|
28 of 33 people found the following review helpful:
5.0 out of 5 stars
非凡は平凡を装う, 2004/3/1
この手の本を読むと途中で失望して放り出してしまう事が多いのだが、久しぶりに一気に読めた。ストーリーを絡めて難しいビジネスの概念を読者に理解させるというのは「ザ・ゴール」以来食傷気味で、日本人が書いたこの手の本ではそのストーリーや文章が拙くて読む気を喪失させるものが多い中で、この本は何だか奇妙なバランスの上に立って成功しているように感じた。 しかしこれまで読んだコンサルタントになる為の本、経営企画部員の為の本、ロジカル・シンキングの本、プレゼンテーションの本と比べて際立っているのは、もちろんストーリーの面白さではなく、読者に「これは、多分正しい」と思わせる「何か」である。 それはおそらく、この本がそういったテクニックを教えるだけではなく、正しい修行の「方法」をも教えようとしているからだろう。 実際、よくある「なんとかコンサルティング」みたいな本では、プロのコンサルタントのちょっとしたコツというものを「こうすれば誰でもできますよ」という顔をして教えてくれるわけだが、この本の著者はそういったコツを読者が自ら編み出せるようにする為、読者に対して執拗に絶えざる訓練を要求する。 それは例えば道を極めた者が「悟り」そのものを教えるのではなく、「悟りに至る方法」を教え、怠ることなく鍛錬するように要求するのに似ている。 この本を読めば、すぐに論理的に考えることができるようになったり、プロのテクニックを身に付けられるわけではないと思う。 けれども著者の示す方法に従って訓練すれば、誰でも或る程度はプロフェッショナルと呼ばれるに相応しいスキルを身に付けられるかも知れない、と思わせる説得力の有る部分が随所に見られた。 但しその記述や表現は極めて平凡である。 「適切に考え、適切に伝える」、「検証不能な作業設計をしない」、「人間の感覚に逆らわない」と、並べてみれば特に目新しいことを述べているわけではない。 しかしこの本を一気に読み進める内に、そういったアドバイスが自分の経験に照らし合わせて「目から鱗が落ちる」感覚に変っていくのが心地よい。 最後に、著者の略歴を見て「これは一本取られた」と思った。 若いが、なかなかやる。
|