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探偵はバーにいる (ハヤカワ・ミステリワールド)
  

探偵はバーにいる (ハヤカワ・ミステリワールド) [単行本]

東 直己 (著)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

札幌の歓楽街ススキノで探偵まがいの仕事をしている〈俺〉は、今夜もバー〈ケラー〉の扉を開ける。待っていたのはいつもの酒と胃腸薬、そして…。酒場で拾った事件は、大学の後輩の失踪した恋人捜しだったが、それが思いがけずデートクラブ殺人の調査へと発展。〈俺〉は、アルバイト売春娘やチンピラ少年団をかきわけ、二日酔いと闘いながら真相に肉迫していく。北の街に、新しい軽快ハードボイルど誕生。

登録情報

  • 単行本: 226ページ
  • 出版社: 早川書房 (1992/05)
  • ISBN-10: 4152035153
  • ISBN-13: 978-4152035158
  • 発売日: 1992/05
  • 商品の寸法: 19.2 x 13.4 x 2.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.7  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
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5つ星のうち 4.0 札幌に住んで味わう軽ハードボイルドの醍醐味, 2002/4/6
 札幌に越して来て5年。だと言うのに、ぼくはこのススキノ作家・東直己の本を一冊も読んでいなかった。1992年、つまり10年前にハヤカワミステリーワールドという日本人作家のミステリ・シリーズが早川書房でスタートしたときにも、東直己の方は、新人作家ということでさほど興味を覚えずに、そのままぼくは東直己という作家を素通りしてしまった。

 一つには作品名が気に入らないっていうのがあった。『探偵はバーにいる』だ。なんだか臭い、品がないと感じたのだった。その頃ぼくの読書的天敵と言えば、多作作家。彼らのタイトルに対するこだわりのなさや、ふざけ加減が、どうもいい加減な仕事のように思えて反感を感じていたから、この東直己も、正直同類だろう、くらいに思っていた。だってタイトルがいかにも軽そうだ。

 でも実に10年の時を要して、ぼくはこの作品のページを開いた。ぼくの渋る背中を押してくれたのは他でもない、多くの読者たちの東直己賛美だ。悪く言う人というのをあまり聞かない。それどころか書店での東直己コーナーは厚みを増すばかりだ。札幌だけの現象なのかもしれないが、それにしても作品が増え、賞を取り、いやでも名前を聞くようになる。ある日妻が街で東直己を見かけたらしい。ぼくが読まず嫌いだった作家は、ぼくの知らぬうちにそのくらい有名になっていた。

 読んでみて面白かった。軽ハードボイルドと誰が言ったのか知らないが、ぴったりくる小説かと思えた。随所にユーモア。風来坊な主人公。不細工で弱点だらけで、自動車の運転ができず、いつでもどこでもウイスキーをタンブラーになみなみと継いでもらい、ススキノを漂流して歩く男。なんだ、探偵でも何でもないじゃないか。

 そう。ぼくは先入観から、いわゆるトラベル・ミステリーみたいな探偵を思い描いていたのだ。そんな「探偵」では全然なかった。いい加減な28歳の若造と言われてもおかしくない自由業の男が、いい加減な生活のなかで、適度に自分の方法を見出しつつ、便利屋をやって人さがしをやって、周りと折り合いを付けながらススキノで生きてゆく、割と生活臭の漂う、大人の小説であったのだ。

 意外だった。たちまち面白さに取り憑かれた。全作読んでみたくなってしまった。街の紹介、脇役陣の紹介などが多いように見えるが、作者はきっと最初からシリーズ化をもくろんでいたのだと思う。シリーズのスタート作だと一度思ってしまえば、それ以外のものには決して見えない作品だ。何故か。ススキノへの愛着。多くの酒場への愛着。作品にそれがいやがおうでも漂っていることだからだ。

 札幌に住んで5年経った今、ようやくこれを手にして、味わい深いものを感じる。通りやビルやその他のもろもろに、多く親しみを持って読むことができる。わが身の生活タイミングとのシンクロを考えると、10年遅れて読むことになってしまったいきさつについても、そうあながち悪いことではないような気がしてきた。

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4 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 聖なる酒場の「俺」, 2004/5/29
特定の地域を限定にした探偵ものか・・・と思いながら購入。飲んでいる酒の種類は聖なるハードボイルドのカクテルで、依頼の受け方はマンハッタン・ニュヨークで便利屋探偵業をやってるおっさんと似ており、「俺」に向かって「聖なるカクテルをがぶ飲みするな!」と注意したりする自分が楽しかった。

男族たいていの奴が持っている「後輩の面倒を見てやる」という心情をくすぶりながらストーリーは展開していく。やたらと便利な友人、気の弱いロマンティクな依頼人の後輩、言い訳で固めた娼婦業を営むその彼女。「ススキの界隈で最高に素敵な娼婦」なかなかよい登場人物設定です。あっと言う間に読みふけるモテナイ「俺」に「バカ」とつぶやきながら読める探偵ものです。

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1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 ゆるさ、ある等身大のハードボイルド, 2009/10/16
By cobo "コボ" (東京都杉並区) - レビューをすべて見る
全く知らなかった方なのですが、良かったです。行ったことないのですが、北海道は札幌に、もしくはススキノに、もっと言えばバーボンに、偏愛を感じさせる文章で、しかも窮屈でなく、そして受け手の想像を遊ばせる範囲を残す「ゆるさ」があり、そのうえその「ゆるさ」を上手く使えている部分を特に良いと感じました。


札幌はススキノの酒場で「何でも屋」で暮らしている<俺>は今日もいきつけのバーで美味しい酒にありつき、そして細々した用事を片付けなければいけない。そんないつものバーで<俺>を待っていたのは中退した大学の後輩で、しかも彼女の失踪だと言うのだが...というのが冒頭部分です。もちろんただの失踪ではなく、その後いろいろと絡んでくるのですが、ただのハードボイルドでは無く感じさせるのは、テンポの良さとそのキャラクター、そして遊びのある「ゆるさ」であると私は感じました。


たしかにちょっと古い話しかもしれません、手垢のついた話しと感じる方もいらっしゃるでしょう。しかし、それでも充分楽しめる作品です。それはただのハードボイルドではなく、土着のハードボイルドであるからのように感じました。それにいわゆるキメ台詞も、もちろん素晴らしいのですが、そのレベルが日本の日常会話レベルで素晴らしいのです。そりゃリュウ・アーチャーやフィリップ・マーロウが、あるいはリック・ブレイン(「カサブランカ」のハンフリー・ボガート)がキメる台詞はカッコイイでしょう。けれど私には恥ずかしくもあるんです。恥ずかしさを感じさせない世界を構築する方も、その技術は凄いけれど、等身大でかっこよくさせる日本の日常的世界観とその技術も素晴らしいと私は思います。なかなか冴えた台詞があって私は好きです「生きてる証拠」ってやつ。

また、運転免許を持っていないところ、持っていないことに何の問題も感じていないところがまた何となくカッコイイのです。


そして何かを思い出させると思っていたら、それは「羊をめぐる冒険」ですね。札幌の街を歩き回るので急に思い出しました。行ってみたいです、札幌。


日本の、ハードボイルドが好きな方に、どっぷり世界に浸るのではなく、日常と地続きのハードボイルドを楽しめる方にオススメ致します。
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