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ゲイ専用の老人ホーム。それだけでも、すでに異例の舞台。しかし、本作が語るのは、優しい愛の物語だ。ホームのオーナーであり、末期ガンで死が間近に迫るヒミコ、彼を見守る恋人の青年・春彦、そしてヒミコの実の娘・沙織。3人が織りなす人間関係は、屈折しまくって複雑だが、ホームの住民らとの交流で、沙織が人を愛そうとする過程が、感動的に綴られる。
ゲイ老人たちのファッションや部屋のインテリアは、やや過剰でわざとらしい部分もあるが、監督が彼らを見つめる視線はあくまでも温かい。思わぬ出来事をきっかけにした春彦と沙織のラブシーンも、違和感のなかにエロティックさも伴い、不思議な魅力を放つ。わざわざメイクでそばかすなどを描いた柴崎コウは、観る者の共感を一心に集める役回りを好演。どぎつい欲望をぎらつかせながらも、いつの間にか周囲に愛を与える役で、白いシャツに身を包んだオダギリジョーは、天使のようなたたずまいだ。もともとゲイの老人ホーム自体が、現代社会では、ある種の幻想。犬童監督はファンタジーのなかで、人間という存在への慈しみを描きたかったのではないか。(斉藤博昭)
内容(「キネマ旬報社」データベースより)
『ジョゼと虎と魚たち』に続く、犬童一心監督、渡辺あや脚本による第2弾。癌に冒されたゲイの父親とその恋人の若い青年、父を嫌う娘の心情を通し、愛と絆、欲望と希望を綴る心温まる感動ドラマ。オダギリ ジョーと柴咲コウ共演作。