カスタマーレビュー


140レビュー
星5つ:
 (106)
星4つ:
 (21)
星3つ:
 (9)
星2つ:
 (2)
星1つ:
 (2)
 
 
 
 
 
おすすめ度
あなたのご意見やご感想を教えてください
自分のレビューを作成する
 
 

評価が高い有用性のあるレビュー
評価が高くない有用性のあるレビュー


327 人中、292人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 出光カードを作りたくなった!?
百田尚樹の新作である。出光興産の創始者である出光佐三の自伝的小説だ。国岡鐵造という名前になっており、かなり脚色されてはいるものの、大筋では歴史的事実に基づいているようだ。
出光佐三というと『日章丸事件』のみがクローズアップされるが、タイムカートなし、出勤簿なし、馘首なし、定年なしという絶対的『人間尊重』の個人商店(佐三の死後も近年まで、出光は株式上場をしていない)を貫き通した。しかも、石油関連会社でありながら、民族会社として日本人による日本人のための会社として、西欧の巨大石油会社からの役員、銀行からの役員すら受け入れないという自社叩き上げの社員で構成されたプロ集団を作り上げたのは、戦後の奇跡としか言いようがない。...
投稿日: 10か月前 投稿者: 丹波の赤鬼

対
8 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0 悪くはないが・・・
悪くはないが、それほど良いとも思えない。期待感が大きかったからだろうか。
まず、2冊に分けるほどの内容ではない。1冊にまとめれば良かったと思う。
今の時代の価値観(戦後レジームからの脱却)にあった内容だとは思うが、少しまとめ過ぎたように思う。

また、フィクションもかなり入っているのだろうな。
よく言えば、読みやすくて単純明快。

悪く言えば、深みがなく、物語をまとめ過ぎている。
そういえば「竜馬がゆく」を思い出しました。

あの本もほとんど創作でしたっけ。
投稿日: 1か月前 投稿者: 桜・桜


‹ 戻る | 1 214| 次へ ›
有用性の高い順 | 最新のレビューから

327 人中、292人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 出光カードを作りたくなった!?, 2012/7/17
Amazon.co.jpで購入済み(詳細)
レビュー対象商品: 海賊とよばれた男 上 (単行本)
百田尚樹の新作である。出光興産の創始者である出光佐三の自伝的小説だ。国岡鐵造という名前になっており、かなり脚色されてはいるものの、大筋では歴史的事実に基づいているようだ。
出光佐三というと『日章丸事件』のみがクローズアップされるが、タイムカートなし、出勤簿なし、馘首なし、定年なしという絶対的『人間尊重』の個人商店(佐三の死後も近年まで、出光は株式上場をしていない)を貫き通した。しかも、石油関連会社でありながら、民族会社として日本人による日本人のための会社として、西欧の巨大石油会社からの役員、銀行からの役員すら受け入れないという自社叩き上げの社員で構成されたプロ集団を作り上げたのは、戦後の奇跡としか言いようがない。
彼の生き様を、まるで連続テレビドラマでも観ているように、読みやすい文章で淡々と綴られていく。現実も激動の時代であったとは思うが、非常に速いテンポで進んでいく。上下巻であるにもかかわらず、全く退屈することはない。どうしても、主人公の『人間尊重』『愛国主義』を表すエピソードが多く、下巻あたりでは、もう説明しなくていいよ・・・・と感じるくらいである。
その中でも遊びを忘れず、『永遠の0』を少し登場させ、史実ではないかもしれないが、私生活での前妻への思いまで織り込んでいる。こういう遊びがないと、単に自伝を脚色しただけで小説にならないところであるが、そのあたりは百田氏の面目躍如といったところである。
日本人が日本人としての誇りを失いかけた戦後の沈滞した空気の中を切り裂いて進むような人物に触れ、日本人として、『侍』としての生き方、誇りを考えさせてくれた作品です。
痛快ですよ。
レビューを評価してください 
このレビューは参考になりましたか? はい いいえ


236 人中、204人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 最高級の冒険小説, 2012/7/18
レビュー対象商品: 海賊とよばれた男 上 (単行本)
「企業家」を主人公とした伝記的な小説は数多くあるが、正直なところ、このジャンルの書き手に「物書き」としての矜恃や信念を感じることは非常に少ない。とりわけ「金融」や「IT」業界を舞台にした作品は、単なる提灯持ちか、逆に何らかの怨念の持ち主としか思えないような、読後感最悪のものが多い。少なくとも子どもに読ませたいと思った作品は皆無である。
それに比べて百田氏のこの作品は、出光石油という実在の企業と実在の人間を、(おそらくは)事実に忠実に描写したであろう小説でありながら、最高級の冒険小説のように心を踊らされる。そして次世代を担う子どもたちに、いまの日本を築き上げた先人たちの苦労を伝えるために、是非とも読ませたいと思う素晴らしい啓蒙書でもある。
「環境保護」ばかりが声高に叫ばれ、経済成長や科学技術の革新が人類の罪悪であるかのような偏った教育がなされている今日、巨大タンカーの竣工パーティーに15000人の中学生を招待するシーン。「明日の日本を背負う少年少女たちに、日本人としての誇りと自信を持ち、未来に対して大きな夢を持ってもらいたい」という創業者の言葉。是非子どもたちに読ませたい、伝えたいと思った。
百田氏の作品はすべて読んできたが、そのなかでも最高の作品だと、自信をもってお薦めしたい。
レビューを評価してください 
このレビューは参考になりましたか? はい いいえ


84 人中、67人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 「信頼」の偉大な力を体現した、豪胆で崇高な生涯。痛快無比!, 2012/9/29
By 
博多ムーミン (福岡市) - レビューをすべて見る
(トップ50レビュアー)   
Amazon.co.jpで購入済み(詳細)
レビュー対象商品: 海賊とよばれた男 上 (単行本)
よくぞこんな日本人が現実に存在してくれたものだ……。
「事実は小説より奇なり」。上下巻まで読み終わった今、あまりの波乱万丈の一生に、私の脳の中で、この言葉がぐるぐる渦巻いている。
もちろん、小説だから、脚色した部分もあるだろう、が、あくまで「事実」に基づいた「小説」である。
主人公・国岡鐵造のモデルとして、出光佐三という崇高な生涯を送った人物が実在していたことに、驚きと喜びを禁じ得ない。

社員を家族のように大切にし、国民の生活に奉仕しようとの至純にして至誠の生き方は、奇跡的である。
敗戦後の最も苦しい時代でも、一人の馘首も許さず、その一方では、国家権力とも石油メジャーとの大喧嘩も辞さない豪胆さ。
そして、鐵造の「信頼」に応えようと、意気に感じた社員たちが、働きに働き、不可能を可能としながら、大出光を築いていく物語は、痛快無比である。

それにしても、これほどの大人物を紹介し、見事に描き切ってくれた百田氏の精魂こめた仕事に、感嘆とともに感謝、感謝である。
名著「永遠の0」を読んだ時と同じく、何度も涙を禁じ得ない場面があった。
特に、私は、段落が切れる直前の最後の一行に、大好きな表現が多く、うならされることがたびたびであった。
たとえば、鐵造が、タンカー「日章丸」の船長・新田を、イギリスと係争中のイラン・アバダンヘの危険な航海に送り出す場面。

「万が一のときには−−」鐵造は言った。「沈むかもしれない」
新田はにやりと笑うと、髭を指で撫でた。(下巻159'ページ)

背景なしでは、ちょっと分かりにくいかもしれないが、簡潔な表現のなかに「侍」どうしの心の通じ合いを感じ、ぐっと来るのだ。
こうした心憎い描写が、随所に出てくるので、上下二巻、中だるみすることなく、ぐいぐいと読み通させるのである。

終章に出てくる、アンドレ・マルローとの対談で鐵造が語った言葉は、この物語を象徴するようで、深く感銘した。
「私は、人間を信頼するという考え方を広めていくことこそ、日本人の世界的使命と言っています」。

今、「世界の中の日本」が問わている。
「信頼」という深い次元で、「日本人の誇り」を取り戻し、使命を果たさなければならない。
この大傑作を一人でも多くの人に読んで欲しいと、切実に願う。
レビューを評価してください 
このレビューは参考になりましたか? はい いいえ


104 人中、81人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 まさに日本人のあるべき姿!, 2013/2/18
レビュー対象商品: 海賊とよばれた男 上 (単行本)
敗戦直後、アメリカをはじめとした諸外国の圧力が日本を揺るがす時代に自らの信念を貫き通した出光佐三(本書では国岡鐵造)という男の生き様を鮮明に描き出した感動の最高傑作です。

目先の利より信用や国益を最優先し一歩も引かない真っ直ぐな姿勢、信頼できる相手と見れば委細構わず契約を決めてしまう思い切りの良さ、従業員を家族同然として面倒を見る情の厚さ等、単に物語としての痛快さを超越しています。

利に聡い欧米資本主義が拔扈し、又、新たな脅威として中国が台頭する現代の世界情勢の中にあって、日本人が日本人らしく生き抜くための示唆に富み、人と人、国と国との信頼関係をいかに築くべきかを指し示す、人生の羅針盤になる本と言っても過言ではありません。

百田氏の膨大にして細やかな下調べと爽やかな筆さばきに敬意を表します。
レビューを評価してください 
このレビューは参考になりましたか? はい いいえ


3 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 晴れ女になりたい, 2013/6/6
Amazon.co.jpで購入済み(詳細)
レビュー対象商品: 海賊とよばれた男 上 (単行本)
これが実話なのかと思うくらい厳しい試練を何度も味わう中、不屈の精神で一流企業にしていく様は、清々しい気持ちになって読み手を夢中にさせる逸品です。
レビューを評価してください 
このレビューは参考になりましたか? はい いいえ


7 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 本屋大賞納得しつつ、明日、出光で給油しよう!, 2013/5/13
レビュー対象商品: 海賊とよばれた男 上 (単行本)
出光興産の創業者・出光佐三をモデルとした、歴史経済小説。この物語に登場する人物は、実在したそうです。
主人公・国岡鐵造は、明治十八年(1885年)に福岡郊外の田舎町で染め物業の子として生まれ、父親に隠れて受験し福岡商業に合格、その後、神戸高商(現・神戸大学)に進む。そして神戸高商時代に一生を賭ける石油と、生涯の支援者であり人生の師となる資産家の日田重太郎に出会う。卒業後、丁稚奉公をへて独立、「国岡商店」を創業し、昭和の戦前・戦中・戦後にかけて、日本国内そして世界を相手に石油を商売として闘っていく。しかしそれは、儲けるためのモノではなく、人間尊重・消費者重視、誘惑を退け、妥協を排し、正義の信念を貫くものであった。昭和五十六年(1981年)没。
日本民間人で、こんなにすごい人がいたのかと、感動してしまった。経営者としても人としても、スケールが大きく、また言動も、正義感と人間味あふれるもので、日本人として、勇気と誇りを持たせてくれる物語であった。
今の自分を振り返って考えてみると、何と姑息でちっぽけかと思ってしまう。しかし、同じ日本人なので、自分も自信を持って頑張らなくてはと発奮せてくれる小説。
目先の利益・損得が重視されてしまう昨今、若い人たちも含め、大勢の方に読んで頂きたくなる本でした。(だから本屋大賞なのか…納得!)
明日、出光で給油しよう!
レビューを評価してください 
このレビューは参考になりましたか? はい いいえ


7 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 ビジネスはこうでなくちゃ, 2013/5/4
レビュー対象商品: 海賊とよばれた男 上 (単行本)
お客様の為、社員の為、国家の為、のビジネス。
かっこよすぎます。
偉業達成の裏に隠された苦労が非常に良くわかりました。
自分も信念を持って生きたい!と、思わずにはいられない一冊。
レビューを評価してください 
このレビューは参考になりましたか? はい いいえ


49 人中、37人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 看板に偽りなし, 2012/11/18
レビュー対象商品: 海賊とよばれた男 上 (単行本)
仕事が決まって、残り少ない充電期間にどうしても読みたかったこの本を読みました。

仕事の意味とは何なのか。

日本の真っ当な近代史とはなんなのか。

一人の人間が信念を実行することがどれほど尊いことなのか。

一生を生き切るとはどういうことなのか。

信頼関係とは何か。

全てを教えられた気がしました。分厚い本が2冊ですし、内容も濃いのですが2日あまりで一気呵成に読んでしまいました。

実在のしかも身近なガソリンスタンド屋の経営者(出光興産創業者「出光佐三」がモデル)が、これほどまでに日本の国のために身を捧げ、体制悪と戦った姿はうち震えるような感動を与えてくれました。日本人全員に読んでほしい本です。

各方面で本年度ナンバーワンとの評価を聞きますが、看板に偽りなしです。

本当に読んで良かった。
レビューを評価してください 
このレビューは参考になりましたか? はい いいえ


6 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 国のためひと世つらぬき尽くしたる君, 2013/6/2
レビュー対象商品: 海賊とよばれた男 上 (単行本)
事実は小説より奇なりを見通させるノンフィクション小説といったら著書に失礼であろうか。国岡鉄造こと出光佐三という胸のすく快男児の半生の武勇談が次々と語られ、果たして真実のエピソードなのか、脚色が混じっているのではないかという思いがときおり脳裏を掠めたが、すべて真実であろうと信じさせる筆力である。

出光佐三は早くも大学(神戸高商)の卒論で石油の時代を予言し、社会人となって石油ビジネスで成した財産を、石油が原因で始まった先の大戦で喪い、戦後は又ゼロから石油事業に取り組み、当時の国際石油資本(セブン・シスターズ)と対決、見事に勝利し、独立の民族資本として生き残った。一介の石油元売り商人が戦前戦後の日本政府の統制と戦い、世界の石油メジャーの妨害と戦い、その全てに勝ち残った軌跡はまさに奇跡であろう。この奇跡の実現は終始一貫、士魂商才を貫き、愛国心をビジネスで実践したが故か、日本人の美徳を尊び、日本の神仏に祈り、日本人の大道を歩んだ故か。

日本が東南アジアから西欧列強を駆逐し大東亜共栄圏を築き始めたとき、その占領地に日本の石油産業を興させるため出光が精鋭社員200名を派遣した。このとき出光は「国への奉公の誠を尽くせ、国家に尽くす大使命のためには会社(出光)の立場を顧みる事なかれ」と本当に言ったのだ。この言葉を中国大使だった元商社社長は何と聞く?昭和56年95歳で逝去の折、昭和天皇が「国のためひと世つらぬき尽くしたる君また去りぬ寂しと思ふ」と詠まれたのもむべなるかなである。

私自身かつて中東で契約交渉に携わり、イランのプロジェクトにも関わり、米国保険会社と訴訟で戦っているので、とりわけ日章丸事件の顛末は、イランのモサデク首相以下との契約交渉(米国西海岸CIF公示価格の30%引きの獲得)を含め、極めて興味深い。企業法務に携わる者の必読書でもあろう。

徳山リファイナリーの建設請負契約では、双方の信頼関係があれば膨大な契約書は不要、「徳山でUOPが出光の製油所建設を請け負う」という1行で済む、という出光の契約哲学をUOPのアメリカ人社長が理解したというのも興味深い逸話である。通常プラント輸出契約は電話帳のような厚さとなる。ちなみにここで著者に是非触れて頂きたかった歴史がある。石油精製の技術は1853年にサミュエル・キューアが発明したことになっているが1852年(嘉永5年)の西村毅一・阿部新左衛門が早い。二人が共同で新潟県柏崎に小さな製油所を建て灯油を生産している。

人間尊重の社是を掲げる会社は多いが、就業規則なし、タイムカードなし、リストラなし、定年なし、組合なし、「儲けろ」とも言わない会社は恐らく世界中に出光だけだったのではないか。企業統治も法令遵守も人間不信がなければ本来不要なのである。さらに士魂すなわち「武士道」があれば五無主義経営も不可能ではなかろう。

「永遠のゼロ」同様、本書の通奏低音(バッソ・コンティヌオ)も「近代史を貫く強固な欧米支配と、これに挑戦・対抗する日本」の歴史観である。世界の石油を支配するメジャーに挑戦した出光は、そのまま地球を支配した白人列強に対抗し独立を守った日本の姿に重なる。モサデク政権の石油国有化でイランは英国の石油を盗んだ、それを買う者は「盗品故買」の刑事犯とする英国の帝国主義論理は、本当は英国がイラン国民の財産を盗んでいたという歴史認識によって簡単に覆る。日本の解放したシンガポールに戦後ふたたび戻ってきた英国の植民地政策が出光の「正しい歴史認識」を可能にしたともいえる。当時国際法の最高権威だった横田喜三郎でさえ加担したこの論理の矛盾を出光はいち早く見破ってイラン・ビジネスに向かった。この全体構図のなかで出光は、石油業界に生きるビジネスマンの立場で見事にその主役となり世界が尊敬する日本人の一人となった。平成に生きる我々日本人はこの書を読み進むうちに自ずと日本が世界史のなかで果たした役割に気づかされ、GHQや日教組の洗脳から放たれて、素直に国士としての出光に共感し拍手を送ることになる。本書を読んだ知人の幾人かが本書のところどころで泣いている。

本書や「永遠のゼロ」がこれほど多くの読者に読まれる理由は「信義」に飢えていたからではないかと思う。私自身社会人として経験したことだが、日本の大組織のなかに多くの非出光の日本人が居ることは間違いない。本書にも多く登場する政財官界の非出光や反出光たち。この者らが日本を売り、どれほど日本を劣化させ、国家、社会や組織の運営を非効率にしているか。また組織の中で強い者に媚び諂い、弱い者に威張り、仲間の足を引っ張り、平然と敵に妥協する、偽善と欺瞞も多い。心ならずも彼らの振る舞いを見過ごし遣り過ごしながらの処世を余儀なくさせられているサラリーマンの多くが出光の正義や信義に共感したのではないか。「永遠のゼロ」同様、日本社会の根本的問題をテッケツしている。

「日本の多くの石油会社がメジャーと提携し彼らの傀儡になり果てている」のが本当であれば、これは見過ごしのできない事態であろう。日本社会のなかにいるこれらの反出光を確定して潰していかなければ日本の再興はない。アベノミクスの3本の矢は彼らをも射なければならない。

出光の日章丸事件は出光が商人として太平洋戦争の続きをやってのけた、仇を取った、ともいえる。プリンス・オブ・ウエールズを沈め英国の東洋艦隊を潰滅させた日本は対米敗戦後にまた日本のタンカー(輸送船)を臨検・拿捕・爆撃という戦争行為に及ぼうとした英国を翻弄した。日章丸船長は先の大戦中、輸送船の船長で2度撃沈された経験があり、右腕となった機関長も帝国海軍の駆逐艦乗り組みだった。つまり多くの関係者が終戦後も生き残り戦前の経験を戦後に伝えていた。英国海軍の追跡を振り切った之字航法ならぬ出鱈目航法も戦争中の日本のノウハウだった。1868年の明治維新後も維新前のサムライ達が活躍したように、1945年の敗戦後も戦前の気骨ある日本人が生き残って日本を支えたのだろう。

21万トンタンカー「出光丸」竣工の昭和41年に「日本人が誇りと自信を持っているかぎり今以上に素晴らしい国になる」と言った出光は、「日本人の道義の退廃の根本原因が現行憲法の欺瞞」と指弾した昭和45年の三島事件をどう評価したのだろう。いま生存していたら、尖閣や沖縄が脅かされ、いわれなき従軍慰安婦や南京虐殺の外侮を跳ね返せない、拉致被害者を奪還できない日本にどうアドバイスするであろうか。私には出光の声がこの書を通して聞こえてくる気がする。

作者のエピソードの語り口には独特の3段論法が繰り返されるが作り話ではないために飽きさせず妙な説得力がある。昭和20年8月、敗戦の詔勅後の社員への訓示で「日本は必ずや再び立ち上がる、しかしその道は死に勝る苦しみと覚悟せよ。」と宣言。そして何度かの苦難を一つづつ乗り越える構成自体がこの3段論法である。ひと山越えたらまたの山。いくつかの見逃せないエピソードを思い出すままに記す。

1. サラリーマンとなって間もなく独立の希望を抱く→ところが資金がない→学生時代の家庭教師先の男が出光という人物を見込んで資金を融通(貸すのではなく贈与)したため希望が実現。

2. 関東大震災の余波を受けメインバンク(第一銀行)が融資を引揚げ倒産の危機→他の銀行(23銀行)の頭取との禅問答→融資の肩代わりが実現。

3. 金融恐慌で23銀行を吸収した大分合同銀行が同じく資金を引き揚げようとする→その支店長が出光に惚れ込みトップを説得→逆に融資拡大。

4. メジャー3社の金城湯池の上海に挑戦状を送り殴り込みをかけ逆襲される→囮販売店とゲリラ商戦で対抗→見事勝利。

5. 満鉄車両の車軸に使われる潤滑油はスタンダード・オイルなど外資系の独占だったところへ売込みをかける→満鉄資材部は国産製品への不信感から取り合わない→満鉄の満洲北部への延伸に伴い外油が凍結し車軸が焼ける事故が多発。外油からの実車実験の挑戦を受けてたち完全勝利によって満鉄は出光の「満2号潤滑油」に切り替え。

6. 敗戦後総資産喪失、収益ゼロでリストラ必死→ラジオ修理業に活路を見出す→ひとりも馘首せず。

7. 戦後当面の糊口をしのぐラジオ修理業を始める→融資が得られず倒産か→銀行に修理を実演し信用を得て融資獲得。

8. モサデクの英国資産国有化が歴史的正義に適うことを見抜き、英国と係争中のイランのアバダン港からのガソリンと軽油の輸入を企画→日本政府の意向で予定していた飯野海運が輸送契約を破棄→自前のタンカー日章丸を太平洋から回航。敗戦に沈む日本国民を勇気付けるとともに、イランと日本との信頼関係を構築した(昭和28年の日章丸事件)。

ちなみに日章丸がセイロンを通過した時点で読み上げられた出光の乗員へのメッセージ(檄文)は出光が希代の文章家すなわち教養人でもあったことを証明する。同時に出光の「店主」としての強固なリーダーシップは出光の要所要所での的を得た「ことば」の発信力によるのではないかと思う。

9. 日章丸起用には英国海軍による拿捕・撃沈のリスク→船長の然諾、不規則航法、シンガポールを避けインド洋南を迂回→無事日本へ

10. 英国海軍による拿捕のリスクに備え戦争船舶保険を東京海上へ要請→ロイズ再保険会社との保険約款にあるAccording to English Law and Usageという条文違反を役員が指摘し破談の恐れ→契約の正確な解釈(損害発生の場合の規定であること)で決着。

11. 代金支払のための外貨不足→代金支払不能(デフォールト)の恐れ→通産省担当課長の機転で申請書記述を工夫して通産省の承認取得

12. BP(アングロ・イラニアン)が日本に到着した石油を差押ようと仮処分申請。横田喜三郎がBP側有利の鑑定意見→出光有利な国際法判例を知る辣腕弁護士が登場→地裁が申請却下

この裁判で出光は、東京地方裁判所民事九部北村良一裁判長に「この問題は国際紛争を起こしておりますが、私としては日本国民の一人として俯仰天地に愧じない行動をもって終始することを、裁判長にお誓いいたします。」この言葉が裁判官を動かした可能性もある。

13. 石油の指定販売業者指定で営業開始を企図→政府と石油公団が潰しにかかる→GHQに上訴して指定獲得。

14. ガルフ石油、USスチールの懇親パーティーに招待されスピーチ→アメリカの民主主義は贋物と喝破し聴衆の顔色が変わる→人間尊重の五無主義経営哲学を語って聴衆の心をつかみ最後は拍手。

15. 徳山製油所建設を企画→莫大な建設資金を欠き、製油所の設計・施工能力あるコントラクターが日本に不存在→日章丸事件を評価するバンク・オブ・アメリカのトップから融資を得、世界最高の技術をもつUOPと建設請負契約

最後に、「石油を支配されることは日本の産業が支配されることを意味する。そうなれば日本が欧米に対抗する事は永遠に不可能となる」のが真理であるとすれば、日本のこんにち只今の産業は欧米の支配を免れているのだろうか?本書にその答えはなく、マスメディアも報ぜず、政府ももちろん公表していない。野党も選挙で争点にしていない。知らないのは私独りだろうか?

2013年6月1日
レビューを評価してください 
このレビューは参考になりましたか? はい いいえ


2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 感動した, 2013/6/11
Amazon.co.jpで購入済み(詳細)
レビュー対象商品: 海賊とよばれた男 上 (単行本)
こんな日本人が存在したとは奇跡としか言いようがありません。
いまの政治家、官僚や財界人に是非読んでもらいたいです。
レビューを評価してください 
このレビューは参考になりましたか? はい いいえ


‹ 戻る | 1 214| 次へ ›
有用性の高い順 | 最新のレビューから

この商品

海賊とよばれた男 上
海賊とよばれた男 上 作成者 百田 尚樹 (単行本 - 2012/7/12)
¥ 1,680
在庫あり
カートに入れる ほしい物リストに加える
この商品のカスタマーレビューだけを検索する