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5つ星のうち 5.0
読みごたえのある傑作ぞろいの中編ミステリー・アンソロジー, 2009/3/24
レビュー対象商品: 十の罪業 BLACK (創元推理文庫) (文庫)
<87分署>シリーズで有名な巨匠エド・マクベインが編んだ、現代を代表する人気作家たち10人の書き下ろし中編ミステリー・アンソロジー。<RED>と<BLACK>の2分冊だが、本書<BLACK>では、ジェフリー・ディーヴァーやスティーヴン・キングなどが名を連ねている。
「永遠」ジェフリー・ディーヴァー:タルボット・シムズは優秀な数学者でありながら警察官だ。彼は同僚たちから“非現実犯罪部門”とからかわれ、犯罪の統計を主に行っているが、裕福な老夫婦の連続自殺事件に統計学的な観点から殺人ではないかと不審を抱き、自ら“現実犯罪”の捜査を進める。物語の端々にタルボットによって語られる統計数値は、ディーヴァーらしくて興味深い。
「彼らが残したもの」スティーヴン・キング:9・11事件を題材に、いつものモダン・ホラーから離れて、抑えた筆致で‘わたし’に日常を語らせており、あの惨劇のすさまじい影響がどれほどかと思わせる一編。
「玉蜀黍の乙女(コーンメイデン)−ある愛の物語」ジョイス・キャロル・オーツ:11才の少女誘拐事件をその母親側と犯人側の両方から描いている。悲嘆に暮れる母親と、誘拐犯のサイコパスっぽい13才の少女の心情が細やかに綴られている。
「アーチボルド−線上を歩く者」ウォルター・モズリイ:新聞広告で見た求人募集に応じた‘ぼく’は、自らアナーキストと称する謎めいた大男に雇われる。そして犯罪と陰謀をめぐる奇妙な事件に巻き込まれてゆく・・・。
「人質」アン・ペリー:北アイルランド問題を背景に、強硬派の指導者一家が、休暇中に反対派の連中に拘束され、翻意を迫られる。その顛末を妻であり、母であるブリジットの視点で追った秀作。彼女の心理描写は臨場感たっぷりで、思わず一気読みしてしまった。
本書収録の5編は、それぞれ趣向は異なるものの、いずれも読みごたえのある傑作ぞろいだった。