品群の中でも極め付きの傑作2本が同時に初BD化される。
とにもかくにもこれはめでたい。、思わず快哉を叫んでしまった。
これで、後は、ケン・ラッセルの「恋する女たち」から「狂えるメサイア」まで続く初期の傑作群が国内DVD化されれば望外の喜びなんだけど、それはさておき、以下は旧DVD版のレビューを修正したものである事をお断りしておく。

今作の舞台は、30年代イタリア、ファシズムの道まっしぐらに国が突き進んでいた時代。これは、幼少期に犯された男を殺害し、以来体制順応な道を選ぶ事で普通の市民になれるとの強迫観念に駆られ、ファシストになろうとする男の物語だ。
映画は、主人公が、反ファシズムの大学教授を暗殺する現場に秘密警察員と向かう車中のシーンから始まり、主人公の過去を辿る構成で進められる。
つまり、時系列を時折崩しながら、主人公の内面を掘り下げる人間ドラマと政治的サスペンス、それに第二次世界大戦前夜の暗黒と頽廃的ムードでの男女の愛欲の情念を交え、全編官能が煮えたぎる中で、この数奇な物語は展開するのだ。

ベルトルッチと盟友ヴィトリオ・ストラーロ。果たしてどれほどの映画ファンがこのふたりの顔ぶれに心ときめき、眩惑、陶酔させられた事だろう。
ストラーロは、今作を熱愛するフランシス・F・コッポラに請われ、「地獄の黙示録」や「ワン・フロム・ザ・ハート」の撮影監督を引き受け、また、ウォーレン・ベイティの「レッズ」や「ディック・トレーシー」でも光と影の魔術師ぶりを遺憾なく発揮させ、我々を唸らせたが、やっぱり、ベルトルッチとのコンビネーションこそが最高無比であると確信する。
イタリアのまるで主人公の心の荒涼感をえぐり出したかの如き白を基調とした背景色と、パリでの一転自由と解放を象徴するような青を基調とした背景色。
時にフィクス、時に大胆に動くカメラ・アイから注がれる視点は鋭利かつ冷徹、それでいて、頽廃にして官能的な空気が蔓延しているのだ。
構図とライティングがクールに決まり、長回しに細かなカット割りが効果的にインサートされる。
暗殺者から追われ、ドミニク・サンダが逃げ惑う冷涼で霧がかった森。
ジャン・ルイ・トランティニャンの実家の庭で風に舞う落ち葉。
そして、サンダとステファニア・サンドレッリが舞踏会で踊る妖艶なダンス。
本当に、ワンショット毎に映像の力、美しさがみなぎっているし、同時に心わななくようなエロティシズムに酔わされる。

主演の3人も素晴らしい。
今作のトランティニャンは、ある意味時代に翻弄された狂言回し的役割だが、倒錯的で暗鬱な雰囲気をは放ちながらも、逡巡と脆弱さが垣間見えるような人物像を巧みに演じている。
そして、彼を取り巻くふたりの美女。
時に、サンダ19歳、サンドレッリ24歳。
今作と、「1900年」でのふたりは本当に美しい。
特にサンダは、今作出演後、ベルトルッチの次回作「ラスト・タンゴ・イン・パリ」に主演する予定だったと言う。残念ながらそれは叶わなかったが、もし実現していたら、その後の彼女の女優人生も変わっていたかもしれない。
そう言えば、丁度、同時期、ルキノ・ヴィスコンティも同じくファシズム隆盛期のブルジョワ階級の人々を描いた「地獄に堕ちた勇者ども」を発表しているが、ベルトルッチもヴィスコンティもイタリア人にしてコミュニスト。「地獄に堕ちた勇者ども」に抜擢されたシャーロット・ランプリングも当時19歳だった事を考えると、何だか奇妙な符合を感じる。

個人的には、ベルトルッチ最高のカルト・ムービーであると思う今作だが、日本初公開時はCICが配給し、「ミネソタ大強盗団」とのスプラッシュ2本立て上映であったらしい。
名画座でもブッキングさせないような組み合わせだが、この傑作が僅か2週間の限定公開だったと言うのも、何とも先見の明がない話である。
因みに、72年に日本公開されていた外国映画は、「ゴッドファーザー」、「時計じかけのオレンジ」、「ダーティハリー」、「わらの犬」、「恋人たちの曲・悲愴」、「フェリーニのローマ」、「フレンチ・コネクション」、「恐怖のメロディ」、「早春」、「脱出」、「キャバレー」、「愛の狩人」に「ラストショー」。
偉大なフィルム・メイカーたちのキラ星の如き傑作たちが並ぶ正に歴史に残る豊饒な豊作な1年だったと実感する。
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