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沈黙 (新潮文庫)
 
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沈黙 (新潮文庫) (文庫)

遠藤 周作 (著)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

キリシタン迫害史を背景とする緊迫のドラマの中に、神の存在を問い、信仰の根源を衝いて、西洋と日本の思想的対立を鋭くえぐり出す長編小説。谷崎潤一郎賞、ピエトロザク賞受賞。 --このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。

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47 人中、41人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 間違いなく戦後文学の代表作の一つ!, 2008/9/24
By 涌太郎 (東京都) - レビューをすべて見る
(トップ1000レビュアー)   
読み出すと止まらなくなった。一気に読み切った。
断っておくが小生はクリスチャンではない。

遠藤周作氏は芥川賞受賞後の37歳から、結核で2年もの入院をしている。
手術で7本の肋骨と肩肺を失ったが、「私が得たものは肩肺よりも、もっと大きなものだった」と語られている。
それは何か?
命に及ぶ大病との格闘を通して、悩める人や弱い立場にある人への温かな眼差しを獲得したということだろう。
その生死の極限から蘇生した著者の魂が綴られたのがこの「沈黙」だと思う。

残酷で非道な“穴吊り”という刑に処せられた切支丹の農民を救うため、司祭フェデリコは遂に”転ぶ”。棄教したフェデリコは岡田三右衛門という名前を与えられ、しばらく長崎に留められる。弱虫で臆病で卑劣、何度も転び、フェデリコをさえ売った五島出身の農民キチジローは、それでも岡田となったフェデリコのもとへさえ、告侮を聴聞してもらうためにやってくる。

この小説の終わりは「切支丹屋敷役人日記」で終わる。

この「役人日記」によると、江戸の牢屋敷に移された岡田の中間として”吉次郎”が共に住みんでいることが記述されている。吉次郎は首にお守り袋に入った切支丹の本尊を隠し持っているのを見つけられて問いつめられている。岡田の、いな、フェデリコの信仰は破られていない、キチジローの信仰も破られなかった。そして、岡田三右衛門ことフェデリコは日本に来て三十余年、江戸へ出て三十年の六四歳で病死する。

ドフトエスキーが「悪霊」で描き出したように、多くの切支丹を殺し、フェデリコをも棄教させた、洗練された口調と無表情の顔をもつ、井上築後守を初めとする権力者達こそ、精神の尊厳を失った哀れな人間だったのではないか。

クリスチャンとか仏教徒とか、そんな狭隘な批判を越えて、
この「沈黙」は間違いなく戦後の日本文学の代表作の一つだと確信する。
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31 人中、27人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 生涯に1度は読むべき名作, 2004/9/24
 
 日本人信徒への残忍な拷問、殉教に「神は何故沈黙するのか」と問う宣教師の悲痛な叫び・・・。

 私は日ごろ神や仏を信仰しているわけではないですが、かと言って神がいないと思っているわけでもなく、もしも生きるか死ぬかという窮地に立たされたら、きっと神に命乞いをするに違いありません。それが一般的な日本人の姿だと思います。信仰心が厚ければ人は病気にならないか、事故に遭わないか、愛するものの命を不意に奪われないか、答えはノーです。では、何故人は信仰するのか。心の救いを求めるからです。信じる者の心にのみ神は存在するのです。

神の為に潔く殉死していく隠れ切支丹たち、その拷問を受ける姿に耐えられなくなったパードレの選択は・・・。クライマックスは壮絶です。神とは、信仰とは、人間とは、深い思考の渦に落とし込まれます。これこそ世代を超えてすべての人に読んでもらいたい名作です。

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5 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 究極の挫折と、究極の愛の追体験をした, 2009/4/18
彼は自分の宣教師としての人生(そしてそれは彼の人生の全てだった)を全否定する
という究極の挫折の象徴である踏み絵を行った時に

イエスの究極の愛を始めて体験することができた。パラドックスだが、それは
キリスト教でもっとも大切なことかもしれない。

旧約聖書にすでにこういう記述がある。
「主(神)は心の打ち砕かれた者の近くにおられ、たましいの砕かれた者を救われる。 」


遠藤周作はイエスを「奇跡を行えなかった人」と彼の数々の著書の中でも
書いていて、それは論争になっている。

しかし受難の中、圧倒的多数の人に蔑まれ、痛めつけられ、裏切られ、誤解されても
何も言い返さなかったばかりか、最後の最期まで神に彼らの罪の赦しを嘆願した
イエスの、この聖性と慈愛が完全に両立された人格の持ち主が、人間の全てのmessを
背負おうと、人間の無知と暴力にただ従ったことこそ最大の奇跡に思える。

彼は人生の中で奇跡を数多く「行えなかった」のではなくあえて
「行わなかった」のではないか。

人の目を奇跡に向かわせるよりも、魚くさい貧しい村人の様な人の生活のmess、
宣教師の踏み絵行為であり、キチジローの裏切り行為でもある人の内面のmess
の中にイエス様が裸一貫で入ってきて寄り添い続けたという
とんでもない慈愛に気付いて、応えて欲しかったのではないか。

このような人の全ての暗い部分の一つ残らずを自分の苦しみとして
どこまでも共に負い、時には身代わりになってくれる存在にどれだけ多くの人が
救われてきたのだろう?
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