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先生はえらい (ちくまプリマー新書)
 
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先生はえらい (ちくまプリマー新書) (新書)

内田 樹 (著)
5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (22件のカスタマーレビュー)
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内容(「BOOK」データベースより)

「先生はえらい」のです。たとえ何ひとつ教えてくれなくても。「えらい」と思いさえすれば学びの道はひらかれる。だれもが幸福になれる、常識やぶりの教育論。


著者からのコメント

著者からひとこと

この本は「ちくまプリマー新書」という中高生対象の新しい新書シリーズの一冊として書かれたものです。

「いまどきの中高生に何か言いたいことがありますか?」と筑摩の編集者に尋ねられたときに、「『先生はえらい』かな・・」とぽつりと答えたのが、この本のきっかけになりました。

タイトルからおわかりいただけるようにこれは師弟論です。
教育論というのは世に多くありますが、師弟論というのは、最近少ないですね。
というのも、「先生はえらくない」ということがいまの日本ではほとんど常識になっているからです。
「教育基本法を改正せよ」「教育勅語を復活せよ」などと言われるみなさんはもちろん、「教師だって生身の人間だい」「教師は労働者である」という方向に力点を置かれるみなさんも、とりあえず「先生はそんなにえらいもんじゃないです、別に」ということについては衆議一決されています。
先生方のお気持ちも、あるいは先生方を罵倒される方々も、それなりに切ない事情があって語り出されているわけですから、お気持ちもわからないではありませんが、そういうことだけで果たしてよろしいのであろうか、という警世の一石を投じるのが本書の趣旨であります。

私の「先生はえらい」論は、「えらい先生とはこれこれこういうものである」というような認知的なものではありません(そんなことを言っても何も始まりません)。
あるいは「いいから黙って先生の言うことを聞きなさい」というような政治的なものでもありません(そんなことを言っても誰も聞いちゃくれません)。
そうではなくて、「先生」というのは定義上「えらい」ものである。あなたが「えらい」と思う人、それが「先生」であるという必勝不敗の同語反復を断固主張するところの書物なのであります。

私が行ったのはいわば「えらい」の構造分析です。
「他者を『えらい』と思うのは、どういう心的状況、いかなる権力的付置のことか」
という分析を試みたのです。
これなら私も理論的に熟知しています。
というのは、私がこの数年集中的に読んできたレヴィナス老師とラカン老師はどちらも「えらい」の専門家だからです。
この方たちは「えらい」というのはどういうことで、それがどのような教育的・分析的効果をもつのかということを、ほとんどそのこと「だけ」を考究され、書き残されているのでした(ということに気づかれているかたはあまりいないようですが、そうなんですよ、これが)。
私も最近まで気づきませんでしたから、偉そうなことは言えませんが。

ともあれ、レヴィナス、ラカン両老師のご高説をすべて「えらいの構造分析」という視点から読み直し、ついに「『先生はえらい』だって、『えらい人』のことを『先生』ていうんだもん」という必殺の同語反復に到達したというのがことの真相であります。

「えらい」の構造分析を通じて、師弟関係の力学的構造が解明されれば、まあ、あとは原理的には「赤子の手をひねる」ようなものです。ビジネスでいうところの「レバレッジ」(梃子)というやつですね。
「われにレバレッジを与えよ、さらば宇宙を動かしてごらんにいれよう」とまではゆきませんが、「えらい」のレバレッジ・モデルの解明を通じて、やがて日本の教育はあらたなフェーズに入ってゆくものと確信しつつ、新刊案内のご挨拶に代えさせて頂きます。

内田 樹


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5つ星のうち 5.0 内田樹の本領, 2006/8/11
By 青ち (大阪府) - レビューをすべて見る
(TOP 500 REVIEWER)   
この本が論じていることを突き詰めつつ否定形で書くと、

「えらい先生なんてのは、客観的に誰もが認める形で存在したりはしない」

「学ぶというのは、買いたいものをお金を払って買うような等価交換ではない」

だいたいこの2点に集約されるだろう。だったら「えらい先生」ってのは誰なのか、「学ぶ」ってのはどういうことなのか。それはここに書くとネタバレになるので、自身でこの本を手にとって、読んでみることを勧めたい。

そもそもこの本の作りはなかなか「あざとく」て、この本が読み通せれば、「難解」と定評のある同じ著者の『他者と死者 ラカンによるレヴィナス』(海鳥社)の前半部分の導入はクリアしたも同然、という仕掛けになっている(ちなみに後半部分は「他者としての死者論」なので、この本の議論を超える)。

こうした本作りを非難する向きもあるようだが、この両書はそもそも想定する読者が違うのであって、同じことを扱っていても語り口や切り口が違ってきて当然である(少なくとも私は、中高生に向かって『他者と死者』を読め、なんて言えない)。そうである以上、同じテーマを扱った違う本に仕上がって当然なのである。でなければ、新書の存在意義のかなりの部分は失われてしまうだろう。

ともあれ、レヴィナスの師弟論やラカンのお話なぞを、中高生向けの新書として書いてしまえる内田樹は、間違いなく当代超一流の書き手である。この「こなれ具合」を安直さととらえてしまうのは読み手の自由だが(必ずしもそれが的外れとは言い切れないところに、この人の一筋縄ではいかない真髄がある)、そうやって斬って捨てて、「わかったつもり」になってしまうのは、実にもったいないし、しょうもないと思うのである。
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13 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 だ・か・ら・先生はえらいんだよ!, 2008/3/31
By 倒錯委員長 (横浜市と夢半ば) - レビューをすべて見る
(TOP 500 REVIEWER)   
本のタイトルに噛み付いているレビュアーがいるが、ちゃんと読め、と思う。
この「先生はえらい」というわずか6文字のフレーズにどれだけの意図が凝縮されているか、その人はこの本買ったこと自体が間違いであり、その人にとってはこの本は「師」にならなかったということになる。
またちゃんと読まずとも、これぐらいの大風呂敷は本のタイトルとしてはふつうでしょ。
それとも彼らは斉藤環の『若者のすべて』にも、「それがすべてじゃない!」と噛み付いているのだろうか。

この本であつかうその先生とは教師ではなく「師」だ。
そして内田の述べるこの師/弟子という関係性は、精神分析の分析者/被分析者の関係性そのものなのである。先生はえらいから、答えのない問題にでもなんでの答えてくれる、「知っていると想定された他者」なのである。そしてその答えとは、万人に対してではなく、私ただ一人に対して、絶対的な何か(その何かは弟子本人には漠然としか定義できない何か)の別名である。

先生=師というのはもちろん人間ではあるが、それはつねに現前する莫大な知識のストックを意味するのではなく、二人の人間が無意識のうちに共犯的に作り上げた「師/弟子」という関係性の結果としてたち現れる、一種の幻影(対象A)であるということになる。

この難解な論理に、高校生のうちに遭遇するということは(私が読んだのは大学3年生のころだが)、ほかの参考書を読むより、はるかに高度な知的訓練になるのではないだろうか。
うらやましい。


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16 人中、11人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 内田カーに乗って, 2006/5/10
ちくまプリマー新書、ってのは筑摩書房が中学・高校生にむけて分かりやすい本を送りましょう、というシリーズ。だから、内田先生の筆の進み具合も、いつもの3割り増しくらい。もう、どんどんどんどん、すらすらすらと話は展開していく。このスピード感がたまんない。
内容も、「腑に落ちる」お話ばかり。対話とかなにか、学ぶとはなにか、先生とはどんなひとか?
そうか、こういうことだったんだ!!
たまに、ラカンとかレヴィナスとかの、現代フランス哲学者の名が、申し訳程度に出てくるけども、そんなの知らなくてもおかまいなく読める。そんで、「レヴィナスって、こんなこと言ってんだ、へー」と思えてしまう。たぶんレヴィナスなんてそうそう読まないから、知った気で居られる。これはなかなか気分の良いものだ。
ところで、僕には師と(勝手に)あがめてる人がいっぱいいる。内田さんも、いや内田先生ももちろん、我が師匠である。こういう態度こそが、この書によれば、すべての学問の道であるらしい。ふむ。今まで自分は、ちょっと節操がないほどに、いろんな人を先生とよび、その都度影響をうけてきたけど、これでよかったのだ、と納得した。 ほっ。
みんなも、「えらい先生」にいっぱい出会いましょ。
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投稿日: 2005/11/8 投稿者: こっぺ

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