著者の基本的なスタンスは、あくまで相場の流れに逆らわず、謙虚を旨としつつ、現物の買いとカラ売りを相場のプロセスに沿った形で組み合わせていくべし、というものである。著者の指摘によれば、「カラ売り」は株価を構造的に持ち上げようとする証券会社の作った勝手なレトリックであり、かつがれるとリスク無限大の手法となってしまう。そのために、著者はその売買ルールの遵守にややくどいと思えるほど、ページを割いているのである。
日本の個人投資家の不幸は、相場の天井近辺において「マスコミなどの周辺情報から儲かった話を聞いた」、「証券マンが熱心に勧めるから」といった“雑音”などにより、合理的判断を失ってしまうことにある、と著者は考えている。そこで、投資手法の選択肢を増やすための「カラ売り」を紹介している。著者が本書で紹介しているように、「千株でもカラ売りをやってみることによって、相場を違った角度で見られるようになった」という投資家からの手紙も、あながち手前味噌とは言いきれない。
必ずしも即効薬とはなりえないが、株式投資に対する戦略の幅を広げたい投資家には、前著『カラ売り入門』とあわせて読破することをおすすめしたい。(杉 良介)
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