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24 人中、17人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
人から好かれない“傑作”, 2005/3/12
一度見た人に忘れることの出来ない印象を残す作品であることにどなたも異存はないはず。しかるにこの作品、文芸春秋社刊の“日本映画ベスト150”にも、その姉妹編“名画ベスト150中・上級篇”にもなぜか選出されず、監修の長部日出男氏が首をひねっていました。思うに,この作品ほど観客の感情移入を許さない映画もまれだからでしょう。ここには愛すべきキャラクターが一人もいないのです。また、原作と違って主人公がなぜ驟閤を焼いたのかさえ、はっきりとは説明されていません。一応、驟閤の美しさを永遠に自分のものにしたいから、という見方も成り立つのですが、そのような紋切り型の解釈が本当に正解なのでしょうか? 謎だらけです。結局、人間とはどうにも納得しがたいことをする生き物なのだ、というある種サマーセット・モームの小説世界にも通じる不可解さに我々は包まれるだけです。 にもかかわらず、これはやはり傑作だと思います。人間の心の中には他人には決して窺い知ることの出来ない闇の部分があるのであり、それを変にこじつけて無理矢理説明しようとするたいていの映画の方が、むしろ“物欲しげ”に見えてしまいます。 モームの小説ならその主題をユーモアとアイロニーで装飾して読者を楽しませますが、市川監督の場合は、その華麗な映像美と、当代きっての役者たちの芝居で堪能させます。 それにしてもよくもまあ幾多の大俳優たちにあんなうすみっともないキャラを演じさせたものです。そういう意味で、こんな特殊な映画は文字通り二度と作られることはないでしょう。まだご覧になっていない方必見です。
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22 人中、15人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
恐るべし、宮川ワールド!, 2005/1/22
雷蔵初の現代劇は、なんと三島の「金閣寺」。ただし当時の住職が金閣寺の実名で映画化をするのに難色を示したために、映画のなかでは「驟閣寺」と名前を変えてあります。
この映画の第一の見所は宮川一夫のキャメラ。モノクロの黒を強調した硬いトーンと、白とのコントラストは、まさしく宮川ワールド。このDVDの画質も素晴らしい。お寺に火をつける場面の夜間撮影の見事さは、あのグレッグ・トーランドを超えているかも。最後に雷蔵が小高い丘に上って寺が燃え落ちるところを見る場面では、火の粉を強調するために、なんと大量の金粉を燃やしているとか!
次の見所は巧すぎる役者さんたち。イヤらしい住職を絶妙に演じる先代中村鴈冶郎、俗物根性丸出しの信欣三、ひねくれた身障者の仲代達矢、チョイ役だがまるで本物の娼婦みたいな中村玉緒(まだ10代です)、そして雷蔵は内向的な吃音者を演じすぎることなく、これまた絶妙に演っています。
余談ですが、ある理由によりこの映画のテレビ放送は絶対に不可能と思われますので,観たい人はこのDVDが最適です。ただし、役者さんのプロフィールの検索欄に、なぜか信欣三がないのが不可解。
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22 人中、14人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
THIS IS 市川昆!, 2004/11/18
この作品を見るまで、なぜ市川監督が巨匠と呼ばれるのか?正直分かりませんでした。「犬神家の一族」「ビルマの竪琴(リメイク版)」「黒い十人の女」そして「東京オリンピック」を見てもなお分からなかった。唯一、好きな作品は「テレビドラマ木枯らし紋次郎」と「どら平太」のみ。だけど、ついに出会ってしまいました、巨匠と呼ばれるにふさわしいい作品に。大映に移り、撮影:宮川一夫、美術:西岡善信らのスタッフとの出会いが、市川昆のとてつもない才能を輝かせた!ワンカット、ワンカットがとてもすばらしい。クールな演出なのに、どんどん物語に引き込まれていくのを止められない。スキのない完璧な構成力。もう、作品のそこらじゅうから、才気がほとばしっていて隠しきれないといった状態。役者陣の演技も寸分の狂いもない。この後、「ぼんち」「破戒」と立て続けに見てしまいました。三島由紀夫の抽象的な世界を独自の解釈で見事に映画化。何度見ても惚れ惚れします。ピチカート小西さんオススメの「黒い十人の女」より1万倍すばらしい。市川昆の世界に触れるのならば、是非この作品から入るべきだ。
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見事な映像化!見事な解釈!, 2006/4/22
あの陰湿な彫刻を至上の「文学的美」まで昇華させたような大長編をこの映画としては長いとは云えぬ枠の中でどのように料理するのか?と、原作及び原作者である三島由紀夫の大ファンであるこちらとしては、最初色眼鏡をかけて視聴しはじめましたが、絶句しました。長編小説を書くより短編を書くほうが難しいと、よく耳にしますが、あの「金閣寺」を文章で短編にするのは不可能です。否、あの素晴らしさを判る人ならば、無理だと判るでしょう。ですが、市川崑という鬼才は映画という分野でそれをやってのけたのです。 後で三島がもっとも気に入っている映画化作品と何処かで読みました。間髪入れずに納得します。
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心に残る映画でした。, 2007/5/23
戸狩(仲代達矢)のセリフが、原作者の
三島由紀夫の劣等感とだぶって聞こえた。
無理に虚勢を張って生きているようで、
女の前で脆く崩れる様が印象的だった。
吃音だったり、足が不自由だったり、
彼らのコンプレックスがとても痛い。
溝口の心の闇がジワジワと伝わってきて、
一時も目を離すことができませんてした。
劣等感があるからこそ、心の中の憧れを
微塵も汚したくなかったのかも・・。
絶対的な存在であった驟閣寺が炎上する
場面は、とても美しく心に残りました。
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