内容(「BOOK」データベースより)
女は、もはや意識もなくただ横たわるだけの夫に、初めて愛おしさを覚える。そして、自分の哀しみ、疼き、悦びを語って聞かせる。男は、ただ黙ってそれを聞き、時に、何も見ていないその目が、妻の裏切りを目撃する。密室で繰り広げられる、ある夫婦の愛憎劇。アフガン亡命作家による“ゴンクール賞”受賞作。
出版社からのコメント
<密室で繰り広げられるある夫婦の愛憎劇>
せまくて何もない部屋に、戦場から植物状態となって戻った男が横たわる。その傍らで、コーランの祈りを唱えながら看病を続ける妻。やがて女は、快復の兆しを見せない夫に向かって、自分の悲しみ、疼き、悦びについて、そして誰にも告げたことのない罪深い秘密について語り始める。夫は、ただ黙ってそれを聞き、時に、何も見ていないその目が、妻の裏切りを目撃することになる--
原題の「サンゲ・サブール」とは、ペルシア語で「忍耐の石」。その石に向かって、人には言えない苦しみや悲しみを打ち明けると、石はそれをじっと聞き、言葉や秘密を吸い取り、ある日、粉々に打ち砕ける。その瞬間、人は苦しみから解放されるという、ペルシアの神話からとられている。
著者はフランスに亡命したアフガニスタン出身の映像作家・小説家。初めてフランス語で綴った本作は、デュラスやサルトル、ベケット、ヘミングウェイを彷彿させると評され、いきなりフランスの文学賞最高峰ゴンクール賞を受賞。はたして、石は砕けるのか、悲しみは消え去るのか。圧倒的なラストまで読者の瞬きを許さぬ衝撃作。