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5つ星のうち 4.0
非常に期待できそうな新人作家です, 2011/8/24
レビュー対象商品: 首ざぶとん (角川ホラー文庫) (文庫)
日本ホラー小説大賞短編賞受賞作家だというので、なんの気なしに購入。いやあ、なかなかやりますね、という感じ。多くの日本人が持つ原初的な恐怖感と今時の状況や小物(携帯電話とか)がうまくマッチして上質のホラー小説に仕上がっていると思う。 怪談のメッカ?京都を描いたホラーや、大阪をテーマにした小説は多いが、その間の京都寄り、長岡京市を舞台にしたというのが、またちょっと凝った感じでおもしろい。ここは長岡天神社や大きな竹林があるので有名で、5月になるとタケノコ懐石を食べさせる料亭もある。地味目の地方都市なんだけど、そう言われればホラーにはうってつけの土地柄かも。 その長岡京市のとある丘にあるほら穴、昔から言われのある穴だと知らずに結界を破って入り込んでしまった大学生3人に何が起こったか?また、偶然そこへ出向くことになってしまったこの物語の主人公まりかと、その華道師範、龍彦は?(首ざぶとん)。 深夜、自宅への帰りに放火を目撃してしまったまりか、犯人らしい人物は住宅街の中にある怪しい工場に吸い込まれてゆく。その工場ではいったい何が行われているのか?男はまりかに「ひじりに関わったらあかん」と言って消えてしまう・・・。(ひじり) 他、深夜の竹林と神社を舞台にした「ひつじを何度も掘り出す話」、携帯に現れて人を迷わす怪異「トモダチ」どれも怖いし、新しいと同時に、昔から日本で言い伝えられてきた古典的な怪談の香りもしてとてもよくできていると思う。 ここまではベタほめだけれど、ひとつ気になったところが。時々、これはいらないんじゃないかなあと思われる文章や会話が延々と続くところがあり、中だるみというか、そのせいで全体的に締まりがなくなっているような気がする。たとえば、まりかが友人たちと集まってレストランで食事をする場面があるのだけれど、メニューからの料理選びと、そしてなぜかここでムーミンの話が延々と7ページも続く。ムーミンの中でちょっと怖がられている登場人物の話が出てくるので、それが何か後の話に続くのかと思ったが、この話はここで終わりで話とは何の関係もない。阪急電車の料金表がどんなふうに描かれているのかという描写もほぼ1ページを費やして書いてあって、このあたりも思わずじりじりしてしまった。 同じ登場人物が出てくるこの連作集は作者の2つめの作品らしい。(まだ前作は読んでいないけれど)2作目でこれだからこれから先はもっとおもしろくなるのでは。良作を期待しています。
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5つ星のうち 5.0
恐い・・・です。, 2010/12/29
レビュー対象商品: 首ざぶとん (角川ホラー文庫) (文庫)
京都と大阪の間に位置する街、恐らく長岡京市を舞台とした怪談連作短編集。 収録された全4作、いずれも怪談実話の手法をうまく取り入れていて、小説、つまり作り物の怪談話で久しぶりに恐い、と感じました。 表題の作品は多少スプラッタが入っていますが、忌み言葉が巧みに使われていました。「トモダチ」は恐さとともにこの世に生きることの頼りなさを感じさせ、「ひじり」「羊を何度も掘り出す話」は実に怪談らしい不条理な世界を繰り広げます。特に「トモダチ」は携帯電話にまつわる怪談としても新しいパターンかと。 ヒロイン、まりかはごく普通のフリーター、本来なら探偵役である怪談収集家の華道教授の龍彦が強い霊感の持ち主でないどころか、結構あやふやな存在なのが、恐いです。多少強そうな人物も登場しますが、あくまで脇役で強いと言っても第六感が多少働く程度。「事件」を解決できるようなお払いパワーを持った登場人物は皆無なのです。そこが小説なのに本当に起こりそう、存在しそうで、恐い。えっと何回恐い、て書いたかな?(^^;; 夜中には読みたくない、傑作怪談集です。
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5つ星のうち 3.0
カバーの印象より現代風です, 2012/2/15
レビュー対象商品: 首ざぶとん (角川ホラー文庫) (文庫)
山本タカトさん描く生首の絵。和風なタイトル。「和」を感じさせる作者名。作者は京都にゆかりのある方らしく、会話文のほとんどが関西弁、舞台も長岡京市とその近隣。 てっきり古典を題材にした、古風なホラーだと思いこんでいましたが、読んでみれば携帯電話などのアイテムを使った現代風の小説でした。 主人公の女性と、彼女にお花を教える男性(趣味は怪談蒐集)、二人が体験する怪異が描かれた連作集です。 私自身が、舞台になっている竹薮と筍の町を知っているので、地名だけで実際の情景がありありと浮かんでくる、そのせいもあるかもしれませんが、文章から想像力を働かせる楽しみが少ない小説でした。どの短編も物語としては恐くありません。カバーを見たときは、文体からしておどろおどろしい小説かと期待していましたが、現代的な、口語に近いくだけた文章で綴られるので、登場人物たち同様「噂話として、怪談を口答で聞いている」ような、手軽に楽しむホラー小説、若年層に向いたストーリーだと思います。 ところどころ、ぞくっとするエピソードはあるものの、単発で終わっていて、繋がりがないのがもどかしい。たとえば、聖(ひじり)の語源等、面白そうな題材はちらほら、なのにそこには、ごくあっさり触れるだけ。 せっかく連作集なのに、通して読んだときのオチがないのも寂しいですね。あとがきに東雅夫氏が書かれたような、大きなオチがラストにあったほうが、より楽しめただろうな、と感じました。 また、関西の人々の「人なつっこさ」を表現したかったのかもしれないですが、全体的に会話文には魅力が乏しい。特に、まったく笑えないような会話を「ベタやなあ」と笑い合っているような場面が、数カ所ありますが、同じ関西人として興ざめです。かんべんして下さい。
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