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―― 「三行の全面的統合」は、わが国の情報技術(IT)史に必ず記録されるだろう。「金融機関の経営における最優先事項はITである」――。第一勧業銀行、富士銀行、日本興業銀行3頭取が1999年8月20日に発したこの言葉は、皮肉にもまったく別の意味で当たってしまった。
本書は、2002年4月に起こったみずほフィナンシャルグループの情報システム障害の原因や経緯を、「日経コンピュータ」が徹底取材し、緊急出版したものである。200ページに満たないボリュームであるが、統合のための情報システム開発のスケジュールや手順、問題点などをできる限り詳細に紹介している。「ことわり」があるとはいえ、推測の域を出ない内容もあるが、新聞や雑誌の表面的な報道に比べ、より開発サイドの事情に踏み込んだ内容となっている。
今回の開発の裏では、3行と既存システムの担当メーカーなど、さまざまな利害関係者の思惑が入り乱れていたが、本書ではそれがどのような悪影響をもたらしたのかをつぶさに論じていく。リーダーシップの不在、現場任せの姿勢、不十分なテストなど、さまざまな問題点が浮き彫りにされている。
後半では、みずほ以外の銀行のシステム統合事例を紹介しており、さまざまな視点からシステム統合のポイントを探れるようになっている。経営トップが積極的にプロジェクトにかかわることで成功を収めた北洋銀行、わずか10か月で統合を成功させた東京三菱銀行、大成功目前でトラブルに遭遇したUFJ銀行などの例が、統合スケジュールやシステムの概要にまで突っ込んで掲載されている。
最後には「『動かないコンピュータ』撲滅のための10カ条」としてシステム統合の際のポイントが掲げられている。これらはシステム統合に限らず、プロジェクトマネジメント全般に通じる原則といえるだろう。(土井英司)
出版社/著者からの内容紹介
みずほ銀行が2002年4月に引き起こした情報システム障害。昨年1月に誌面で問題点を指摘していた「日経コンピュータ」誌が、みずほが経営統合を発表した1999年8月20日から、システム統合するまでをドキュメント。システム障害の根本原因は何だったのか、徹底した取材で明らかにする。 第二部は、銀行の情報システム統合という難事に挑んだ、東京三菱銀行、北洋銀行、UFJ銀行の奮闘を追ったルポルタージュ。第三部は、今回のみずほの事例から学ぶ教訓。問題を整理し、解決策の一端を提示する。
システムは、もはやシステム専門家だけの問題ではない。