ビル・クリントン、ジョージ・W・ブッシュ、両大統領のもとでテロ対策を任されていたリチャード・クラーク以外、このような発言ができる権威者はいない。彼は、米国ではほかの誰よりもオサマ・ビンラディンとアルカイダに精通し、20年間テロとの闘いに身を投じてきた人物だ。また、7人の大統領に仕え、2003年3月に辞任するまで、ジョージ・H・W・ブッシュ、ビル・クリントン、ジョージ・W・ブッシュ大統領のもと、ホワイトハウスの内側で働いていた人物でもある。クリントン時代の隠された成功と失敗、同時多発テロを防げなかった理由、それに対するブッシュの対応、その後の舞台裏で起きていたこと、イラクが米国に対してテロの脅威を示していたのかどうか、イラク侵略に隠された損失があったのかどうかについて、彼ほどよく知るものはいない。
何よりも世間を騒がせているのは、同時多発テロが起こるまで、ブッシュ政権はアルカイダに対して無関心だったと暴露している点だ。ブッシュ政権が発足し、引き続きテロ対策を任せられることになった時から、クラークはクリントン政権時と同様に、アルカイダについて真剣に考えるように説こうとした。だが、数か月間、大統領に対して自分の言い分を陳述する機会すら与えられなかった。アルカイダのことなど聞いたこともないというような政府の高官さえいた。彼らの目は常にイラクに向けられ、これまでのアメリカに対するテロにはサダム・フセインが関与しているという、長年疑われてきた陰謀説を主張する始末だった。
クラークは9月11日、国家危機管理担者としてシチュエーションルームで職務に就いていた――その時の様子は本書の冒頭に描かれている――そして、その後の経緯を見て落胆する。ブッシュは、大統領に就任した当初、当面のアルカイダ対策を講じず、ようやく関心を向けたかと思えば、致命的な決断を下した。テロリズムに対する強行派の1人として知られている人物によって書かれた『Against All Enemies』は、20年間にわたる米国のテロとの闘いを描いた秀逸な史劇でもあり、現政権に対する扇情的な告発状でもある。 (Book Description)
--このレビューは、同タイトルのハードカバーのレビューから転載されています。
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