内容紹介
最近の私は何かに興味を惹かれると、集中して、会得できるまで追求するクセがついています。
一九八〇年代からの「直感力」「フーチ」「氣」、九〇年代からの「経済予測」、最近では「未来予測」の一環としての「日月神示(ひつきしんじ)の研究」や「聖書の暗号の研究」がいい実例です。飽きっぽい性格ですが、短時間でプロになるくらい詳しくなります。
しかし、三十歳くらいまでの私には、そうした「クセ」はありませんでした。何事にも飽きっぽい性格は、若いころも今も変わりません。すぐ新しいことをしたくなるのです。
将棋も小学校の二年生くらいに覚えたのですが、小学校の高学年のころから囲碁を覚えると、いつのまにか将棋とは無縁になりました。その囲碁も高校生になり、マルクスやニーチェ、キェルケゴール、カントなどに興味が移ると、すっかり見向きもしなくなりました。このような性格ですから将棋は指せますが、ほとんど知りません。
二〇〇八年十二月二十六日、熱海の私のところへ将棋で有名な羽生善治さんが見えました。この日の朝の十時ころから夕方まで、主として羽生さんから「人間の能力」などについて質問を受け、私が答える形式で数時間も話しあいました。それをまとめたのが本書です。
私は当日、羽生さんとは初対面でした。しかし、彼は私のことを、拙著や講演などで多少はご存知だったようです。するどい質問がきました。私は前日に、秘書からもらった羽生さんの経歴などをとばし読みしただけで、対談に臨みました。
羽生さんは、明るいポジティブ人間で、いろんなことをよく勉強して知っている素晴らしい青年でした。その物識りぶりは本書内で随所に出てきます。
一方、私は当時、病人でした。二〇〇七年三月十二日から体調を崩し、二〇〇八年十月にはほとんど良くなったかに見えていたのですが、十二月中旬から口腔(こうくう)内がたえず痛みはじめ、話しづらく、充分に食べられずに眠れない日々を過ごしていました。
ただ、対談の日、そのような私を、彼はシャキッとさせてくれました。実に魅力的な人だったからです。おかげで楽しい一日を過ごせました。
おかげさまで本書は、だれもが納得できる「上手に生きるための、人間力を磨く素晴らしい入門書」になったと思います。
本書の内容には、考えすぎると難しいところもありますが、羽生さんのおかげで具体的な実例が豊富なわかりやすい人間としての力の付け方についての実践書になったといえそうです。彼の経験談が新鮮です。
読者の皆さんに、本書を上手に活用してほしいと期待しています。
著者について
船井 幸雄(ふない・ゆきお)
1933年大阪府に生まれる。56年京都大学農学部農林経済学科を卒業。日本マネジメント協会の経営コンサルタント理事などを経て、70年に株式会社日本マーケティングセンターを設立。85年、同社を株式会社船井総合研究所に社名変更。88年、経営コンサルタント会社として世界ではじめて株式を上場(現在、同社は東証、大証の一部上場会社)。同社の社長、会長を経て、2003年に同社の役員を退任。
現在、株式会社船井本社の会長。また株式会社船井総合研究所や株式会社船井財産コンサルタンツ、株式会社本物研究所、株式会社船井メディアなどの最高顧問。グループ会社60余社の象徴的存在でもある。経営コンサルタント・人生コンサルタントとして、今も第一線で活躍中。
著書に『2009年資本主義大崩壊!』(ダイヤモンド社)『にんげん』『超効率勉強法』(ビジネス社)『有意の人』(徳間書店)『生きる!!』(あ・うん)等。共著に『成功とツキを呼ぶ本物の法則』『日本人が知らない「人類支配者」の正体』『日本壊死』(いずれもビジネス社)などがある。
羽生 善治(はぶ・よしはる)
1970年、埼玉県生まれ。小学6年生で二上達也九段に師事し、プロ棋士養成機関の奨励会に入会。奨励会の6級から4段までを3年間でスピード通過。中学3年生で4段。中学生のプロ棋士は加藤一二三、谷川浩司以来。89年、19歳で初タイトルの竜王位を獲得する。その後、破竹の勢いでタイトル戦を勝ち抜き、94年、九段に昇段する。96年、王将位を獲得し、名人、竜王、棋聖、王位、王座、棋王と合わせて「七大タイトル」すべてを独占。「将棋界はじまって以来の七冠達成」として日本中の話題になる。2008年には名人通算5期により「永世名人(十九世名人)」の資格を獲得した。現在、最強の棋士である。棋風はオールラウンドで幅広い戦法を使いこなし、終盤に繰り出す妙手は「羽生マジック」と呼ばれ多くのファンを魅了している。
著書には『決断力』(角川新書)、『羽生の頭脳1~10』(日本将棋連盟)、『挑戦する勇気』(朝日新聞社)などがある。