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5つ星のうち 5.0
人類が最も宇宙計画に熱狂した時代, 2007/6/30
レビュー対象商品: ファーストマン(上) (単行本)
1969年のアポロ11号月面着陸時、当時の担任の先生が授業時間をつぶして着陸の様子をテレビで見せてくれたことは今でも鮮やかな思い出だ。 SF映画の最高傑作「2001年宇宙の旅」前年の1968年に作られ、人類の宇宙への憧れが最高潮に達した時代だった(そして、ベトナムに介入していたとはいえ、ある意味アメリカの黄金時代でもあった)。 それから38年、人類で最初に月を踏んだ人間であるにも関わらず、立花隆さんの『宇宙からの帰還』にもあまり触れられていない(彼は取材を断ったそうだ)ニール・アームストロング船長の詳細な伝記が本書である。 本書にはアームストロングの生い立ち(先祖にさかのぼって詳しく描かれている)から、パイロット時代、家庭生活、アポロ計画で最初に月を踏む男に選ばれ、月着陸を果たし、地球に戻ってから熱狂的な騒擾に振り回され、大学という象牙の塔に引きこもってから現在に至るまでの足跡が極めて仔細・率直につづられている。 二番手に甘んじたバズ・オルドリンのライバル意識(月面でのアームストロングの写真がないのはオルドリンの対抗意識のせいでは、とほのめかされている)や、妻ジャネットの苦悩、「ファーストマン」の名声故の葛藤、さらに「ライトスタッフ」で神格化されたチャック・イェーガーの、アームストロングに対するいささか根拠のない批判に対する反論など、興味深い記述が尽きない。 エリート軍人である父に競争原理を徹頭徹尾たたきこまれたオルドリンが、地球に戻ってから精神を病んだのに比べ、「ファーストマン」のアームストロングが淡々と自己を保持しえたのは、もともと安定した性格にもよるだろうが、清教徒的勤勉さと謙虚さという今は見失われがちなアメリカ社会の良質な部分を彼が体現していたからではないか、という感想を持った。
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5つ星のうち 5.0
「謎のファーストマン」の素顔がようやく!,, 2007/8/29
レビュー対象商品: ファーストマン(上) (単行本)
本書は要するに、「月に最初に降り立った人間、ニール・アームストロングの伝記」なのですが、これが出たことはアポロ計画をかじったことのある人には、ちょっと衝撃的な事件でしょう。 というのも、アームストロングは月に立った12人の宇宙飛行士の中でも隠者としてインタビューなどを嫌い、「第2のリンドバーグ」とも称される謎の男だったからです。 再婚があったり、「アポロ虚構論」が喧しかったりすることが、アームストロングに重い腰を上げさせて月面37年にして公式な伝記の出版にこぎ着けたのかもしれません。 大冊の伝記のお作法通り、先祖の話に始まり(アームストロング家はスコットランドで悪漢で知られていたらしい)、海軍時代、NACA時代、そして宇宙飛行士への挑戦…とお話は流れていきます。 海軍時代はF9Fパンサーを駆って朝鮮戦争に出陣、その後テストパイロットを目指しますが、イェーガーをはじめとする剛胆な「ヒコーキ乗り」に比べ、アームストロングはエンジニア色の強いクールなパイロットであり、月着陸もそんな任務の一環として淡々と挑戦していたことが伺えます。 宇宙飛行士としては『ライトスタッフ』に描かれる「マーキュリー7」の次に当たる、第2期の9人に入り、有名なジェミニでのドッキング飛行を経験します。この制御不能から見事な帰還が、クールな飛行士として初の月面着陸任務に選抜された要因となっているのではないでしょうか。 公式な伝記となる本書でも、アームストロング自身によるコメントは比較的少なく控えめ。しかし、オルドリンとの「第一歩」争いや帰還後の大騒ぎなど、初めて明かされる生の声がいくつか収録されており、きわめて興味深い内容となっています。 まあ大冊なので読むのも大変なのですが、今まで知ることのできなかった「謎のファーストマン」の素顔にやっと触れられる本書、ぜひオススメです!
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5つ星のうち 4.0
パイオニアゆえの複雑な心情を見つめたい, 2007/8/26
レビュー対象商品: ファーストマン(上) (単行本)
著名人の伝記ものって、どうしてこんな大部になるんだろう・・・という感想もないではないが・・・。 何につけても、最初に大仕事を成し遂げたひとというのは、前例のないことに対するチャレンジ精神やプレッシャー、それゆえに抱く苦悩や葛藤など、およそ凡人には想像しようのないさまざまな想いを持っているものだろう。その業績なり成果を不当に歪曲されることがあるとなれば尚更だ。 エリート軍人のアームストロング氏も、まさか地球外天体への“出撃”命令が下るとは想像しえなかったようだ。ましてそれは、当時の米ソ冷戦の最中、国家の威信を高らかに宣言するための“道具”だったのだから。 そのあたりの話を読むと、軍人と言えどやっぱり一個の小さな人間であることに変わりはないな、と思う。それが月面での最初の名言にもつながったのだろうし。 ・・・だとして、それならば「人間が人間を殺す」戦争についても思いのたけを語ってほしかったが、立場上ムリだったのか・・・。 アポロ月着陸を田舎の白黒テレビで興奮しながら観たのは小4のとき。そのテレビ中継で同時通訳を担当した西山千氏も亡くなり、そもそもアポロが月に行ったこと自体を、信じない、あろうことか否定して恥としない輩までいる現在。時代は変わった。 その意味でも、ようやく重い口を開いてくれたアームストロング氏の心中を僅かでも察し、今後の宇宙開発をどう進めるか、といったところまで思いを馳せてみたいものだ。
5つ星のうち 3.0
当事者の言葉, 2007/12/1
レビュー対象商品: ファーストマン(上) (単行本)
人類で始めて月への上陸を果たしたニール・アームストロングの「公認」 伝記です。上下巻(上巻だけで本文だけで460p超)とボリュームのある一冊です。 上巻ではアームストロング家の来歴(先祖から振り返る)から始まり、本人の 誕生、進学、朝鮮戦争への従軍、テストパイロット、そして宇宙飛行士となり 「ジェミニ8号」で宇宙へ出て&帰還し(その帰還劇が−大衆にとっては−劇的 だった故に)英雄になってしまった所まで収録。 本人への取材、周り(千人単位だ)への取材、過去に発表された資料の再精査 等々を行い、偶像としての、若しくは(自ら口を開くことが少なかった故の) 虚像のアームストロング像&アメリカの宇宙開発史から脱出した一冊となって います。 宇宙飛行士同士の確執、国家の思惑、そして宇宙飛行士という「特殊な職業」を 身内に持った家族(特に妻の)立場と心情、そこには伝記故に描けた人の匂いの する宇宙への道程が描かれています。 前述したとおり、ボリュームのある一冊ですが夜空に想いを馳せたことのある人 には興味深く読めるのではないかと思います。 ただ、難点を言うと(翻訳物にはありがちなのですが)各種単位が向こう仕様の まま(例、華氏、マイル)なのと、折角専門用語に解説を付けているも、やはり 分かり難いところがある点です。飛行機やロケットの動き等、図版があった方が 分かりやすい事柄が有るのも事実。 一般読者に対してそこら辺のフォローがあるとより良い一冊にあったと思う 次第です。
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