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4レビュー
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17 人中、11人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
推奨,
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レビュー対象商品: 高度成長 (中公文庫) (文庫)
本書は、1997年に出版された著作の文庫版である。原著の出版からすでに15年の歳月が流れたことになるが、本書の価値は少しも減じていない。碩学による「日本経済の高度成長史」として多くの読者に推奨したい。吉川氏とほぼ同年代のレビュアーは、小学校入学から大学卒業までの「6000日」を追体験するような感慨を覚えた。1950年代の渋谷駅前の様子や食い入るように紙芝居を見つめる子供たちの真剣な眼差しなどに、半世紀前にタイムスリップしたかのようなリアリティを感じる読者も少なくないであろう。吉川氏も本書で指摘するように、高度成長には功罪両面があったにせよ、若者にとっては希望とスリルに満ちた時代であったことは、同年代の多くの読者が賛同されるのではないだろうか。
13 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
高度成長の時代の足取りを様々な視点から分析した名著,
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レビュー対象商品: 高度成長 (中公文庫) (文庫)
単行本として久しく絶版となっているこの名著をオークションで手に入れようとすると8,000円近くの出費を覚悟しなければならなかった。今回これが中公文庫で800円+税で購入できることとなったことは本当に有難い。有難さはそれだけにとどまらない。装い新たに文庫版を刊行したこの機会に著者は「経済成長とは何だろうか再論」を「文庫版あとがき」として新たに付け加え、その中で大きな歴史的思潮にも目を配りつつ経済成長についての分析・考察を更に展開している。また学者としての抑制を効かせつつ改めて「高度成長」に対する著者の心情も伝えられる。これらを読むことができるのも文庫版ならではのことだろう。 著者と同じようにリアルタイムで「高度成長」を経験した世代(当方もその一員だが)だけでなく実際に経験していない世代も含めて経済成長の意味を考えるとき、ミクロ、マクロ両面で「日本を変えた6000日」を鮮やかに考察・分析した本書は実に有益な視点を提供してくれる。
4 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
日本の高度成長をよくまとめています。,
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レビュー対象商品: 高度成長 (中公文庫) (文庫)
耐久消費財が各家庭にいきわたった事で、日本人の生活が伝統的なものから大衆消費社会の生活に切り替わった。たかだか15年の間に。1955年と1970年の差は、現代と43年前の差と比べると圧倒的である。すなわち、「日本を変えた6000日」のサブタイトルの所以である。例えば、洗濯板でごしごし洗っていた家事負担と洗濯機導入後の家事負担は圧倒的に違うが、半世紀前の初期の洗濯機と現代のマイコン制御の洗濯機間での家事負担の差はそれほど大きくはない。高度成長のメカニズムは、P131の図9でわかりやすく図示されている。大衆の耐久消費財等の需要を基盤に投資が投資を呼び、それが賃金雇用者の収入アップを経由して、大衆の需要につながるpositivな循環につながるといった内容である。更にそれが可能となった基底に、農村から都市への移動や核家族化による世帯数増大をあげている。 尚、1975年のSSM調査(社会調査)を基に書かれた社会学者の富永氏の「日本の階層構造」では、高度成長期終了後の日本人の総中流意識化について論じているが、吉川氏の高度成長の説明と富永氏の総中流意識化の説明には、表裏一体の印象を持つ。 最終章で、ロストウの「近代化」の理論をふまえて、高度成長期をロストウの「高度大衆消費社会」への道程と説明し、高度成長自体が日本に特異的な現象ではなく、韓国シンガポール等のアジアの諸国が日本より少し遅れて経験し、今まさに中国が達成しつつある過程と論じている。 あとがきで、「経済学が成長の問題を分析するときには、かぎりなく歴史学に近づかなくてはならない」との経済学者のヒックスの言葉を持ち出すとともに、「『高度成長』は農業国が工業を中心とする経済に転換し一人当たりの所得の飛躍的上昇を生み出すために史上でたった一回だけ経験するビッグジャンプである」と述べている。あとがきでの著者の記述に、同意する次第である。
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5つ星のうち 4.0
日本が奇跡の経済発展を成し遂げた6000日,
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レビュー対象商品: 高度成長 (中公文庫) (文庫)
高度経済成長について解説した本である。1946年のGNPは1938年の半分。鉄鋼生産にいたっては戦前のわずか7%。一人当たりの摂取カロリーも2200Kcalだったのが1500Kcalすら下回る。物価は1945年〜1950年にかけて公定価格で70倍、ヤミ市での実勢価格ではさらにその5〜7倍になる。1946年には全預金の70%が封鎖され、インフレによってその価値は激減。戦前の国債なども無価値となる。これに農地改革・財閥解体が加わり富裕層は没落。そんなどん底の状態から戦後の日本はスタートする。1951年の朝鮮戦争勃発による特需。東西冷戦によるアメリカの政策変更。企業の新技術導入に伴う生産性向上。上がる賃金。農村から都市への大規模な人口流入。1950年には国民の半数が1次産業に従事していたが1959年には雇用者が半数を超える。戦災の土砂や瓦礫の利用が発端となった河川や堀の埋め立て。鉄鋼や石油化学などの産業への投資と技術革新が価格低下と品質向上を生み、それが自動車などの生産拡大と投資を増大させる。さらに、流通・通信・交通というサービス産業の成長をもたらす。エンジニアの需要と理工系学部の新設・拡充。大家族は核家族化。世帯数の増加が耐久消費財需要の増加を生む。 池田内閣の所得倍増計画。田中角栄の日本列島改造論。皮肉なことに高度経済成長とともに保守系の得票率は低下するが、国政における社会党の低迷も止まらなくなる。 高度経済成長の負の側面といえるのが、水俣病をはじめとする公害問題。一方、抗生物質・健康保険制度・上下水道普及・病院での出産は、乳児死亡率低下と平均寿命向上に貢献する。 高度成長期(1955〜72年)の純輸出の寄与度は1%に過ぎないというのは知らなかった。高度経済成長の主役はあくまでも内需であり輸出は脇役だったのだ。ただし、その後の安定成長期(1973〜85年)の純輸出寄与度は13%で、日米貿易摩擦の1980年代前半にはそれが38%まで上昇したのだという。 高度経済成長の姿を歴史的な観点から振り返っているという意味で大変興味深い本だ。ただ、「わたしたちはこの変化を『進歩』だと自信をもって言い切れるだろうか」という「おわりに」の内容は少々主観的かつ情緒的で曖昧である。あと、朝鮮戦争特需について「高度経済成長のキックオフは隣国の不幸によってもたらされたという事実を、われわれ日本人は忘れるべきではない」というのも、論理性関係性が不明で一体何をいいたいのかよくわからない。 |
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高度成長 (中公文庫) 作成者 吉川 洋 (文庫 - 2012/4/21)
¥ 840
在庫あり | ||