悪意あるハッカー(ハッカー=悪者ではないとの断り書きがある)が最初にすることは「下見」である。できるだけ豊富な情報を系統的に集めることによって,周到な攻撃の準備ができる。次にオペレーティング・システムやソフトウエアの弱点に向けて攻撃を仕掛け,システムの内部に侵入する。さらに,管理者権限を取得するなどしてシステムを支配下に置き,目的とするデータを盗み出したり,データベースの破壊,その他の不正行為を行う。最後にバックドアを作成し,侵入の痕跡を隠ぺいして去る。
本書の構成は,これらの侵入者の行動に沿って「下見」,「システムハッキング」,「ネットワークハッキング」,「ソフトウエアハッキング」という章立てをし,最後に「Windows 2000のセキュリティ問題」を取り上げている。いずれの章でも,侵入者の行為について,個別具体的な事例ごとにコマンドの操作まで落とし込んで説明がなされている。はじめに「本書を読むときは,必ずインターネット接続できるコンピュータを手元に置いてください」と断り書きがあるように,説明に沿って,その場で侵入者の行動をトレースすることができ,同時に対策もその場で実行できるようになっている。
付録も役に立ちそうだ。「狙われやすいポート」の一覧表,「最もポピュラーなセキュリティ情報サイト」,「最もポピュラーなセキュリティツール」の一覧表,一目でセキュリティの課題を把握できる「セキュリティの弱点トップ14」などだ。
筆者は米Ernest & Young社のeSecurity Solutionsサービスに属する3人のシニアマネジャー,マネジャーで,原著名は「Hacking Exposed」(米Osborne社発行)。日本語版の発刊にあたり日本語のホームページの情報を補うなどの作業を加えている。
対象読者について著者は,まえがきで「同志であるネットワーク管理者たちのために書かかれたものです。いつも過労で報われず,セキュリティのみならずすべてにおいて満足のいくレベルで運用するための資源をほとんど持たない…。こうした,時間がなくて,インターネットの暗部に潜り込んであやしげなマニュアルと何日も格闘し,コンピュータネットワーク関係者が直面する脅威の性質と危険度を理解する機会に恵まれない方のために本書はあります」と書いている。同時にネットワーク・システムを使って事業を展開している企業経営者らにも読んで欲しい内容である。各章の具体事例などに目を通すだけでも,無防備なサイトを攻撃することがいかに容易であるか,ネットワーク管理者が行っているセキュリティ対策がいかに重要でかつ困難を伴っているかを理解することができるからだ。 (日経BP社 教育事業センター長 松本 庸史)
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