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862 人中、779人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 非常にいい本だった。でもこういう本こそ、批判的に読めるようになりたいと思う
巷の噂ではものすごく売れているという政治哲学の本。ハーバード大学で政治哲学を教えているということだけど、その講義がものすごい人気で、テレビでも放送されたほど。日本でも、現在、NHK教育テレビで『ハーバード白熱教室』として放送されている。
学生時代、「正義論」については関心があったので、ロールズやノージック、ドゥオーキンらの著作は読んだけど、そんなに万人受けするものではないと思うが、テレビの影響があるとはいえ、日本でもこんなに読まれるということは、やはり、内容的にもいい本なのだろう。

読んでみると思った以上に読みやすい。翻訳者の力量もあるのだとは思うが、著者の非常に論理的な構成力と、上手に具体例を交える能力のおかげで、とても分かりやすく説得力のある内容になっている。...
投稿日: 2010/6/3 投稿者: hamachobi

対
118 人中、101人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0 面白い部分もあるがアメリカ的
流行りに乗って購入してみました。
正義の選択理由は何か?正義の定義は何か?という内容で、読者にさまざまな状況下での行動の選択をさせ、その行動はどういう主義に基づいたものかという説明をし、また実際あった事件について正義の判断がどう行われたかを紹介していく。
その過程で過去の哲学者の正義論を紹介しつつ、功利主義・自由至上主義に基づく正義論の矛盾や不備を指摘していき、最終自らが主張する、正義には美徳を涵養する事と共通善について判断する事が含まれ、コミュニティと伝統から生まれた道徳的要求を無視する事はできないという考え方を唱えていく・・・。...
投稿日: 2011/1/10 投稿者: TSUYOSHI


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862 人中、779人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 非常にいい本だった。でもこういう本こそ、批判的に読めるようになりたいと思う, 2010/6/3
By 
hamachobi - レビューをすべて見る
(トップ500レビュアー)    (VINEメンバー)   
巷の噂ではものすごく売れているという政治哲学の本。ハーバード大学で政治哲学を教えているということだけど、その講義がものすごい人気で、テレビでも放送されたほど。日本でも、現在、NHK教育テレビで『ハーバード白熱教室』として放送されている。
学生時代、「正義論」については関心があったので、ロールズやノージック、ドゥオーキンらの著作は読んだけど、そんなに万人受けするものではないと思うが、テレビの影響があるとはいえ、日本でもこんなに読まれるということは、やはり、内容的にもいい本なのだろう。

読んでみると思った以上に読みやすい。翻訳者の力量もあるのだとは思うが、著者の非常に論理的な構成力と、上手に具体例を交える能力のおかげで、とても分かりやすく説得力のある内容になっている。
最も感心したのは、アリストテレス、ロック、カント、ベンサムなどの過去の哲学者から、ロールズ、ノージックといった現代の哲学者まで、彼らの主張を丁寧に紹介しながら、巧みにそれを、経済格差など現代の社会問題にあてはめ、コミュニタリアンとしての自分の主張につなげていくところ。

一時期、ロールズの正義論に魅かれていた(といってもちゃんと理解してたわけじゃないけど。)自分でも、著者の主張に肯いてしまいそうになる。

でも、ちょっと危ない。

確かに彼の主張は彼の文章力もあって説得力もあるし、現代のアメリカ社会の批判にもなってはいるんだけど、共同体を強調することで、現状のアメリカ、オバマのもとでのアメリカを肯定する意図が見え隠れしている。本当にオバマが目指す社会は、「正義」にかなうのか。それは、誰にとっての「正義」なのか。

私には、ハーバード大学の教授の主張を論破する能力はないけれど、どこか危うげな感じを受けてしまう。こういう本こそ、批判的に読めるようにありたい。できれば、サンデル批判の「正義」論を読んでみたい。
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602 人中、522人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 あえてマイナス点を挙げますと, 2010/9/8
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アマゾネス愛子 (ドイツ国カイザースラウテルン) - レビューをすべて見る
「検察官の兄が、殺人犯の弟を匿うべきか?逮捕起訴すべきか?」
「難破された者が生き残るために救命ボートの定員を減らすよう、殺人を起こしてもいいのか?」

など「究極の2択」を使って、哲学をしていきます。割に面白く、そしてけっこう難しい。
経済学や社会学(統計を使った)でよく使われる方法で、詳細は「ソーカル事件」でググって頂くといいのですが、この手の議論では、非常に納得できる場合ほど穴が大きく、彼の場合もまたそうだ、と言うことです。

要するに「AかBか?」で始めてるんだけど、実はすでに「A」と言う結論ありきなんですね。で森羅万象から証拠や事実を集めているように見えて、実はAにとって都合の良いモノしか集めていない。だから絶対に答えはAになる。
だから本人は「まぎれもなくAだ」と言ってるんだけど、周りから見ればだいぶズレがある、ってことは多いわけです。

問題は彼が、バリバリの共同体主義だと言うことですね。
だから「裁判官」のようにフェアに見えて、実は「検察側」なんです。で「検察側」にとって都合のいい話ばかりする、
検察官の彼に裁判官のポジション(政府の要職など)を与えれば、ズルいですよね。
弁護士側がどんなに上手に訴えても、敵わなくなる。

レトリック法としては、非常に巧妙で、参考になるんですけど、
ハーバードの肩書き、そして巧妙なレトリックのせいで、100人が100人「○○が正しい」って流れちゃうんが怖いですね。

実は僕も共同体主義者ではあるんですが、だからこそ「穴」はだいぶ見つけられるんですね。
これ1冊読んで分かった気になってる人が多いと思う。
でもそうじゃなくて、これを機にたくさん本を読み、また遊びや仕事の中から「正義」を見つけ出すべきですよ。
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118 人中、101人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0 面白い部分もあるがアメリカ的, 2011/1/10
流行りに乗って購入してみました。
正義の選択理由は何か?正義の定義は何か?という内容で、読者にさまざまな状況下での行動の選択をさせ、その行動はどういう主義に基づいたものかという説明をし、また実際あった事件について正義の判断がどう行われたかを紹介していく。
その過程で過去の哲学者の正義論を紹介しつつ、功利主義・自由至上主義に基づく正義論の矛盾や不備を指摘していき、最終自らが主張する、正義には美徳を涵養する事と共通善について判断する事が含まれ、コミュニティと伝統から生まれた道徳的要求を無視する事はできないという考え方を唱えていく・・・。
まぁ日本人はもともと道徳感と正義とは区別は曖昧で、コミュニティや伝統から生まれた価値観を重視する傾向があるので、この本の前半に紹介される功利主義や自由至上主義の方がいまいち納得し難く有る意味新鮮なものがあり、サンデルさんの主張には特に新たな感銘を受ける事なく、「そりゃそうかもね、ただ行きすぎたら恐いけど・・・」程度で終わりました。
カントやロールズ、アリストテレスなどの思想家の紹介の部分は、各偉人が自分の主張を正しいものとするため、矛盾・不備と指摘される部分に対しどのような論理展開で正当化するのか?という部分で楽しめる。
あと本筋とは関係ないが、過去に対して責任を持つべきか?と言う命題の際に、ドイツのユダヤ人ホロコースト、日本の朝鮮・アジア諸国に対する虐待、オーストラリアの先住民への不正、アメリカの戦時中の日系アメリカ人強制収容、黒人奴隷差別など多くの例が何回か語られるが、なぜかアメリカ人がインディアンの土地に勝手に侵入し自らの土地として国家を建設をし先住民を追い払い虐待したという事には一切触れられない。これはやはりアメリカ人にとっては「それを言っちゃぁ、おしまいよ!」という部分が有り、ましてや「正義」を語る際には触れてはいけないタブーなのだろうか?
考え方を学べるので読んで損はないが、特に感銘は受けない本。
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163 人中、138人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 日本語タイトルが良くない思いますが良書です。, 2010/7/3
売れるためだと思いますが、『これからの「正義」の話をしよう 今を生き延びるための哲学』は原著者にあまりに失礼じゃないかと思います。

原著のタイトルは『Justice What's the Right Thing to do?』 つまり、『正義 正しい行いとはなにか?』「正義」とは何か?普遍的な話をしようという本であり、内容は正義とは何か?何が正しくて、何が間違いなのか?です。

そこに”これからの”「正義」、”いまを生き延びる”などという限定的な意味合いはなく、このようなタイトルはちょっといただけないと思います。

NHKの番組を一度観たことがあって面白かったので買いましたが、タイトルだけみたら胡散臭くて買わなかったと思います。

「正義」とは何か?正しい行いとは何か?に分かりやすく答えてあり、とても良書だと思います。
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31 人中、27人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 講義を盛り上げるのが上手いだけではない。とても重要な問題提起。, 2012/1/23
By 
Yuichiro (つくば市) - レビューをすべて見る
(トップ500レビュアー)   
レビュー対象商品: これからの「正義」の話をしよう (ハヤカワ・ノンフィクション文庫) (ペーパーバック)
 サンデルは2010年に「白熱教室」が日本でもブームになって、授業を盛り上げるテクニックがすごいとばかり言われている印象がありますが、本書を読んでみると、サンデルが提起している哲学的な課題そのものが、現代の日本人にとっても非常に重要なものであることが分かります。

 サンデルの専門は政治哲学・道徳哲学です。つまり、「正しい行い」とか「正しい社会制度」を作ろうと思ったときに、「正しい」とはいったいどういうことなのかについて、徹底的に掘り下げていく哲学です。
 サンデルは、道徳や正義について考えるとき、まず始めに具体的なケースを想定するのが良いと言います。たとえば4人が乗ったボートが漂流しているときに、1人を殺して残りの3人が生き延びるという選択は正しいのかどうかといった具体的なケースです。その次に我々は、“直観的”に「こうすべきなんじゃないか」という道徳的判断を下します。そして、その“直観”に理屈を与えるために、道徳的判断の「原則」のようなものを探して考えを掘り下げていくわけです。

 道徳的な価値観に関わる問題は、そもそも人によって意見が大きく異なるものばかりだから、答えを出すのがとても難しい。しかし、考えを深めていくためのヒントはいくつか存在する。サンデルは、哲学の歴史を振り返ると、正義や道徳をめぐる議論というのはだいたい3つのパターンに分かれると言います。
 1つ目が「功利主義」で、とにかく人々の快楽の最大化を追求すべきだというもの。「最大多数の最大幸福」とよく言われるように、一人一人の「幸福」や「快楽」を足し合わせた総量が最大になるように、そして「苦痛」の総量を最小限にするのが最も重要だというわけです。
 もう1つは「自由」を尊重する立場。最も極端なのが「リバタリアニズム」で、政府の役割なんてものは最小限でいいし、社会保障政策すら不必要だと主張する。一方、自由を尊重する立場の中でも「リベラリズム」は、全ての人々が対等な自由を享受できることを目指しているから、弱者を救済するために政府が積極的な役割を果たすべきであると考える。
 最後の1つは「美徳」を重視する立場で、我々の社会の目標は快楽を最大化することでも自由を最大化することでもなく、より美しく、より善く生きることであると考える。サンデルも基本的にはこの立場に属しています。

 近代の正義論は、基本的に「功利主義」や「自由主義」に基づいていて、そこには一つ共通点があった。宗教的信念や道徳的価値観は人それぞれなのだから、社会制度というものは特定の「美徳」に味方すべきではなく、様々な価値観に対して中立的に設計されるべきであるという前提です。しかしサンデルは、大学入試や同性婚の議論など様々な例を持ち出して、この「中立性」という原則に哲学的な疑いを差し向けていきます。
 これまで我々は「中立性」の原則にこだわりすぎていて、信念や価値観について議論することを恐れるようになり、道徳観が貧弱になってしまったというのがサンデルの問題意識です。「他人の価値観を尊重しよう」と言って、実のところ我々は、尊重してきたのではなく、単に衝突を避けて来ただけ。言い換えれば「無視」してきた。
 我々は、他人の価値観に触れないようにするのではなく、お互いに敬意を払って議論をすることで、道徳観を深めていく努力をしなければならない。そして、「共通の善」について議論することで、バラバラになってしまった社会に「連帯」を取り戻さなくてはならない。そういう議論を避けて道徳観が深みを失ってしまったことで、我々は「原理主義」のような単純で過激な道徳に付け入る隙を与えてしまったのだとサンデルは言います。本書で紹介されていますが、オバマ大統領も「政治が宗教的に中立であり得るわけがない」と主張していたらしく、サンデルはその姿勢を高く評価しています。

 サンデルの議論は本書でも非常にシンプルで分かりやすいので、ベストセラーになるのもうなずけます。具体的なケースに触れながら、アリストテレス、カント、ベンサム、ミル、ロールズといった哲学史の巨人たちの思想も噛み砕いて解説しており、カンタンな学説史にもなっていて勉強になる。カントのような難解な哲学をこんなシンプルにまとめてしまっていいものか?という心配もありますが(笑)、一読の価値はあります。
 先日Appleがリリースした「iTunes U」でもサンデルの講義が無料で聴けますし、「白熱教室」は書籍にもなっていますが、個人的には本書を読んだ方が論点整理も問題意識もハッキリしているので、手っ取り早く理解できるのではないかと思います。
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343 人中、288人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 読みやすく内容もすばらしい、講義に負けない良書, 2010/5/23
By 
yoshik-y - レビューをすべて見る
(トップ1000レビュアー)   
 NHK教育TVの「ハーバード白熱教室」で有名になったマイケル・サンデル教授の講義を基に書かれた、「Justice: What's the Right Thing to Do?」の和訳。講義のテキストは「Justice: A Reader」として別に発売されているが、テキストではない読みやすい本を求めているのならこちらを選ぶべきだろう。講義を基にしているので、講義内容と同じ問題がわかりやすく書かれている。
 講義での、日常によくあるが、深くは考えたことのないテーマを元に哲学の話をしていくその手法は見事で、それがこの本でも実現されている。注釈も多いので、参考文献に当たるのも良さそうだ。
 訳もすばらしい出来で、「せっかく買ったのに結局原書を読まなければならない」というこの手の本に良くありがちなこともない。余計な訳者の前書きや後書きがないのも評価できる。

 普段あまりこの分野の本を読まない人にも、薦められる良書だ。
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6 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 コミュニタリアニズムは正しいと思うが、この本には大きな弱点がある, 2013/1/23
Amazon.co.jpで購入済み(詳細)
結論からいうと、とてもすぐれた政治哲学(正義論)の入門書だと思います。
とは言え、批判せざるを得ない点もあります。

本書で著者は、実際のシチュエーションに当てはめて哲学の学説のおさらいをさせてくれるのでとてもわかりやすいです。
功利主義から始まって、リバタリアニズム(自由至上主義)、カントの自由主義、そしてコミュニタリアニズム(共同体主義)と紹介していきます。

私はこの本の読み方として、自分がリバタリアンだと思う人はコミュニタリアニズムの解説本として、反対にコミュニタリアンだと思う人はカントの自由主義の解説本として、つまり自分と異なる向きの考えかたを知るために読むのが良いと思います。

もし、あなたが「小さい政府を支持」「自治体名をネーミングライツとして売りだしても問題がない」「キラキラネームは問題がない」・・・というように考えるのでしたら、リバタリアンの傾向があると思います。
また、もしあなたが「愛国心を持ち、愛国的行動をとることは当たり前である」「政治と宗教は完全に分離しなくても良い」・・・というように考えるのでしたら、コミュニタリアンに親和的です。
 
サンデル教授自身はコミュニタリアンです。
そして、本書を読む限り、コミュニタリアニズムには大きな弱点があると思いました。
その理由のひとつは「恣意性」への無理解という点です。

コミュニタリアニズムでは共同体の中での、美徳とか名誉を尊重します。
ある文化にとって何が美徳や名誉になるのかということは、それぞれの文化によって異なると思います。しかし、著者はそこに「共通善」という普遍的なものを創りだそうとしています。
私にはそれは無理があると思います。アメリカにはアメリカの美徳が、日本には日本の美徳があります。

「恣意性」とは「必然性はなく、偶然そうなっていること」ということです。
例えば私たちは犬のことを「イヌ」といい、猫のことを「ネコ」と言います。
しかし、この対応関係に、必然性はないわけです。
別に犬のことを「ネコ」といって、猫のことを「イヌ」といっても良かったわけです。
しかし、一度犬のことを「イヌ」と言うと決まるとそれは容易には覆りません。
これを文化の恣意性と言います。

コミュニタリアニズムを採る以上、私たちは社会の中で自由の領域を狭くして、恣意的な領域を広くするということになります。
しかし、恣意性を高めるということは異なる価値観を一定程度は排除せざるを得ないということです。
残念ながら、コミュニタリアニズムは宿命的に恣意的になるということの説明が、この本には足りていないように思いました。
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35 人中、30人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 哲学は若い頃にもてあそぶのは良いが…, 2011/1/25
鋭い切り口と社会批判、TVでの公開講義も大人気となったマイケル・サンデル氏の著書、日本語訳。
自分はTVをみて、それから読ませてもらった。
出だしから、このアマ○ンでも問題のハリケーンのあった地域での転売屋の是非についてであった。
転売行為が悪か?と根本的な議論から始まり、非常に高度な正義論を展開するが口当たりはやさしくそれこそ大学や高校の教科書にしてもいいくらいだ。
これを読まない学生はちょっと損をしていると言ってもいい。
ただ、この本で重要なのは、サンデル氏の博識と英知に感動する事ではなく、「自分で正しいと思うことは何か?また何を根拠にしてそう思っているのか?それは間違っていないか?」という客観視の感覚を養うことである。
ややもすると、知識に溺れ哲学に毒されてしまう可能性もある。
この素晴らしい『対話』の講義に感動するだけではこの本の価値は十全には引きださせないだろう。
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26 人中、22人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0 「正義について議論しよう」という呼びかけは素晴らしい。, 2011/2/6
すごく良いところと、期待はずれなところと両方があったと思う。
とにかく、文章はうまくて非常に読みやすかった。

前半はほとんどサンデル氏の思想は出てこなくて、
いわゆる「正義論」の歴史的な流れや、各論を実践的な場に引き出した場合にどうなるのか、
という思考実験を丁寧に書いている。
このあたりの部分は非常に勉強になって面白かったし、
たくさんの読者がこうした問題について思いをめぐらせる、というだけでもとても価値があると思う。
「道徳をめぐる考察は、具体的状況における判断と、
そうした判断の土台となる原則の間をいったり来たりする弁証法的プロセスを踏むべきものである」
というのは「哲学」を机上の空論にしない、重要な提案であると思う。

後半になるとサンデル氏のいう「コミュニタリアニズム」や「共和主義」の思想が出てくるのだけれど、
ここについては、正直言って全く同意できなかった。
とくに「忠誠のジレンマ」についてはことごとく反発を覚えてしまった。
「反奴隷制を掲げるリーが、自分の所属するヴァージニア州への義務感から南部の軍を率いて戦った」
という話を、「彼のジレンマを生んだ忠誠には敬服せざるをえない」などといわれても、
正直言って少しも共感はできなかった。

従来の思想についての批判は現実的で冷静なのに、
持論については「可能だと、私は思う」とか「やってみないことには、わからない」などと
夢見がちとさえ言えそうな姿勢で、説得力の欠片もないことが、すごく残念。

「政治を考えるのに、道徳的な問題を全く避けて通るということは不可能なのではないか?」
という問いまではとてもよく分かる。
そこから先については、まだまだ暗中模索としかいいようがない状態であるようだ。
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57 人中、47人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0 アメリカの正義, 2010/10/30
 この本が多くの日本人に読まれることは良いことだと思いますが、これはあくまでアメリカ人の正義を論じている本だということは肝に銘じるべきではないでしょうか?
 良く、アメリカ人はディベート力があって、日本人にはないということが言われますが、この本を読んでいると、その意味がまた少し違って感じられました。日本では自明となっている倫理観や良心というものが、世界では(少なくともアメリカでは)いちいち論拠を挙げなければ正当化できないということなのだと思いました。確かに、文化や環境の異なるもの同士が、なにかに一定の同意を得るためには話し合い、論拠を挙げ、説得するという過程が必要なことは良く分かるのですが、「人として」という立脚点がこれほどに違うと知ると、ある種恐怖すら感じます。
 本の冒頭に挙げられている例でも、災害にあった人々に、通常の10倍の値段の水を売るという行為が、アメリカでは、立場によっては正当化されるということは、おそらく日本人の心情からすると理解できなことなのではないでしょうか?
 それらを踏まえ考えることは、ぜひ、批判的な視点をもってこの本を読んで欲しいということです。
別に国粋主義というわけではありませんが、日本人の良い点についても、十分に誇りをもって、その上で、国際社会において「正義とはなんぞや」という議論をを含めた様々な問題に関わりあり、相互理解を得てゆく努力はどうすれば良いのか?ということまで考えてゆければ良いなと思っています。
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これからの「正義」の話をしよう (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
これからの「正義」の話をしよう (ハヤカワ・ノンフィクション文庫) 作成者 マイケル サンデル (ペーパーバック - 2011/11/25)
¥ 945
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