山野草や野菜を主体にした料理。締め括りの食事は、お竈(くど)さんの炭火で焼いためざしと、羽釜で炊いたアツアツのご飯――「野菜や山菜の声を聞いて料理をつくる」という主人・中東久雄さんが、独自の料理「草喰(そうじき)」でもてなす日本料理店・京都「なかひがし」。
開店したのは5年前の1997年。東山・銀閣寺畔にある一軒家。老舗・名店が居並ぶ日本の総本山・京都に彗星の如く現れ、開店から数年にして客から圧倒的に支持されるようになりました。観光シーズンともなれば3ヵ月前に予約が埋まってしまう超人気店で、それ以外の季節でも、まず「なかひがし」の席を押えてから宿や新幹線を手配するのが京都通の「食べ歩きの原則」、と言われるほどです。
「なかひがし」が看板に掲げる「草喰」とは、どんな料理なのでしょう。綺麗に飾り立てて季節感を演出する京料理でもなく、旨いものを次々に繰り出す腕前自慢の料理でもありません。人の心を安らかにする料理と言うのがいいのでしょうか。
一言では言い尽くせない、その魅力を解明しようと、雑誌「dancyu」で1年余以上の年月をかけて徹底取材しました。あるときは食材の源である生産農家や野草が自生する野山へ早朝から出向き、あるときは主人・中東さんの包丁使いやお竈さんの炭火で調理する火加減の巧みさを追いかけました。それに追加取材し、真髄に迫ったのが本書です。
食材の瑞々しさや料理の質感を見事に捉えた写真と詩的な文章が、「なかひがし」で食事をしたときの感動の世界へと再び誘ってくれます。日本料理界の先頭を駆ける気鋭の店の世界へ、と。
本書の主な内容
ご飯とめざし/野山/鯉/竈/デザート
春・夏・秋・冬――四季の草喰
草喰料理を生み出した男・中東久雄
四季の食材一覧
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