端的に言えば、ル・コルビュジエは本質的に住宅の建築家であった。人間の生きる空間を作り出すこと、その生きることの一部が切り出されある特定の施設として計画されたとしても、彼の建築は常に生身の肉体を持つ人間が生きる器としての建築であった。これは当たり前のことのように思うかもしれないが、しかしこれはこの建築家に独特なことなのである。彼の建築にはいつもそのことがカタチとして明確に定着されている。
本書はル・コルビュジエの全住宅作品の図面と模型写真をクールに羅列しただけのある意味で愛想のない本である。400分の1という一定のスケールで、平面図・立面図・断面図が並べられ、模型写真が数枚、淡泊と言えばこれ以上のことはない。しかし時系列に沿って並べられた整然とした情報をゆっくりと読み込めば、建築家の生々しい思考を読み取ることができるはずだ。そこには熟成されていく建築家の思考が如実に現れている。次第に複雑さを増していく3次元的な空間の構成、自然光を取り入れ受け止めることへの執着、時にストイックになり時に官能的になる意識の振幅、読み取るべきものは紙面構成のクールさに反して実に豊かである。プロジェクトが発展させられていく過程をも追えるように途中経過も可能な限り収録され、106作品、210案を網羅している。
端から読み解いていく必要などない。枕元にでも転がしておいて、ぱらぱらめくるだけでも良い。2次元の図面を読み取りながら建築家の抱いた3次元のイメージを追うこと、それは一種の修練であって、そうすぐにできるようになるわけではない。砂をかむような退屈さを覚えることもまれではないだろう。しかしそのうちに少しずつ図面を通して建築をイメージすることができるようになり、図面を通して建築を考えるようになる。図面というのはいまだに他に代えがたい建築のメディアである。写真はもちろんわかりやすい優れたメディアに違いないが、決してそれだけではつかみきれない水準が建築にはあり、それはいつも図面を通して思考されているのである。そうした建築家の思考を読み込むにはある種の訓練が必要だろう。しかしその訓練のためにこれほど好適な本もなかなかないのである。(日埜直彦)
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