From Publishers Weekly
1999年、ジャーナリストのケンパーは、新しいタイプの移動手段の発明に力を注ぐディーン・カーメンの追跡を開始した。当時ケンパーは、話が一気に膨らみ、一気にしぼむことになろうとは思ってもいなかった。セグウェイ(自動的にバランスを取る装置を搭載した2輪付きスクーター)の発明者カーメンは、若い時の発明(ポータブル透析機や自動注射器など)で巨万の富を築いていた。そんな彼がセグウェイ(コードネームは「ジンジャー」)の開発に向けて研究所を構えたのだ。当初から謎に包まれていたが、ジンジャーは10年後には最も一般的な移動手段になるだろう、というカーメンの言葉により、プロジェクトは一気に、救世主の到来のような様相をみせはじめた。見栄えがよくてミステリアスな新種の発明品と、インターネットのゴールドラッシュの最後の時期が重なり、プロジェクトへの参加をめぐる騒動に、スティーブ・ジョブスやジェフ・ベゾスらが加わって、ベンチャー資金の投資競争が始まった。
ケンパーによる正確で忌憚(きたん)のないこの本は、当然カーメンとその仲間を賞賛してはいるが、一方では、カーメンの極端に自己中心的な傲慢な態度と、彼の研究所が現実的な思考ができないことが原因で、ジンジャーの完成が著しく遅れることになった事実(近い将来、舗道での場所獲り競争を起こしそうな新しい乗り物を、監督機関の人間がどう思うのか、などということに人々が思いをはせるよりもはるか以前に、プロジェクトはかなり進んでいた)をも記している。最近の騒動は広く知られているところだ。ケンパーの本の売り込み状が流出し、マスコミは、世界を変える極秘プロジェクトをめぐって大騒ぎしたが、結局、「なんだ、そんなものだったのか」とひょうし抜けし、がっかりさせられた。結果として生まれたのがこの本で、その新事実には驚嘆させられ、心を打たれる。
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内容(「BOOK」データベースより)
二〇〇一年、ネット上で「ジンジャー」もしくは「イット」と呼ばれ、「タイムマシン」か「テレポーテーション装置」かと世界中で騒がれた謎の発明品は、こうしてつくられた!天才発明家とエンジニアたちの『プロジェクトX』を超える真実の物語。