本書のなかで著者は、会社とは何かを根本から洗い直し、資本主義の変遷をおさらいしつつ、ポスト産業資本主義にふさわしい会社のしくみを考察している。もともとインタビュー原稿だったものを書き直したというだけに、全体を通して「ですます調」の読みやすい構成になっているのが特徴。また、論の運び方がゆったりとしており、カタカナ用語もできるだけ平易な日本語に置き換えているため、会社論と資本主義論という難解なテーマであるにもかかわらず、論旨がすんなりと頭に入ってくる。著者は、MITで経済学博士号を取得後、各国の大学の助教授や客員教授を経て、現在は東京大学経済学部教授として活躍している。『貨幣論』や『二十一世紀の資本主義論』などの著書を持つ経済学者だ。
著者は、前半のかなりの紙幅を「法人とはなにか」を説くスペースにあてている。読んで字のごとく「法の下でのヒト」である反面、株主から見れば、株式という「モノ」に過ぎない法人。この二面性がきちんと理解できれば、なぜ資本主義の変遷とともに最強と呼ばれる会社システムも変化していったのか、ポスト産業資本主義時代に求められるであろう会社システムとは何か、そして理想的な働き方とは何かについても、読者なりの回答が出せるに違いない。
今を生きる経営者やビジネスパーソンはもちろん、これから社会に出る学生にも、ぜひ読んでほしい1冊である。(朝倉真弓)
まず米・エンロンの倒産などを例に挙げ、今、主流の米国的経営は、会社ではなく経営者の利益を最大化することに注力しやすいシステムであると指摘。また、現在はポスト産業資本主義社会であるという持論を展開。機械を購入すれば利潤を生み出せた時代は過ぎ去り、現代は経営者の企画力、技術者の開発力、従業員のノウハウなど、カネでは買えない他社との差異が必須であると説く。
さらに、こうした時代で活躍するのは古典的なオーナー企業だと予想。少ない資本でも利益を生むオーナー達にエールを送る。
(弁護士 木村晋介)
(日経ベンチャー 2003/04/01 Copyright©2001 日経BP企画..All rights reserved.)
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