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6レビュー
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19 人中、18人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
抑圧されし者の走る先に、待つものは・・・,
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西部劇好きの筆者にとって、久しぶりのニューシネマ・ウェスタン鑑賞。しかも名品。これまた色々な事を考えさせられる作品だった。出稼ぎから帰ったインディアンのウィリー・ボーイ(ロバート・ブレイク)は、故郷で待つローラ(キャサリン・ロス)にプロポーズをするつもりだった。しかし、ローラの父は断固反対。撃ち殺す事も辞さないローラの父は密会の場に乱入し、ウィリーは反射的にライフルを奪い、誤ってローラの父を射殺してしまう。 逃避行へ奔る二人。ローラに目をかけていた熱心なインディアン監督官のリズ(スーザン・クラーク)は、保安官補のクリストファー・クーパー(ロバート・レッドフォード)に、ローラを連れ戻すように頼み、追跡隊が編成される。が、地方遊説のために訪れる大統領護衛の任があったクーパーは、追跡隊から外れて町に戻る。やがて、山の中に立てこもったウィリーが威嚇で放った弾丸がきっかけで、銃撃戦に発展。大統領が地方遊説で訪れていた町では、事実が誇張され、200人のインディアンが反乱を起こしたと報じられてしまう。追跡隊に加わっていた父の旧友が撃たれたと聞いて、クーパー保安官補は再びウィリーの追跡に向かうのだが・・・。 1909年、アメリカで実際に起こったインディアン青年による事件を題材に、アメリカの恥部を鋭くえぐった問題作。ハリー・ロートンの原作を、監督のエイブラハム・ポロンスキー自らが脚色。 ウィリー・ボーイを演じるロバート・ブレイクは、『冷血』('67)の殺人犯役が注目され、本作に抜擢。差別に苦渋を嘗め、逃避行に走る寡黙なインディアン青年を静かに熱演。 筆者のお気に入りは、キャサリン・ロスが、ガングロメイクでインディアンのヒロインを体当たりで演技している事。やや美人すぎるきらいはあるが、不思議とインディアン娘に見えるのだ(笑)。ロバート・ブレイクがあまり感情を露わにしない分、キャサリン・ロスの人間臭い演技が追われる者への共感を呼ぶ。 そして、ロバート・レッドフォードは相変わらずの飄々としたキャラクターで追跡者を演じる。 この映画が日本で公開された'70年当時のパンフレットを閲覧することができたのだが、映画評論家の品田雄吉氏がこんな文を寄稿している。 【最近のアメリカ映画には、よそ向きのアメリカの顔ではなく、いつわりのないアメリカの素顔をさらけ出した作品が多く見られるようになってきた。近頃のアメリカ映画が良くなっているというのは、まさにそこに理由があるのだと思う。(中略)追う者の側からこの事件を描けば、“正義”が立証され、強調される。逆の立場から見れば、あやまれる正義への告発になる。が、この映画は、そのどちらにも立とうとはしない。その両方を共に客観的に見つめ続ける。だから、この作品は、単純幼稚な正義礼賛映画ではもちろんないばかりか、権力に対する単純で性急な告発の映画でもなく、より深い人間的な感動をもたらす佳作になりえているのである】 ちょっと長くなってしまったが、注目したいのは、「アメリカン・ニューシネマ」という言葉が使われていないことだ。「ニューシネマ」という言葉が、いつ、誰によって初めて使われた言葉か不勉強のため判らないが、それはもう少し後になってこの時代をふり返った時に生まれた言葉なのだろう。まさにこの瞬間、新しい映画の波が次々と生まれ、アメリカ映画に何かが起こりつつあるということが生々しく伝わってくる文章だ。 もうひとつ、筆者が面食らったのは、公開当時のパンフの中でインディアンのことを「土人」と表現していることである。当時、アフロ系に限らず先住民族は十把ひとからげに「土人」と呼ばれていたのだ・・・。遠くアメリカから離れた日本ですらこんな時代だった訳だから、こうした「ニューシネマ」のムーブメントがいかに鮮烈で、型破りなものだったのかが判る。 監督・脚本はエイブラハム・ポロンスキー。本作2作目にして59歳というが、遅咲きではない。デビューは'48年で、本作は'69年。なぜ21年ものブランクがあるのかというと、赤狩りでハリウッドを追われ、変名でTVや映画の脚本を書いていたのだ。脚本家としての代表作に『刑事マディガン』などがあり、仏カイエ・デュ・シネマ誌にも、アメリカの一流脚本家として評価されたほどの手腕の持ち主だ。 「この作品はインディアンを描いたものではない。私自身を描いたものである」 ポロンスキーはそう語る。この映画でのウィリーは、ポロンスキーの分身でもあるのだ。 前述の品田氏のコメントに通じるのだが、筆者がこの映画を観ていて感じたのは、いわゆるアメリカン・ニューシネマが持つ「怒りの告発」的な色合いよりも、アメリカの病巣を冷静に見つめるかのような、静かで穏やかな印象すら受ける演出である。 この映画には、様々なタイプの人間が登場する。ウィリーは、自分たちを差別する白人を嫌悪し、信用していない。「牢屋は、白人を入れるために作ったものだ。俺が入れられるのはご免だ」 しかしローラは、インディアン監督官のリズと親しく、白人には信頼できる人たちもいると考えている。監督官で女医のリズは、インディアンの理解者のように見えるが、白人の価値観でインディアンを教育しようとしているようにも見える。追跡隊の中にも、インディアンをあからさまに差別する者、一方でウィリーと同じ牧場で働いていて、彼を理解している青年もいる。特ダネをものにしようとする新聞記者は、事実を大幅に誇張して報道する。レッドフォード演じる保安官補のクーパーは、差別意識など全くない飄々とした人物に見えるが、父の旧友が撃たれたと聞くや、形相を変え再びウィリーを追う。 「善」「悪」という単純な目線で人物を描いていないのだ。そして人間は、置かれた状況によって、いかようにも変貌してしまうことが判る。赤狩りで、長い不遇の時代を余儀なくされたポロンスキーが見たアメリカ社会の歪みと、人間という生き物が抱える矛盾。その縮図ともいえるのがこの映画ではないだろうか。「西部劇」という小さなくくりで語るべきではない、優れたニューシネマ作品としてもっと再評価されるべき映画だと思うのだ。 名カメラマン、コンラッド・ホールによる、美しい陽光を捉えた撮影も素晴らしい。『明日に向って撃て!』('69)と同年に製作されているというのも興味深い。 本作の元になったのは、20世紀初頭にパイユート族のインディアン青年が起こした事件。カリフォルニア州パーム・キャニオンからルービー・マウンテンに至る500マイル以上に亘って追跡行が繰り広げられ、クライマックスの舞台となったルービー・マウンテンにはウィリーの碑があり、「大西部最後のマンハント」と記されているという。ウィリーの物語は伝説となり、インディアンの間には、白人たちが伝えるものとは違うバージョンの結末があるという。 尚、筆者はDVDの方を購入したが、画質はとても良い。パッケージに記載されていないが、おそらくニュープリントか、そうでなければソフト製作会社がレストアしたものと思われ、明るさや色なども美しい。文句なし。 最近アメリカで主流になってきているオンデマンドDVDは、コストを削減するためこうしたレストア作業をしていなく、フィルムのプリント状態がいまひとつ良くないものが大半で、それをそのまま転用する日本のソフトも必然的に画質が良くないケースが多い。 なので、こうしたメーカーの愛がこもったソフトに出逢えると嬉しくなる。ありがとうございます。
9 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
インディアン差別問題に迫ったヒューマン・ドラマです。,
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この映画は相当険しい異質な問題作と思います。戦後時代の殺伐なインディアン問題を訴えているのも推薦したいです。
5 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
アメリカの病巣を鋭くえぐったポロンスキーの秀作,
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この作品西部劇の範疇に入れて良いのか微妙な年代設定だ。1909年のインディアンの居留区で起きた事件が元になっているからだ。すでに自動車が走る20世紀初頭のアメリカが舞台。ウィリー・ボーイ(ロバート・ブレイク)が恋人のローラ(キャサリン・ロス)と結婚する為に戻ってきたが、彼らの結婚を認めないローラの父親を誤って射殺してしまう。これだけなら、インディアンの世界の事件だが、ウィリー・ボーイとローラの逃避行の途中で白人の追手を撃ってしまう。このことが、白人のインディアンに対する復讐心をかきたててしまう。マイノリティに対する白人の執念のようなものが赤裸々に描かれているところが、赤狩りでほされたエイブラハム・ポロンスキーらしさか。逃げるウィリー・ボーイと共鳴する部分を持つ追手の保安官(ロバート・レッドフォード)もなかなか良い。当時、既に人気沸騰中の彼が、単なる正義の保安官でなく、インディアン居留区の監督官である女医(スーザン・クラーク)に迫るシーンや彼女との時間に溺れていたことから事件が大きくなったことに対する後悔等、生身の人間臭さがある。自分を追い詰めるストイックな部分がふたりの共通点なのかもしれない。 そして、衝撃の結末を迎えた後、保安官の取った行動はまさにウィリー・ボーイに対する敬意の表れか。彼に抗議する白人に対して「土産ものは売り切れだ」と吐き捨てるシーンが何ともいえない。 邦題通り、とにかく荒野を走りまくりロバート・ブレイクとキャサリン・ロスにはびっくりさせられる。チョット気になるのは、キャサリン・ロスがインディアン役からか黒く塗り過ぎところ。 でも、デイブ・クルージンの抑えた音楽も渋くて最高だし、全体的に抑えた演出が冴えるポロンスキーの秀作だ。
5つ星のうち 5.0
very good!,
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1970年代ムービーに光りあれ!!できることならブルーレイ化を期待したい。
5つ星のうち 3.0
「明日に向かって撃て」のような甘チャンドラマではなく、辛口な西部劇だが盛り上がりに全く欠ける,
By スレイブデイトン (大阪府) - レビューをすべて見る
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赤狩りでハリウッドから追放されたエイブラハム・ポロンスキー監督が21年ぶりに監督復帰を果たしたアメリカン・ニューシネマ西部劇。自動車が走ったりしているシーンや冒頭ロバート・ブレイクの着用している服装などを見ていると、西部劇と言うカテゴリーに含めるのにはやや微妙な年代の物語。 玄人筋もしくは玄人もどきから異様に評価の高い作品であり、だからと言って私のような映画を純粋に楽しむミーハーも共鳴するかと言ったら大違いの典型的作品である。 観る人の感性にも因るのだろうが、今作を問題作として語るのは理解できる。しかし名品、秀作と持ち上げるのには些か疑問を感じる。 淡々と静かに進行するドラマがリアリズムを強調し、如何にもと言う雰囲気を漂わせているのかもしれないが、私には唯々退屈なだけであった。 ユニヴァーサルの文字とクルクル回る地球が映される前に『1909年の夏、パイユート族の若者ウィリーが起こした事件はひとつの歴史となった。それはカリフォルニアの荒野で起こった』 と言う何やら仰々しい説明書きがスクリーンに映し出されます。 全く知識無しで観た私にはどうやら実話なんだと解りますが、この映画が描いているドラマだけに焦点を当てれば歴史的大事件とは到底思えません。 ネイティヴ・アメリカンの青年ウィリー・ボーイ(ロバート・ブレイク)が年に一度の祭りの為故郷の居留地に帰ってきます。 ウィリーには恋人ローラ(キャサリン・ロス)がいるのですが、以前2人で駆け落ちした事でローラの父親から関係を反対されており、堂々と逢う事が出来ません。 その日の夜2人は森でこっそりと会いますが、そこへ銃を持った父親が現れます。ウィリーは銃を奪うと反射的に引き金を引いてしまい父親を撃ち殺してしまいます。 ローラを連れて逃避行を余儀なくされたウィリーを保安官クーパー(ロバート・レッドフォード)が追手を集めて追跡すると言うのが物語の本筋です。 ここまで書くと西部劇には付き物の追跡劇を描いた作品だと理解できますが、追う側のパトスがイマイチ不足な為追跡劇としての面白さは感じられません。 又、アメリカン・ニューシネマらしく、ネイティヴ・インディアンに対する偏見や差別問題について焦点を当てた作品にしては クーパーと保護区監督官で医者のエリザベス(スーザン・クラーク)との情交関係をダラダラと描いているのが、どっちつかずの印象を与えています。 レッドフォードは珍しくヒーロー然とした役柄ではなく、女医を都合の良い女としか扱わないが、ウィリーに対しては同情らしきものを感じている人間臭い保安官を演じています。 キャサリン・ロスは何時もの如くチャーミングですが、メイクが酷い。あれじゃネイティヴ・アメリカンじゃなくて白人と黒人のハーフですね。 ロバート・ブレイクは追手に追い詰められた悲壮感が余り感じられず、荒野を必死で走っているシーンだけが印象に残りました。 本作で一番印象に残った演技を見せていたのはクーパーとの煮え切らない関係に翻弄される女医役を好演していたスーザン・クラークだと思います。 ちなみにデイヴ・グルーシンが担当した音楽は渋めで良いんですが、ラロ・シフリンの音と酷似した部分があり、同じジャズ畑の人は似たような音を作り出すもんだと感心した次第。
1 人中、0人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
もっと評価されていい作品,
By mountainoflight (関西) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 夕陽に向って走れ [DVD] (DVD)
個人的には`さすらいのカウボーイ`と並んで大好きな西部劇。隠れた傑作。R.レッドフォードとキャサリン・ロスはご存知のように`明日に向かって撃て!`という、メジャーな作品でも共演しているが、この作品はどちらかというと華がない。アクションも地味だと思う。しかし、テーマは重い。確かニュー・ウェスタンと宣伝されていたはず。ヒーローなど存在しない。レッドフォードの苦悩とD.グルーシンのエンドタイトル曲が心にしみる。昨今の日本人出演しまくりのハリウッド映画も、かつて70年代はこんなマイナーでも余韻の残る作品も山ほどあった。やはり70年代アメリカ映画は奥深く、凄かった。
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夕陽に向って走れ [DVD] 作成者 エイブラハム・ポロンスキー (DVD - 2012)
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