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6843億円の赤字を抱え、瀕死の状態だった日産を3310億円(過去最高)の黒字へと導いた奇跡の男、カルロス・ゴーン。本書は、そのキャリアと経営哲学・手法、プライベートについて語った初めての本である。プロローグにあるこんな一節が、本書の性格をよく表している。「人が白旗を掲げて降参するような厳しい状況で会社を立て直す―― どうしたらそんなことができるのでしょう?(中略)ぜひゴーン流マネジメントの秘訣を教えてください―― この種の質問を浴びせられるたびに、私は途方に暮れてしまう」
本書は、ゴーンが経営の秘訣について語ったものではない。本書に著されているのは、知られざる彼の学生時代からミシュラン、ルノー、日産までのキャリアの記録であり、そこで彼が下した決断の数々である。とはいえ、30歳という若さで南米事業を統括するCOOに就任し、ハイパーインフレに悩まされるブラジル事業を成功に導いた話や、北米事業のトップに就任し、ユニロイヤル・グッドリッチを統合した話、ルノー、日産を瀕死の状態から復活させた話などは、究極のケーススタディーといえるかもしれない。また、彼が折々の決断にどんなポリシーを持って臨んだか、状況をどう分析し対応したか、といった話も参考になる。
本書にはまた、転職の話や家族の話、友人の話など、彼自身のプライベートについてのエピソードが数多く紹介されている。たび重なる転職・移住を前向きにとらえ、協力を惜しまなかった妻の話や、良いアドバイスをくれた友人・上司の話などは、どんなときでも誠実さを忘れなかった彼の人柄とあいまって、成功するビジネスパーソンに必要な要素とは何かを考えさせてくれる。グローバルに活躍するビジネスマンとしてのゴーンの人生は、非常に劇的で、それだけでも読む価値がある。(土井英司)
Product Description
ルネッサンス 再生への挑戦 日産自動車社長のカルロス・ゴーン氏が半生を振り返った自叙伝。本書を読むと、ゴーン氏の優れた点は、既成概念にとらわれず物事の本質を見抜く観察力と、柔軟なコミュニケーション能力にあることがわかる。
ゴーン氏が日産を再建するために打った手として、通常、真っ先に挙げられるのは大胆なコストカット。しかし実際にはそれよりも、部門間の情報のやりとりを活発にするために「クロス・ファンクショナル・チーム」をつくり、問題意識の共有化に成功したことが、非常に大きな効果をあげているという。
日本人経営者とはひと味違う経営手法と、その背景にある考え方が学べる一冊だ。
(ノンフィクション作家 野口均)
(日経ベンチャー 2001/12/01 Copyright©2001 日経BP企画..All rights reserved.)