『マトリックス』は完全体となるべく、『アニマトリックス』が必要だった―。『マトリックス』のウォシャウスキー兄弟と日本人を中心とした世界のトップ・クリエーター達とのコラボレーションによるスペシャル・プロジェクト、それが『アニマトリックスだ』。
<ストーリー>
Final Flight of the Osiris(ファイナル・フライト・オブ・ザ・オシリス)[9:36](ストーリー)ホバークラフト、オシリス号のクルーはザイオンに重大なメッセージを伝えなければならない。それは容易なことかもしれない、もし彼らとザイオンとの間にセンティネル(敵の兵士)の艦隊が待ち受けていなければ。「マトリックス リローデッド」へと繋がるエピソード。
The Second Renaissance Part1(セカンド・ルネッサンス パート1)[9:16]
The Second Renaissance Part2(セカンド・ルネッサンス パート2)[9:24]かつて、人間は機械の労働力に頼り繁栄していた。敬意を払うこともせず、そればかりか機械が人間を殺した事件をきっかけに弾圧し始めた。人間と機械を巡る争いは増加の一途をたどり、追われた機械達は自分達の国、「01」を作る。そしてついに機械は大規模な反乱を始めた。地獄のような戦いの後、武力衝突は終わりを告げ、機械による第2のルネッサンスが始まった―。
Kid's Story(キッズ・ストーリー)[9:41]キッドは不思議な夢に悩まされていた。地面へと落下するその夢は、目覚めた後の世界よりも現実感があった。彼はネットに答えを求める。「今、ここが現実だと確かめる方法は?」。誰かが応えた。「確かめるためには命をかけるしかない」。命をかける―それは彼を苦しめるあの夢と関係があるのか。
Program(プログラム)[7:16]ほら貝の音が木霊し、馬の蹄が鳴り響く。戦国時代を思わせる光景の中、駆け抜けるひとりの女武者がいた。名は、シズ。野武士を相手に戦う彼女の前に、面を付けた同じく武者姿の男デュオが立ちはだかった。彼女と激しく剣を交えたデュオは、突然マトリックスへの帰還を主張する。
World Record(ワールド・レコード)[8:44]短距離走金メダリスト、ダンはドーピング疑惑のためにその地位を失ってしまう。「走ると何もかもから解き放たれるように感じる」。そう言うダンは再起を賭け、再び大会に挑む。全力で走り出すダン。しかし、肉体がついに限界を越えてしまう。それでも走り続けた、その先にあるものとは。
Beyond(ビヨンド)[13:04]日本のとある都会の片隅。陽子は、食事時になっても戻らない猫のユキを探し回っていた。猫を見かけたという子供達と一緒に、彼女は古ぼけた建物に辿り着く。そこは近所達の人から「オバケ屋敷」と呼ばれている、立ち入り禁止の場所だった。中へ潜り込んだ陽子と子供達がそこで見た光景とは……。
A Detective Story(ディテクティブ・ストーリー)[9:52]貧乏な探偵事務所を営むアッシュのもとに、不思議な捜索依頼が舞い込んだ。対象はトリニティという名前以外、一切不明のハッカー。これまでに同じような依頼を受けた探偵たちが何人も異常をきたしている。どうやら彼らは「鏡の国」へと迷い込んでしまったらしい。それともこちらが鏡の国なのか?
Matriculated(マトリキュレーテッド)[16:17]知覚力に優れたロボットを捕らえた小さな反乱グループは、自分達の運動に協力するようプログラムした。彼らはそのロボットがマシーン・リアリティよりも彼らの「ヒューマン・マトリックス」を好むように教育する。そしてロボットの「ヒューマン・マトリックス」への欲求が人間の供給能力を超えていく・・・。
<特典> 収録時間:(約80分)
1. The Second Renaissance Part 1、監督 前田真宏による音声解説
2. The Second Renaissance Part 2、監督 前田真宏による音声解説
3. Program、監督 川尻善昭による音声解説
4. World Record、監督 小池健による音声解説
5. Scrolls to Screen: The History and Culture of Anime (約22分)
6. メイキング:The Final Filight of the Osiris (約6分)
7. メイキング:The Second Renaissance Part 1 and 2 (約10分)
8. メイキング:Kid's Story & A Detective Story (約10分)
9. メイキング:Program (約6分)
10. メイキング:World Record (約7分)
11. メイキング:Beyond (約9分)
12. メイキング:Matriculated (約7分)
13. ゲーム:Enter the Matrix - プレビュー (約3分)
映画『マトリックス』でラリー&アンディ・ウォシャウスキーが作り上げた鮮烈なイメージが、日本のアニメから強いインスピレーションを受けていたことは、今ではとても有名な話だ。いわば「密かな共犯関係」にあったアニメ界のクリエイターたちに対してウォシャウスキー兄弟がもたらしたのは、この恩返しとも挑戦とも取れる企画『アニマトリックス』だった。「マトリックス」にまつわるさまざまなエピソードを、ハイクオリティなCGやユニークな技法を駆使して表現した9つのオムニバス短編アニメ集である。9本中7本までが、日本人クリエイターによって監督されている。
映画のファンにとっては、「マトリックス」成立までが描かれる「The Second Renaissance 1&2」や、『マトリックス リローデッド』に直結する「Final Flight of the Osiris」あたりが要注目だろう。そして各々を1つの短編アニメとして見た場合に出色といえるのは、川尻善昭が期待にしっかり応える形でキャッチーな日本情緒をシャープに描き出した「Program」、“ボタンを1つ掛け違えてしまったようなリアリティ”を描かせれば右に出る者はいない森本晃司の「Beyond」、独特の画やけれん味ある展開の中にほろ苦い感傷をほどよく散りばめた渡辺信一郎の「Kid's Story」あたりだろうか。いずれも「表現」と「メッセージ」が絶妙のバランスで提示されており、彼らのクリエイターとしての熟練ぶりがはっきりとわかる。
アニメファンを自認する人々にとって必見なのはもちろんだが、映画『マトリックス』を「カッコイイ」と思った人ならば、ぜひ偏見なく見ていただきたい作品群だ。(安川正吾)