アメリカを拠点にする大手企業中心の調査からは、高い業績を上げている企業は、マネジメント人材の育成に対するトップのコミットメントが際立っていることが明らかにされている。GEのジャック・ウェルチはマネジメント人材評価プロセスに年間30日を費やし、それを経営システムの根幹に位置づけている、との事例も挙げられている。人材育成を、人事部門だけでなくトップと組織全体の戦略として認識し実行できるかが今後の企業成長を決する、というのが本書に一貫して流れているメッセージである。
具体的な方策については、「トップなどの意識や行動」「人材の引きつけ」「リクルーティング」「組織的アプローチ」「能力評価プロセスの確立」「実践への指南」の6テーマが、成功企業の豊富な事例とともに論じられている。従業員の訴求価値(EVP)の構築による人材引きつけ、トレーニングよりコーチング、フィードバック、メンタリングを重視するアプローチなど、いずれも人材育成への意識転換が図れる内容になっている。
アメリカの事例ながら違和感なく読めるのは、日本でもすでに人材に関する「競争」が進んでいることを物語っているのだろう。経営者は必読の1冊である。(棚上 勉)
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