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29 人中、23人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 これからの日本を考えるための好著
「小泉改革」の熱狂から数年、改革の行く末に不安を抑えきれなくなった国民は、その内実がよくわからないままに「政権交代」を選択した。
いま憧憬の的となっているのは、誰しもが今と同じか、願わくば今より少しマシな生活水準を堅持できる「安定」社会なのかも知れない。

しかし「安定」した生活とは具体的に何で、どのようにしたら手に入れられるのか。誰が「安定」した生活を邪魔していて、誰がその被害を受けているのか。一部の人だけが恩恵を受け、多くの人々が明日の不安におびえるような社会は、どのように変えていったらよいのか。こうした問題を大局的な見地から考えるための材料は、思った以上に手に入りにくい。人々はただ目の前の不満感だけを募らせ、冷静に思考する習慣を失っているようにも見える。...
投稿日: 2009/9/16 投稿者: 昏睡

対
78 人中、43人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 1.0 残念。実証が完璧に不足していて、結論も謎。
著者が問題に据える「裏切られたという被害者意識」。まず、そんなものが本当に、現在の日本人の間に共有されているのだろうか?普通、問題の原因や解決を言う前に、問題の存在についての立論があるはずだが、本書にはそれが全く欠落している。よって、著者が現在社会の何を問題にしようとしているのか、全く分からなかった。...
投稿日: 2009/9/8 投稿者: 読書大好き少年


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29 人中、23人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 これからの日本を考えるための好著, 2009/9/16
レビュー対象商品: 現代日本の転機―「自由」と「安定」のジレンマ (NHKブックス) (単行本)
「小泉改革」の熱狂から数年、改革の行く末に不安を抑えきれなくなった国民は、その内実がよくわからないままに「政権交代」を選択した。
いま憧憬の的となっているのは、誰しもが今と同じか、願わくば今より少しマシな生活水準を堅持できる「安定」社会なのかも知れない。

しかし「安定」した生活とは具体的に何で、どのようにしたら手に入れられるのか。誰が「安定」した生活を邪魔していて、誰がその被害を受けているのか。一部の人だけが恩恵を受け、多くの人々が明日の不安におびえるような社会は、どのように変えていったらよいのか。こうした問題を大局的な見地から考えるための材料は、思った以上に手に入りにくい。人々はただ目の前の不満感だけを募らせ、冷静に思考する習慣を失っているようにも見える。

こうした不安に満ちた今日の社会状況を見据えたとき、20世紀後半のこの国が辿ってきた政治経済的変動を分かりやすく総括した本著は、来るべき社会の在り方を構想するためのヒントを提供してくれる。

もう、昭和のホームドラマに見られるような安定した家族や会社生活は手に入らない。その現実を見据えた上で、国民全員が責任をもってこの国の将来を選択していくしかない、そんなメッセージが本書の随所から聞こえてくる。

これからの日本と、それとは切り離すことができない自分の将来を考えたい人にとっての好著である。
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17 人中、13人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 自国イメージの来歴を問う稀有な書物, 2009/9/16
レビュー対象商品: 現代日本の転機―「自由」と「安定」のジレンマ (NHKブックス) (単行本)
 この著者がうまく整理したように、戦後日本の保守派は、日本型雇用慣行によって日本社会の安定さ(総中流社会)が成立していることを言祝いだ。一方の革新側は、総中流社会の保守性を批難する一方、その外部にある在日・部落・障害者などのマイノリティ問題を積極的に論じた。保守と革新が紡いできた言説は、日本型雇用慣行が総中流社会をつくりだしているという事実認識という点において、同じ土俵に立っており、保守派はそれを言祝ぐことによって近代を乗り越え、革新側はそれを否定することによって近代を乗り越えようとしたわけである。
 今の日本社会の鬱屈さは、たんに景気の悪化だけに求められるのではない。日本企業が中間層をつくりだすという想定ができないにもかかわらず、それ以外の日本社会イメージがいまだ描けていないところに由来していることが本書を通じて理解できた。それは、高原の前著を踏まえれば、ひとり日本だけの話でなく、韓国・中国にも共通する問題である。
 日本は、明治維新以降、近代化を急速に進めてきたが、それは近代日本においてある種の痛みをともなったプロセスでもあった。近代化とは、西欧の帝国主義を引き受けることなのか。それとも西欧の帝国主義以外の近代化とはあり得るのか。戦前日本の知識人はそうした問題と格闘するはめになった。こうした格闘のひとつの頂点が河上徹太郎などによる「近代の超克」の座談会であったが、結局、この座談会は、日本の帝国主義の正当性を糊塗するものに終わってしまった。
 後生の私たちは、この座談会を笑うことなどできるだろうか。戦後日本の言説状況も、じつは「近代の超克」をくりかえしていたのではないか、というのが著者の言外の問いかけではないだろうか。ほんとうに切実に自国を考える人々にとって、本書はかならず有益なものとなるだろう。
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19 人中、14人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 時機を得た現代史, 2009/9/19
レビュー対象商品: 現代日本の転機―「自由」と「安定」のジレンマ (NHKブックス) (単行本)
本書は若手社会学者による現代史の本である。後発国の近代化路線が、1973年を境に左右の反近代主義に変わり、90年代に入って新自由主義が登場してくる流れを描いている。社会学者が書いた現代史には、北田暁大の『嗤う日本のナショナリズム』や、吉見俊哉の『ポスト戦後社会』などがあるが、北田のように文化がメインではないし、吉見のように焦点のぼやけた(失礼)ものでもない。日本の社会像の来歴を真正面から描こうとした著作である。

「右の反近代主義」とは「日本的経営」「日本型福祉社会」「自民党型分配システム」からなる雇用と福祉に関する日本型モデル(H・ハルトゥニアンの「超安定社会」)を指している。左の反近代主義とは、これを批判してきた文化左翼系アカデミズムの対抗言説のことである。右が自民党と大企業、左がアカデミズムでは、バランスがとれていない気もするが、これは戦後の日本では雇用と福祉が政党政治の対立軸にならなかったことを反映している。

著者は、右の「安定」に対置された左の「自由」が、マイノリティの問題として議論されたり、日本型モデルの外部にでることとして空想されたりした結果、「超安定社会」に替わる日本の社会像が真剣に考えられてこなかったことに怒っている。対抗言説の多くは日本型モデルを前提とした議論なので、日本型モデルが崩れて新自由主義が現れても、これをきちんと批判することができなかった。これは、ニューアカや国民国家論がどこにも着地しなかったことや、ケアの社会化やNPOの議論が新自由主義と親和的なことを考えれば、深く頷ける指摘である。また、全体に関するオルタナティブなビジョンがないから、正社員vs非正社員といった利害対立の構図だけが乱立し、被害者探しになってしまうのであろう。

人文系の読書人は「よく知っている話だ」と思うかもしれないが、一般読者に向けて分かりやすくまとめた本は、これまでなかったはずである。じっさい読んでみると色々と発見がある。

また、これは「一部の日本人はよく知っている」だけであって、知らない人のほうがたぶん多いのである。もちろん、韓国や中国の人は知らないだろうし、日本の会社員や大学生だってよく知っているとはいえないだろう。著者が本書を上梓した狙いもそのあたりにあるのではないだろうか。その意味で、この本が日本で幅広い読者を獲得することと、中国、韓国でも出版されることをぜひ期待したい。
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5つ星のうち 5.0 企業により維持されていた社会福祉制度の脆さ, 2010/10/11
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レビュー対象商品: 現代日本の転機―「自由」と「安定」のジレンマ (NHKブックス) (単行本)
 1970年代から2000年代初頭にかけて、日本の社会体制にどのようなことが起こったのかを、世界の潮流との比較および、自由と安定という一種の対立軸を通じて、総論的に明らかにしている。以下では自分の理解をまとめてみたい。

 世界では、73年のブレトン・ウッズ体制の崩壊を契機として、官僚制・福祉国家から新自由主義体制への移行が進められた。この背景にあるのは、第二次世界大戦以後の世界におけるアメリカが果たしてきた戦後復興負担の終結宣言だ。
 これにより、高負担に耐えられない各国は、大きな政府から小さな政府への転換を図った。このような転換が可能な理由には、これらの国に、政権担当が可能な、社会民主主義的な労働系政党と、保守系政党があるという事実を見逃してはならない。

 一方日本においては、この世界環境の激変の中で他国とは全く違う経緯をたどった。
 当時の日本は55年体制下にあったため、政権担当可能な政党は保守系のみで、労働系政党はせいぜい野次を飛ばす程度の役割しか果たせていなかった。このような環境における社会制度は、「日本的経営」「日本型福祉社会」「自民党型分配システム」により成り立っていた。これはそれぞれ、終身雇用、正社員の家長と専業主婦、財政投融資による地方開発、というキーワードで表現されるだろう。この社会制度により、福祉への支出は削減しつつ、企業による身分保障とそれに基づく家計の維持を実現し、その中で専業主婦などの労働力をパートなどで活用してコスト削減をしていた。
 この右バージョンの反近代主義が実現する「安定」に対する対抗軸として、国家・政府・企業などからの「自由」を標榜する議論、左バージョンの反近代主義も存在はしていたのだが、これは身分の安定を前提にした議論であって、現実的に社会を成立するシステムを創り出すことはついにできなかった。ゆえに、せいぜい、少数者、ジェンダーなど、右の反近代主義のシステムからはみ出した部分をつつく程度の議論に留まってしまう。
 結局、日本においては、外交や安全保障は対立軸になっても、経済政策や社会制度が政治における対立軸として議論されることはなかったと言える。

 周辺情勢の幸運と、この様な社会制度の下、総中流と言われる状況が続いて来たのだが、最終的にはバブルの崩壊によって綻びが見えてくる。これまでは企業により維持されてきた右バージョンの反近代主義が、不況のため企業が維持の努力を放棄し、新自由主義が他国に比べ20年遅れでやって来るのだ。
 これまでは企業がセーフティネットとして機能する前提で社会制度が組まれていたため、突然新自由主義に切り替わると、セットでセーフティネットが準備されなかったこともあり、これまでは存在していても気にされなかった格差が、生のまま表出することになった。
 このとき、対抗言説としてスモール・ビジネス論やゆとり論などが登場するのだが、結局これも実際にビジネスとして成立するか否かをまったく無視した議論であったため、格差を是正する役には立たなかった。これは、スモール・ビジネスの対象が主に低賃金サービス業であり、ゆとり論の対象がフリーターなどである事実を考えれば当然と言える。
 そして、この状況は現在も続いているのだ。

 この本で取り扱われている時期は、大体、生まれてから後のことなのだが、物心ついてからの範囲で見れば、半分程度のことしか体験していないわけで、この様に全体感を持って紹介してもらえると、大変わかりやすい。
 このような歴史的変遷を踏まえ、出来れば他の国がどうだったのかも理解してから、現在のニュースを見れば、それがどのような流れの中にあり、どこに向かうのかが分かりやすくなる気がする。ただ、最も心配なのは、その向かう先にアテがあるのかが見えない所なのだが…。
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5つ星のうち 4.0 現代日本社会の本質を考える。, 2009/9/19
レビュー対象商品: 現代日本の転機―「自由」と「安定」のジレンマ (NHKブックス) (単行本)
先日、社会学者高原基彰さんの新刊が出た。この本では現代日本の抱える諸問題の起源を、正体がはっきり見えない「被害者意識」に見出している。従来「保守/革新」などと区分されたような区分が「被害者意識」というカテゴリでひとつにまとめられるのではないかという指摘である。より内容に踏み込めば、日本において、国民に共有されたある種の「理想像」が「自由」と「安定」の間を行き来したことで、日本型「新自由主義」が他国とは異なる異形のものとなったことに注目する。そして、そのような議論の起源を内外の論者の議論を下敷きに、会社中心主義が定着する1973年前後に見出す。これらのテーマは、前著『不安型ナショナリズムの時代』やその他の論文で提出されてきた高原さんの問題意識がよりはっきりと結実したもののようにも見える。個人的には、後半の地域論とNPO論に刺激を受けたが、より一般的には特に中盤以降の80年代から現在に至るまでの社会の系譜を辿る仕事であり参考になるだろう。政権交代をはじめ政局が揺れる今こそ、表面的な問題の背後にある「現代の本質」を考えるうえで必読の一冊といえるのではないだろうか。

不安型ナショナリズムの時代―日韓中のネット世代が憎みあう本当の理由 (新書y)
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5つ星のうち 5.0 「平等」置いてけぼりを、浮きぼり。, 2009/9/20
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misora - レビューをすべて見る
(VINEメンバー)   
レビュー対象商品: 現代日本の転機―「自由」と「安定」のジレンマ (NHKブックス) (単行本)
1973年を転換点に「超安定社会」(家父長制+企業福祉社会)の崩壊家庭を辿る本著。
ところどころ、下知識がないと読みにくいところが目立ちました。表現も、やや難解な印象は否めません。
ですが、著者の設定された対立軸、右の、決して平等ではない家父長制に守られた「安心」、対する、永遠に叶わぬ夢を希求する左の「自由」という切り口は分かりやすく、全体の骨格はつかみやすいです。
「平等」はどこへ行ったんだ?と、叫ばずにはおれません。社会学者らしい批判眼に気づかされます。

ちょうど、この1973年生まれのわたしには、本書は、社会に投げ込まれる存在でしかなかった小学生、中学生の頃の社会の価値観の変化をふりかえることができ、おもしろかったです。自分の置かれた環境を相対化する快感があります。著者と同じ世代か、それより少し下の世代の人に、特にオススメです。

著者が解決策をざくっと書いた終章は、本書にとってはおまけ的な位置づけで、いいんではないか、と。
ただし、社会の不平等さを改めて感じさせてくれた本書を読み、これについては、社会に対し、なんとかせよ、という責任は、有権者であるわたしたちにある、と強く感じました。

また、経済的な不安は、たぶん、わたしたちが死ぬぐらいまでは、どーにか大丈夫なんじゃないのかな?と思いつつも、でも、もう少し、自分たちのために、次世代のために、余裕が蓄積できた方がいい。
そのためにも、今後は、右には「(微)成長」を、左には「平等」な再配分を希求してもらいたいですね。
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78 人中、43人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 1.0 残念。実証が完璧に不足していて、結論も謎。, 2009/9/8
レビュー対象商品: 現代日本の転機―「自由」と「安定」のジレンマ (NHKブックス) (単行本)
著者が問題に据える「裏切られたという被害者意識」。まず、そんなものが本当に、現在の日本人の間に共有されているのだろうか?普通、問題の原因や解決を言う前に、問題の存在についての立論があるはずだが、本書にはそれが全く欠落している。よって、著者が現在社会の何を問題にしようとしているのか、全く分からなかった。
また著者は、内実の伴わない自由を振りかざす「左バージョンの反近代主義」(これがタイトルにある「自由」)と、「官僚制」に支えられた経済的安定を擁護する「右バージョンの反近代主義」(これがタイトルにある「安定」)の両極が経済の失速で駄目になった今、両極以外の解が見えていない為に「被害者意識」が蔓延していると主張している。しかし、この主張は突き詰めれば、「経済が駄目になったから不安になっている」ということ以上のものではなく、それ自体はなんら新鮮で独自な結論ではない。むしろ、「被害者意識」という、言ってみれば気持ちの問題を経済に還元する思考方法には、大きな疑問が残らざるを得ない。
そして本書の結論は、「閉塞感は討議的民主主義で乗り切るしかない」となるのだが、それまでの「左」がどうの、「右」がどうのといった説明(約250ページ)との繋がりが皆無で、全体として何が言いたいのか、筋道が通っていない感がぬぐえない。結局、「話せば何でも分かりあえる」ということが主張なのだろうか?

問題の立て方、問題の原因についての考察、序・中段と結論の繋がり、全てにおいて論理構成が不十分で、☆1つ。
「社会学の若き俊英が描き出す渾身の現代史」という背表紙は、明らかに誇張でしょう。もうちょっと専門分野をしっかり確立した人にこそ、こういう「旬な」テーマは書いてほしかったなあ。
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7 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0 73年で何が変わったか, 2010/1/6
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θ - レビューをすべて見る
(トップ1000レビュアー)   
レビュー対象商品: 現代日本の転機―「自由」と「安定」のジレンマ (NHKブックス) (単行本)
1973年、石油危機。実はここが大きな曲がり角であった。
本書は、その73年以降の日本を、主に経済を軸としながら眺めていく。

73年の危機によって各国は対応を迫られたが、その中で日本は特異な対応をしていくことになる。
そこで出てくるのが二つの立場だ。
1つは「右からの反近代主義」、いわゆる日本的経営と自民党型の分配システム、伝統的分業(男女の役割分担等)に立脚して「安定」した社会を目指すというものである。ここでは個人の生活を保障するのが「福祉的な政府」ではなく「企業」になっている。
もう1つは「左からの反近代主義」、上記のやり方で切り捨てられたマイノリティや女性の「自由」を擁護するというものである。ちなみにここで、欧米で力を持つ社会民主主義的立場、社会の「平等」を重視する立場、が育っていないことは注目すべきである。

そして、上記の二つの方法に対するアンチとして、新自由主義的立場が90年代から台頭する。
左右ともに中央政府の肥大化を招くが、それへの批判を新自由主義は行うのである。

と簡単にまとまってしまうのだが、実は序章だけ読めば大体本書の内容は押さえたことになってしまう。
こまごましたデータや本はまとまってはいるのだが、いささか読んでいて退屈なところも多く、結局序章ですべての気がした。結論や提言はというとひどく常識的だし(とはいうものの、その常識がなかなか通用しないという現状もあるのだが)
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7 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 冷静に現実をみつめるために必要な、社会学者が整理したこの30数年間の日本現代史, 2009/12/21
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左党犬 (日本国 JAPAN) - レビューをすべて見る
(トップ500レビュアー)   
レビュー対象商品: 現代日本の転機―「自由」と「安定」のジレンマ (NHKブックス) (単行本)
 1976年生まれの33歳の社会学者が、石油ショックの発生した1973年以降の社会変動を、社会理論の観点から冷静に整理した、この30数年間の日本現代史。

 1980年代にかけて実現した「超安定社会」は、バブル崩壊後の1990年代には機能不全に陥りはじめた。そして2000年代に入って最終的に「日本型新自由主義」のもと一気に崩壊したことが明るみになり、多くの人たちが裏切られたという思いを抱いている。「被害者意識」に充ち満ちている現在の日本。
 雇用と仕事の破壊は、地域や家庭の崩壊をともない、誰の何に対すする被害者意識かもわからないまま、無力感と閉塞感が強まるばかりである。

 このもやもやとした、つかみどころのない閉塞感の原因がどこにあるのかを考えてみたい人には、ぜひ読んでみることをすすめたい。
 「あまりにも過去が早く忘却される」日本では、現状を正確に把握するためには、歴史的な経緯を整理しておくことがきわめて重要だからだ。

 「超安定社会」とは歴史的な偶然により実現したものであり、しかもそれは日本人が自ら抱いた自画像であった。崩壊したいま明らかになったのは、その自画像は実は幻想だったということである。

 「日本的経営」という、正社員男子とその配偶者である専業主婦、そして子供(たち)という家族をセットとしたシステムのもとにおいては、社会福祉もまた会社と不可分のものとなっていた。しかし、このシステムがパートタイムの主婦やアルバイトの若者を「第二身分」として前提としていたことに、多くの人たちは気がついていなかった。
 激化するグローバル競争のなか、経済界が経済合理性の観点から「日本的経営」に決別し、「新自由主義」を選択したことは、1980年代後半からビジネス社会に身を置き、とくに人事管理に深くかかわった経験を私にはよく理解できる。しかし、その私も現在の日本の状況は想像できなかった。私もまた「幻想」のなかにいたのだろう。

 失ってみてはじめてわかった「超安定社会」、「一億総中流社会」という幻想。
 幻想であった以上、もはやこの「超安定社会」に戻ることもありえない。崩壊を嘆いてみても、ノスタルジーにひたるのも無意味なことだろう。
 ましてや裏切られたと被害者意識をもっても、何も生み出さないのではないか。
 著者もいうように、個々人が手探りで進むしかないのである。処方箋を優秀なエリートに作ってくれると期待するのは、もうやめたほうがいい。また裏切られることになる。

 冷静に現実をみつめるために、この30数年間の日本現代史を、著者と一緒ににみつめてみることを、すすめたい。
 処方箋を、自分自身で見つけるために。
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9 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 戦後日本の来し方を一望するパノラマ, 2010/7/12
レビュー対象商品: 現代日本の転機―「自由」と「安定」のジレンマ (NHKブックス) (単行本)
本書のいう「安定」を成すものは

日本的経営

日本型福祉社会

自民党型分配システム

の3点セットであり

それに対置される「自由」も米国型のそれではなく

「安定」を具現する「息苦しい官僚制に覆われた社会」へのアンチテーゼとして

賃労働や家族や国家すら否定する代物である。

この「安定」と「自由」は左右両翼からの「反近代主義」と位置付けられ

田中角栄の開発主義

=「都市・農村間の格差是正と先進国へのキャッチアップを目指す「右バージョンの近代主義」」

を経て73年、第1次石油危機により世界は福祉国家から新自由主義への転機を迎えるが

そもそも福祉国家などなかった我が国はこの潮流に背を向け

「安定」に安住する「反近代主義」に反転。

しかし日本的経営・日本型福祉社会の担い手だった財界が

柔軟な雇用重視へと転換し日本型新自由主義を主導。

自民党型分配システムの腐敗批判が93年誕生させた細川内閣の下で発足した

経済改革研究会の「平岩レポート」によって経団連は

(輸出自主規制・カルテル容認の)「我慢の経済」路線から構造改革路線へ転換。

細川総理、小沢新生党代表幹事は行革、米輸入自由化等に積極姿勢を示すも

自民との対立軸の設定に失敗し下野。

平岩レポート路線を「ほぼ直線的に実行に移そうとした」橋本内閣の緊縮財政が金融危機を招来。

小渕内閣の下での積極財政への転換を経て

「日本で最大の新自由主義プロジェクト」たる小泉構造改革が自民党型分配システムを破壊。

結局「超安定社会」が歴史の一齣であり

もうそこには戻れない以上

著者が最後に示す具体的対処法

即ち情報収集と選挙権の行使

自己抑制と自助努力

身内を大切にすること

等は当たり前のことであるが、やはり大切である。
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