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歴史知識学ことはじめ
 
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歴史知識学ことはじめ (単行本(ソフトカバー))

by 横山 伊徳 (著, 編集), 石川 徹也 (著, 編集)
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Product Description

内容紹介

情報学の手法をつかって歴史学の再構築をはかる、「歴史知識学」という新しい学問を提唱。
七名の執筆者による最新の研究事例を紹介するとともに、先駆者三名による鼎談によってその現状と可能性を探る。
史料のデジタル化によるメリットだけでなく、その問題点にも言及。


内容(「BOOK」データベースより)

東京大学史料編纂所は、一世紀を超えて活字史料集を編纂・出版し、歴史データベースとしても公開している。一点の史料は、神経細胞のように、歴史知識という糸で他の史料や事実と結びつくことにより、日本の歴史全体のなかに位置づいている。二〇〇六年四月に発足した前近代日本史情報国際センターは、歴史学・史料学と情報学を融合させることにより、歴史知識学研究の促進をめざしている。本書は「史」と「知」のデジタル・アーカイブを統合し、「歴史知識学」のこれからを提案する。

Product Details

  • 単行本(ソフトカバー): 192 pages
  • Publisher: 勉誠出版 (2009/3/6)
  • Language: 日本語
  • ISBN-10: 4585003061
  • ISBN-13: 978-4585003069
  • Release Date: 2009/3/6
  • Product Dimensions: 7.4 x 5.2 x 0.8 inches
  • Average Customer Review: 4.0 out of 5 stars  See all reviews (1 customer review)
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4.0 out of 5 stars 歴史知識学の可能性と課題を伝える好著, 2009/4/19
本書は、2008年11月22日に開催された東京大学史料編纂所前近代日本史情報国際センター公開研究会「歴史知識学の創成」の内容を一部再構成したもので、この研究会は以下のプラグラムで実施されている。発表題目の右に矢印で附したのは該当すると思われる本書の章。

・研究報告
 ・石川徹也(東京大学史料編纂所)
  「研究活動報告」→序章
 ・大日本印刷
  「史料・画像検索システムの研究」→1章、2章
 ・NTTデータ
  「情報抽出による人物DBの構築研究」→3章
 ・赤石美奈(東京大学史料編纂所、東京大学大学院工学系研究科)
  「人物史DB構築研究」→4章
・コメント
 ・中川裕志(東京大学情報基盤センター)
 ・堀浩一(東京大学大学院工学系研究科)→9章
・基調講演
 ・松岡資明(日本経済新聞社)「知識化研究の意義」→8章
・研究報告
 ・遠藤基郎(東京大学史料編纂所)
  「鎌倉遺文を対象とするVirtual Laboratory構築プロジェクト」→6章
 ・山田太造(東京大学史料編纂所)
  「翻刻支援エディター」→5章
 ・近藤成一(東京大学史料編纂所)
  「日本古文書ユニオンカタログプロジェクト」→7章
・討論−歴史知識学の可能性:何をなすべきか?→10章
 ・安永尚志(国文学研究資料館)
 ・柴山守(京都大学 東南アジア研究所)
 ・保立道久(東京大学史料編纂所)
 ・司会:石川徹也(東京大学史料編纂所)

本書は、伝統的な学問である歴史学に情報学という比較的新しい学問の手法を取り入れてきたこの四半世紀の現状報告といったところだろうか。図書館学と情報学がもっと接近するべきである、つまり両者は離れすぎていると主張することが多い自分としては、歴史学、特に東京大学史料編纂所における取り組みは、こういった分野間融合の可能性を示してくれる内容であり、その点では十分に満足感のある内容だ。だが、同時に本書の書名にも掲げられている歴史知識学の現時点での限界も感じさせられた。

第3章「編纂史料からの人物情報の抽出」(北内啓、城塚音也)にこういう記述がある。

「「人物情報抽出システム」の開発プロジェクトの中心的な取り組みは人物データベースの構築ですが、最終的にはそれを活用するための検索・閲覧システムも必要になります」(43〜44頁)。

以降、それでは使いやすい検索・閲覧システムを実現するためには何が必要かが論じられるのだが、この中心的な取り組みとしてのデータベースの構築と、最終的な活用形としての検索・閲覧システムの開発の対比は、本書を語る上で非常に象徴的だ。

大学や企業に籍を置く歴史学や情報学の研究者によって語られるデータベース構築の実際は、多くの人が抱いている歴史学のイメージを鮮やかに打ち砕いてくれるだろう。ともすれば、埃をかぶった古書を紐解いていくという「いかにもな」歴史学はここにはない。史料のデータベース化がもたらしうる可能性には、大きな期待を抱きもするだろう。史料群の中に眠る未知の可能性を具体的な手法も含めて提示している点は、本書に限らず、歴史知識学の醍醐味をよく伝えている。

だが、一歩引いて、活用するための検索・閲覧システムとなると、本書では決して多くは語られていない。検索・閲覧のためにどのような配慮がなされているのか、どのような活用を考慮しているのか、そして、そもそも誰が活用すると想定しているのか等々。デジタルアーカイブの分野でも語られていることだが、どのような利用・活用の実現をイメージしてデータベースが構築されているのか、データベース構築と検索・閲覧システムの開発をつなぐべき一本の線がはっきりとは見えてこない。この点は本書の課題であり、この課題に答えられない限り、歴史知識学の創成はごく限られた領域でしか実現しないのではないかと危惧してしまう。
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