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「もともと何かに秀でていたわけではない。確固たる職業意識があったわけでもない」のほほん女子大生だった著者、松永真理。彼女が初めて直面した難題が就職活動だった。社会の理不尽さを感じながらも、会社に選ばれることばかりを望むのではなく、自分も会社を選ぶのだと気づき、なんとかリクルートへ入社。それが、人生の新たな冒険のスタートだった。希望の部署に配属してもらえなかったり、たった1人で「就職ジャーナル」の再建を任されたりと、いくつかの失望と困難を乗り越えて、いっぱしの編集者として仕事に立ち向かう。酒場でブレーンストーミングをし、ときにはバニー姿に赤マントでプレゼンテーション…と、無我夢中で働き続け、気づいてみれば「とらばーゆ」の編集長に就任していた。
しかし、それでも修羅場は続く。ライバル誌との熾烈な戦い、降ってわいたリクルート事件。周囲のよき仲間や異能の人々と支えあい、励ましあいながら世間の荒波を乗り越え、混乱はようやく収まりかけたように見えた。が、そのキャリアの安定期を迎えたとき、著者はNTTドコモでの新たな挑戦に向けて、20年間を過ごしたリクルートを「卒業」することを決意する。
著者の成長を描くとともに、リクルートが人材輩出企業と呼ばれるようになった秘密も明らかになる。これから働きはじめる人、働きはじめた人へのヒント満載のドキュメント。(斎藤ななむ)
出版社/著者からの内容紹介
いったいどうして、いつの間に、私は働き者になってしまったのだろう? 松永真理の「原型」を創ったリクルートの20年
「あとがき」より
私はいつも偶然を味方につけてきたのだと思う.
( 中 略 )
私はどうして,目の前にある偶然に心を開くようになったのか,そこを書いてみたいとずっと思っていた.
生まれてからこれまでのことを,ひたすら書いてみた.プロットもなく,恐ろしい勢いでキーボードを叩いていった.しかし,話はとりとめなくふくらむだけで,収拾がつかなくなり,あるところからパタッと書けなくなった.そして,何ヶ月も書けないままでやり過ごしていた.
でも,これを書かないことには,小骨が咽に引っかかっているようで,どうも具合が悪い.何とか言葉にしておかないと,先に進めなくなっていたのである.
そんなある日,偶然というものを初めて私に意識させてくれたリクルートに照準を合わせて書いてみた.すると,これまでバラバラにあったものが,面白いようにつながっていった.偶然と偶然の積み重ねが必然のようであり,でも必然ですべてが固まることなく,偶然の入り込む余地がちゃんと残されている.
現実は,偶然だけではない.でも,必然だけでもない.原因と結果がくまなく必然的関係に支配されていると感じるのは,窮屈過ぎて好きじゃない.
そうではなく,偶然と必然をどうブレンドしていくか.それがきっとその人らしさ,と言えるものになるのではないかと思えてきた.
「iモード以前」というタイトルにしたのも,またいつか「iモード以降」という偶然が生まれてくるにちがいないと感じたからである.
あえて「前」を見つめることが,未来につながっていくのではないか.
現在だけを見ていると,未来が見えない.不況で,暗い話ばかりで,現状に押しつぶされそうになる.でも,前を見てみると,忘れていたあの頃の純粋な気持ちが思い出されて,自分が一番励まされているのに気づく.
いつの日か未来の扉が開くとしたら,前兆はきっとこの中にある.でも,これがすべてではない.だから,また未来の偶然に対して柔軟になれるのだと思う.
今回の本は,「私という原型」を探る旅であった.
もともと何かに秀でていたわけではない.確固たる職業意識があったわけでもない.でも,人との違いや摩擦の中から,「私の型」がどのように創られていったのか,その過程をひもとく20年の長旅であった. 書き終えて読み返してみると,結構,大変な目に遭ったんだなあと改めて感じる.でも本人にとって大変だったという思いはなく,むしろキラキラした時間の集まりであった.渦中にいる時はわからなかったけれど,今は確かな時間として私の手の中にあるのが実感できる.
( 後 略 )
「松永真理のつくり方」
●材料(登場人物)
酔っ払いの先輩 同期の売れない営業マン 酒場ブレストの相棒 ルームシェアの女友達お節介な外部スタッフ わがままな上司 突き上げるメンバー
●調理法
材料は適当に洗って,ザク切りにします.
火加減は初めチョロチョロ,中パッパ.アクが浮いても放っておきます.
素材の特性を引きだすために,3年に1回,かき混ぜるようにします.
煮上がったら一度冷まして脂肪を除くのがポイントです.
仕上げは,輪切りにした赤唐辛子を散らし,木の芽を添えます.
●料理長おすすめのメニュー(内容)
誰もがヒーローになれる装置
崖っぷちのキラキラした時間
人の連鎖を生む仕組み
ショック療法の研修
やる気を引きだすマジック
コミュニケーション活性化の仕掛け
会社の危機を救う若手の結集
社内の「知」をかき回すナレッジ・マネージメント
上司ではないメンター(指導者)の存在
カオスを創出するための演出