出版社/著者からの内容紹介
この絵本のお話は、イランでよく知られている昔話です。
おかあさんと一緒に暮らしていたごきぶりねえさんが、自分の道を見つけだすため、ある日旅立つのです。目的地は、たった1人の身内ラメザーンおじさんの住む、とおいとおいハメダーン。
行く手に待ち受けるのは、善悪つかぬ虫や動物。愛らしく身なりをととのえた姉さんに、陽気な調子で声をかけます。「ごきぶりねえさんどこいくの?」
絵を描き下ろしたのは、弱冠27才でさまざまな賞に輝く画家、モルテザー。不思議で冒険的、でもなぜか愛らしい彼の絵は、すでに日本でも多くのファンの注目を受けはじめています。
再話はイランの国民に深く愛され、先日永眠した詩人、M.アーザード。ごきぶりねえさんに出会うどうぶつたちの楽しいフレーズの繰り返しは、詩の国イランならではです。
モルテザーあとがき、五味太郎さんレヴュー&イラスト付。
いつぞやの ことだった。ふろやの うらに くぼみが あった。でこぼこ でこぼこ した くぼみ。くぼみの なかには いえ いっけん。
それは 虫の、すみかで あって、ドアも なければ まども なく、いけも なければ ふんすいも ない。げんかん ほそくて くらい。ろうかは ながくて せまい。
その いえに、ごきぶりねえさんが すんでいた。
ねえさんには、この ひろい よのなかで、としをとった かあさん いがい、どんな みうちも いなかった---いもうとも、おとうとも、そして したしい ともだちも。
(旅にでる日のページより)
あるいて あるいて あるいていったら、ついたところは くつ屋さん。
くつを ぬう むし、てんとうむし、
ざくろの花に こしかけて、わきめも ふらず、しごとを してた。
ひざのうえには 革 1まい。まだら もようの あかい革。
しごとを しながら うたってた。
ぬうぞ ぬうぞ くつを ぬうぞ、
くつや屋の せかいじゃ わたしが いちばん
おーい、ぽっちゃり こどもたち
くつを ぬうぞ いろとりどりの
しごとを するのは どようから
どように はじまり もくようまで
きんよう のはらで ピクニック
(プロフィール)
再話:M.アーザード(1934年~2006年)
現代ペルシャ詩人。本名マフムード・モシュレフ=アーザード=テヘラーニー
代表詩は“Gol-e Bagh-e Ashenaii(出会いの園の花)”。
4冊の詩集のほか、過去の詩集から482編を抜粋、108編を書下したベスト詩集がある。また、詩作に加え、10代の人たちへ向けた本の執筆もおこなっていて、その数は約50册にもなる。アーザードの詩はイランのペルシャ語の教科書に多く使われているほか、イランの歌手によっても歌われている。
絵:モルテザー・ザーヘディ(1978年~)
イラン北部、ラシュト生まれ。大学で絵画を専攻、2003年卒業後は画家・イラストレーターとして活躍していて、国内のさまざまな賞のほか、ボローニャ国際絵本原画展に3回入選している(2003年、2005年、2006年)。これまでに手掛けた絵本は14册。代表的なものに『ごらん、ごらん、こうやって(6月発売予定)』『小さいアリーとその仲間たち』などがある。
翻訳:愛甲 恵子(あいこう・けいこ)
1976年生まれ。東京外国語大学、大学院でペルシャ語を学ぶ。イラン留学中にペルシャ語の絵本を読みあさり、面白さを知る。帰国後は、サラーム・サラームというユニットを組み、翻訳のしごとのかたわら、イランの絵本やイラストレーターの紹介、原画展プロデュースなどを積極的に行っている。
内容(「BOOK」データベースより)
ごきぶりねえさんが旅に出ました。出会い、決心、危機…その果てには何が?イランでよく知られた昔話に様々な賞に輝く気鋭の画家が絵を描きました。