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25 人中、25人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
お帰りなさい、ヴォネガット,
By ぷく (神奈川県) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 追憶のハルマゲドン (単行本)
原題は「Armageddon in RetrospectAnd Other New And Unpublished writings on War and Peace」。 ヴォネガット没後一周年を記念して出版された 未発表短編集を中心に編まれた本。 序文は長男のマーク・ヴォネガットによるもので、 これがすこぶるよい文章で、ほんとに泣ける。 身内だから書ける追悼文だと思った。 ヴォネガットのすばらしさを再認識できた。 収録されている短編集の大半は、 第二次世界大戦をモチーフにしたものである。 ヴォネガットのエッセイで戦争について語られている本を 読んでいたせいか、ちょっと身構えていたが、 収録されている作品はユーモアにあふれ、爽やかさすら感じられた。 人を描くことに力を注いだヴォネガットならではの着眼点だと思った。 中には、ヴォネガットにしては珍しくミステリタッチの作品がある。 「サミー、おまえとおれだけだ」がそれで、 これまで発表されたヴォネガットの小説の中で かなり珍しいタッチだと思う。言ってみれば倒叙法か。 最初に結末を描くことを信条としたヴォネガットらしい。 唯一、戦争に関係のない作品が表題作であるが、 これがどうして未発表だったかと驚いた。 というのは、実を言うと、短編ではなかなかヴォネガットらしさを 味わうことが難しいのだが、この短いお話の中にはそれがある。 読後感はまさにヴォネガット。 なぜこれを表題作にもってきたのか、判ったような気がする。 それから、これだけは言っておかなくては。 やはりヴォネガットは浅倉久志訳でなくては。 今回、つくづく思った。 優しさとアイロニーが表裏一体になっているこの語り口こそ、 わたしが知っているヴォネガットだから。 お帰りなさい、ヴォネガット。また会えて嬉しいかったです。 ほんとうに、ありがとう。R.I.P.
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5つ星のうち 5.0
戦争と人間の愚かさについて深く考えさせる巨匠の没後一周年記念作品集です。,
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Amazon.co.jpで購入済み(詳細)
レビュー対象商品: 追憶のハルマゲドン (単行本)
2007年4月に惜しくも享年84歳で急逝されたアメリカSF文学界の巨匠ヴォネガットの08年4月に刊行された没後一周年記念作品集です。本書は前半にご愛息の序文を含む4つのノンフィクション、後半に大学の図書館に保管されていた10編の未発表短編を収録し、各編の間に著者直筆のカラーイラスト23枚を併載した豪華仕様で構成されています。自身も作家である息子マーク・ヴォネガット氏の序文「はじめに」は文章に父の影響が色濃く感じられるユーモアに満ちた情感たっぷりの感動的なエッセイで自然にほろりとさせられます。古典的な手押し車のジョークは今でも古びず抱腹絶倒させられ、ヴォネガットが体を二つ折りにして笑う姿が目に浮かびます。続く戦時中に上等兵として家族に宛てた手紙には、戦争の悲惨な体験談が感情を押し殺した文体で素っ気無く簡潔に書かれています。事実は不明で私の推測に過ぎませんが、戦時の検閲も影響していたのではとも思えます。次の大学講演用に書かれていたスピーチ原稿は、まるで漫談のようでジョークの洪水の中に一片の真実のきらめきを見せる至芸の冴えを感じます。著者の実演が叶わず息子マーク氏によって代読された事実が胸を打ちます。『悲しみの叫びはすべての街路に』は第二次世界大戦でのドイツの町ドレスデン大空襲の悲惨な体験を語り、戦勝国であっても為した残酷さに変わりはないと厳しくアメリカを糾弾する内容で、ジョークは一切なく戦争と人間の愚かさの命題に真正面から切り込む著者の魂の叫びが心に届く真摯な必読のエッセイです。翻訳者の浅倉久志氏が未発表短編10編の由来について解説で述べられた、第二次大戦を題材にしたこれらの作品は笑いはあるが根底に戦争の重苦しい悲しみを宿していた為に当時敬遠されたのだろうという推測には深く肯けます。本書を読んで改めて著者の本質に触れられ、過去の愛すべき作品群もぜひ読み返したいと思いました。
2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
これっきりですか?,
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レビュー対象商品: 追憶のハルマゲドン (単行本)
敬愛するヴォネガット最後の本。これで翻訳されているものはほとんど読んだことになってしまうのだと思うと、とてもさびしい。 とはいえ、小さい子供が同じ話を何度も読んでくれとせがむように、僕が彼の小説に飽くことはない。 いつもそこに同じ彼の言葉がある、 ただそれだけで安心して眠りにつくことが出来るのだ。 今回の作品集は彼の戦争を題材にした短編や息子マークの序文、 彼が死の直前執筆していたスピーチ原稿などからなり、 はっきり言ってあまり統一感がない。 それが、「本当にもうこれっきりだよっ」ていわれているようでなんだか切ない。 収録作品別の感想としては、 父子の愛情をドラマティックに描いた「一角獣の罠」がヴォネガットらしくて好きです。 それと「略奪品」は戦争の中での個人的な「罪」を描いた作品。 ヴォネガットの短編すべての中で最高傑作なのではないかと思う。(ちょっとカーヴァーっぽい) でも、必ずしもヴォネガット"らしさ”が全部詰まった一冊ではないと思うから、 初めての人はぜひほかの長編も手にとってみてください。 長編読むとまたエッセイとかスピーチとかの感想が変わってくると思います。
5つ星のうち 3.0
ヴォネガットのファンにとっては至宝の1冊,
By ゆうき (軽井沢町) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 追憶のハルマゲドン (単行本)
2007年4月11日のヴォネガットの死去は、ファンにとっては衝撃的な悲しい出来事であった。愛してやまない作者がこの世を去り、もう、ヴォネガットの新しい作品はこの世に出てこない。本作品は、2008年4月にヴォネガットの没後1周年を記念して出版された。構成は、序文を『エデン特急』の作者としても知られる息子マークが担当(なかなかの名文でしみじみとする)。次いで第二次大戦で独軍の捕虜となったヴォネガット自身が家族にあてた手紙(米軍による野蛮なドレスデン大空爆を嘆く)。そして、死の直前に書き上げた故郷インディアナ・ポリスでのスピーチ原稿(こんなぶっ飛んだスピーチ見たことがない)。更に、戦争から帰還後、『スローター5』が大ヒットする以前に書かれた10編の未発表の短編、とあってはファンにとっては喉から手が出るほど読みたかった作品のはずだ。 ファンではない自分が読んでも、ヴォネガットの人となりが伝わってくるナイスな1冊。未発表の短編集は、殆どが、ヴォネガットのドレスデンの戦争体験に関係した作品。『戦争』という圧倒的な暴力の前に、時として味方までもが人間性を喪失した悪魔に変身してしまうことに対するヴォネガットの苦悩がどこまでも伝わってくる。
5つ星のうち 5.0
捕虜時代に家族に宛てた手紙が印象的,
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レビュー対象商品: 追憶のハルマゲドン (単行本)
愛するヴォネガットさんが亡くなって、もうすぐ2年がたとうとしています。あと1年半頑張って生きてくれれば、オバマの勝利も見られたろうに。ヴォネガットさんならオバマが民主党候補、そして本戦と勝ち上がっていく過程を、どのように描いたんでしょうね。マクガバンの選対に対してLonesome No Moreというバッヂをつくることを提案したヴォネガットさんですから、きっと多少は皮肉を込めて、でも実はあふれる愛で、彼のキャンペーンを讃えたと思います。それが読めなかったことだけでも残念でたまりません。本当ならば亡くなる2週間後ぐらいに行われるハズだった講演の原稿には《わたしの生きてきた時代のアメリカでの最もすばらしい精神的現象は、アフリカ系アメリカ市民が威厳と自尊心をたもちつづけたことです》(p.40)と書かれていますが、これは、もしかしてオバマへの応援だっかもしれません。 一番、読ませたのはヴォネガットさんが、第二次大戦でドイツ軍の捕虜となり、ドレスデン空爆に遭遇したことなどを家族に知らせた手紙でした。実にクールに、しかも家族宛なのにブラックユーモアにもとれるような筆致で、たった今、経験し終えたばかりの捕虜生活を《二月十四日ごろ、アメリカ空軍、つづいてイギリス空軍が、襲来、その共同作業は二十四時間で二十五万人の民間人を殺し、ドレスデンのすべてを−おそらく世界で最も美しい都市を−破壊しました。しかし、ぼくは無事でした》などと振りかえっているんです(pp.22-23)。 |
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追憶のハルマゲドン 作成者 カート・ヴォネガット (単行本 - 2008/8/22)
¥ 2,100
在庫あり | ||