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世界遺産をシカが喰う シカと森の生態学
 
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世界遺産をシカが喰う シカと森の生態学 (単行本)

湯本 貴和 (編集), 松田 裕之 (編集)
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商品の説明

内容(「MARC」データベースより)

今、日本全国でシカが増え、食料となる森は食い尽くされ、生態系が破壊されている。北海道・知床、本州・大台ヶ原と大峯、九州・屋久島を重点的に取り上げ、シカが増える原因を探り、対策を考える。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

湯本 貴和
1959年徳島県生まれ。大学共同利用期間法人・人間文化研究機構総合地球環境学研究所教授。平成一八年度から五年計画で本格的に始動する地球研プロジェクト「日本列島における人間―自然相互関係の文化的・歴史的検討」のリーダー

松田 裕之
1957年福岡県生まれ。横浜国立大学環境情報研究院教授。生態リスクマネジメントなどに関する教育と研究に従事。愛知万博の環境影響評価委員、知床世界遺産の科学委員、エゾシカやヒグマの保護管理計画検討委員、国際捕鯨委員会科学小委員会の日本代表団、世界自然保護基金(WWF)日本事務所の自然保護委員などを務め、順応的生態系管理の理論的方法論と実施に取り組む(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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5つ星のうち 4.0 現在日本で進行中の深刻な危機, 2006/4/9
By shorebird (横浜市青葉区) - レビューをすべて見る
なかなかどきっとする題名である.しかしほとんどの人にとってあまり知られていない深刻な問題が日本の山で今進行していることをずばっと現している.そしてそれはこの本の表カバーの2枚の写真で明らかである.1963年には鬱蒼と茂る森が,1997年には草原の上に立ち枯れた樹木が残る明るい姿に変貌してしまっている.
昭和40年代ぐらいからいろいろな要因が重なり,日本ではシカが増え始めている.そしてそれは生態系のバランスを崩しているのだ.本書はこの問題について多面的にとらえた論考となっている.特に論じられているのは奈良県の大台ヶ原と屋久島である.
何となく聞いたことがあるような気もしていたが,改めて通して読むと難しい問題の全貌が見えてくるようだ.単純にオオカミの絶滅が引き起こした問題(それなら明治時代に問題が起こっていたはず)ではなく,基本は狩猟圧の減少と針葉樹林の大規模な植樹,林道の整備,そしてイヌの放し飼いの減少などの複合的な問題らしい.そしてこのまま放置すると豊かな森が草原に変わってしまうリスクがあるのだ.
解決法は基本的には管理された個体管理,つまり調査を継続して結果にフィードバックをかけつつシカを駆除していくというものと,緊急性のある植物群落にはフェンスを張ることとの組み合わせになるようだ.対案作成や実行に当たっては当然ながら,費用の問題,環境保護者内のイデオロギー的な問題(シカは在来種なのだから,放置しても本来バランスするはず,あるいは野生動物を駆除すべきでないなど)など,解決の難しい問題がたくさんあるようである.
最終的には日本人はどういう環境を望むのかという価値観の問題となるが,何とか関係者の同意により豊かな動植物層を保つ解決にいたってほしいと思わずにはいられない.
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