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協同現象の数理―物理、生物、化学的系における自律形成 (1980年)
  

協同現象の数理―物理、生物、化学的系における自律形成 (1980年) [古書] (単行本)

by 牧島 邦夫 (著), 小森 尚志 (著), H.ハーケン (著)
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Product Details

  • 単行本: 409 pages
  • Publisher: 東海大学出版会 (1980/04)
  • ASIN: B000J89518
  • Release Date: 1980/04
  • Average Customer Review: 5.0 out of 5 stars  See all reviews (1 customer review)
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5.0 out of 5 stars 自律系の探求, 2009/2/13
ヘルマン・ハーケンのこの本は、翻訳が1980年で今から30年ほどの時を経ている。この原書がハーケンにより、シュツットガルトで出版されたのが1976年11月であるから、優にその時間は研究者1世代の時間が経って居て、ハーケンが此処で提起している問題群は、現在では自然科学の巨木に育ちつつある。非平衡熱力学の発展は、その成果が、現象の解析が可能なレベルにまで成長したと言う事である。ラルス・オンサンガーの「不可逆過程の理論」・プリゴジンの「散逸構造」を経て、R・トムによる「力学系と構造安定性」また自己組織化の解析まで多岐にわたる。それは、胚から生物のかたちへと変貌する成長の神秘を解明する研究へと発展する。
形態発生学やその現象の意味について、随分昔、アラン・チューリングに拠るセルから細胞体への形態形成が、熱力学の勾配による自己組織化ではないかとのアイデアが提起された事があり、その様な、チューリングのインスピレーションに感心した事があった。非平衡熱力学の法則が現象の解明に大きな力と成り得る、次にその方法は、遺伝情報の分子形成に向けられる事となるだろう。「経験を構造化する」、この現象を如何に力学的法則として還元化するか!此処にこそ、ハーケン達の、「協同現象」研究の最終的な目標があるのだろう。脳科学の問題はこの科学から得た知見により、解明される類のものである。
この「協同現象の数理」は、様々な自然力学のもたらす形態現象の解明に向けた、汎生命体の科学であり、豊かな発想と深い洞察力が不可欠な分野である。
そして、その研究の過程で、この森を探索する者たちは、これらの現象の背後に在ると思われる,深い神秘に触れる体験を持つ事であろう。
「自己組織系ー経験の蓄積と自律構成の哲学」は、ここでも大きなテーマと成るもので、宇宙とひとつの細胞は見えない糸を通じて、融合されている。
発生に於いて、一つの卵細胞と精細胞が合体を起こし、此処から多細胞生物の形態形成が始まるが、細胞の分裂の承起に成るものが何なのか?それは、形態の形成を誘導する何かと共に複合的に進んでいる。詳細は分からないが、そこには、何か一貫した原理法則が適応されていると考えた方が理屈に合う。

この事で、ふと思うのは、寺田寅彦の事である、恐らく、この様な分野は、寅彦の最も得意とする分野であった事であろう。
その昔、寅彦は、キリンの縞模様やコンクリートの割れ方、田んぼの干上がった土の割れ方、に共通する原理や法則を探った。ごく単純と思われる現象であるが、当時の西洋カブレした学者には、哂われたらしい。本来の科学とは、「目に見えない物」にも「目に見える原理法則」が働いている事を知る事でもあり、又、その逆も云えるのである。法則は現象の階層性を貫く力がある筈の物で、それ故に法則なのであり、原理なのである。仮に寺田が生きていれば、この様な科学に、相当興味を示すだろうな?と思う。彼の豊かな発想力と鋭い勘は、こういう分野で大いに発揮されたに違いない。

ハーケンは、この著書の後に、新たに「シナジーテックスの理論」を書いている。
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