内容(「MARC」データベースより)
私たち夫婦の目に映った初めての船旅を記録することで、長期の船旅を躊躇する人々の背中を押すことができれば-。定年を迎えた夫婦が世界一周クルーズに参加した。平均69歳の船客が織りなす102日間のドラマを克明に綴る。
著者からのコメント
●私の場合、そもそもは持病の腎不全が進行してきたことが、船に乗る大きなきっかけになった。悪化すれば、血液透析で、自由な旅行が難しくなる。食事制限のため海外旅行はできないと諦めかけていた。揺れるものは地震も船も嫌いだから、船旅は自分には遠い願望でしかなかった。
●船旅の良さは、パッキングの毎日から解放されること。一旦乗船してしまえば、後はスーツケースを開けたり閉めたり、持ち歩くこともない。だから、高齢者や車椅子の方も多く参加している。「塩分調整して貰える食事」と「定期的に血液検査が受けられる医務室」のある船旅こそ自分の船旅だと判った。
●しかし、定年夫婦に世界一周を決意させてくれる参考書が見当たらなかった。おもな著者は、船長や船医、写真家だった。彼らは船慣れをしていて、ビギナーの視点からではなかった。
「高齢化社会のサービス業の変容」を勉強してくれたゼミ生に病状を話して大学離職を告げた。その実体験をネット上にアップすることを約束させられた。これは、いわば、ゼミ生が私に課した体験レポートでもある。
●「客船は海を走るホテル」だが、映画館もカジノもホールも寄席も診療所も理容店も運動場もゴルフレンジもある。あの「緩やかな時間」は、じつに体が楽で安心でき、船旅が高額なものではないと言い切れるようになった。船旅ならではの嬉しさは、「船友」が国内各地に一度に出来たこと。帰国して変わったのは、カミサンは飛行機の旅に全く関心を示さなくなったことだ。クルージングに興味を持ちながら、でも躊躇してしまう貴方にこそ読んでいただきたい。(萩原 高)
●二〇〇三年は、忘れられない体験に満ちた年になった。私たちは、同じ立場のサラリーマン夫婦に「船旅の効能」を知らせたいねと、事あるごとに話し合っていた。だが、航海中、夫がキャビンやライブラリーで毎日書き綴っては日本にインマルサットで送信していた旅日誌を、私は一度も読んでいなかった。夫は、私が日々の体験や思いをパソコンに打ち込んでいたことを知らない。夫とともに発表する機会を得たことで、物事を捉える目、考えの違いを知ることにもなった。読まれたあなたが、「思い切って世界一周」に出掛けられることは私たちの喜びです。 (萩原 けい子)