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そこはかとないユーモア漂う名作, 2005/8/23
市川崑監督の手になる“雷蔵三部作”中の一編。三本中最も小粒な内容ながら、今回見直してみて一番楽しかったのがこれでした。
変な比較かもしれませんが、ストーリー的に言って、これってトーマス・マンの“ブッデンブローグ家の人々”や、ヴィスコンティ映画にも通じる一種の“滅びの歌”のはずなんですが、なぜか悲劇として描かれていません。理由を色々考えてみるに、主人公喜久ボンの何とも言えない人間的魅力に依るところが大きいと思います。 強烈な女系家族に生まれた喜久ボンですが、若い頃から祖母や母親のやり方に内心大いに不満を抱えていたことは間違いがないと思います。 また、彼の才覚を持ってすれば、因習やしきたりなど打ち破って、家政を思いのままに取り仕切ることもできたはず。ただ、彼は決して祖母や母親を泣かせるようなことはしませんでした。その反動として女遊びに走った訳ですが、計算高い彼女達にもきちんと紳士的に振る舞っています。そんな喜久ボンの本当のエラさに気付いていたのが女中のおトキさんでした。おそらく彼のことですから彼女の気持ちにも気付いていたことでしょう。何も言わずに彼女の好きなようにさせています。あくまでも飄々と、何事もなかったかのようにー。 これ、一種の“男気”の物語だと思います。
目が覚めるほど美しい色彩、生気溢れる女優陣、日本家屋のデザインを生かした画面、純日本風の映像に流れるジャズ調の音楽、などなど、本当に贅沢で見所いっぱいの作品です。こんな名作がなぜ公開当時、キネマ旬報のベスト10に入らなかったのか、不思議に思って調べてみたら、その年の1位は同監督の“おとうと”だったのでしたー。 でも、こっちも今こそ再評価を!
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色褪せない不朽の名作, 2008/6/6
すごくいい。何がというと、雷蔵が。主役だから光って当たり前といえばそれまでだが、この抜きん出た存在感はちょっと味わったことがないです。
現在第一線で活躍している役者とどうこうと比べるのは意味が無いので言及しませんが、
こんな人がかつてはいたのかとただただ惹き込まれてしまうばかりでした。
といいつつも、私は雷蔵作品はこれまで5、6本ほど経験済でこれが初体験ではありません。
ですが、今作品の雷蔵はどの作品でも見せない姿を見せてくれているように思います。
近いので言えば、増村保造監督の「好色一代男」くらいかな。
そして監督の尖った演出は相変わらず素晴らしいです。
陰気でしぶちん、階級社会が堂々と蔓延っていた船場特有の地域性を、宮川キャメラと共に見事に映像で魅せていると感じます。
脇を固める女優陣、毛利菊枝(どこのレビューを見てもこの母親の役を北林谷栄だと勘違いしている人が多いのはなぜ??
北林さんは菊ぼんの縁談を取り持つチョイ役です)、山田五十鈴、京マチ子、若尾文子、越路吹雪、草笛光子、
中村玉緒はいずれもすばらしく、若々しく動いている姿を見ているだけでもなんだかグッときてしまいます。
DVDには原作者・山崎さんのコメント、監督のコメント、雷蔵のコメントなどが掲載され
たブックレットも入っています。「ぼんち」の世界にタップリと浸らせてくれる仕上がりが嬉しいですね。
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