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抱擁家族 (講談社文芸文庫)
 
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抱擁家族 (講談社文芸文庫) (文庫)

by 小島 信夫 (著)
3.8 out of 5 stars  See all reviews (6 customer reviews)
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Product Description

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   大学講師の夫は、家政婦の口から、自宅に遊びに来るアメリカ兵と妻とが情事を重ねているとの事実を聞き、ひどく動揺する。彼は、なんとか妻との関係を回復させようと、突然子供たちと家の雑巾がけを始めてみたり、米兵にわざと居丈高な態度で振る舞ってみたりするが、どれも滑稽(こっけい)でみじめなものとしかならない。世田谷に家を新築することを決めたりして、どうにか夫婦関係が修復の軌道に乗りかけたその時、夫は愛撫した妻の乳房から、しこりを感じとる。それは乳癌だった。

   著者は、1955年に『アメリカン・スクール』で芥川賞を受賞し、大作『別れる理由』などでも知られる小島信夫。本書は、1965年発表の、彼の代表作との声も高い作品で、翌年の谷崎潤一郎賞受賞作品ともなった。

   本書は、発表当時の日本の時代背景、高度成長期社会の色合いを強く刻印している。しかしそこで描かれる夫婦や家族の微妙な関係、そしてそれが誰にもそう見えないうちに音もなく崩れていく過程は、驚くほどに現代的と感じられる。何気ない日常にひそむ深淵と不安を、ユーモアさえ感じられる重苦しくない文体で、しかし鋭くえぐるようにすくいとってみせる。重苦しさのない分、読者はかえって深刻な悲劇を目の当たりにする思いがするだろう。

   ぎこちないようでいて、ふとした1文で一瞬にして読む者に深い闇をのぞかせてしまう濃密な文章。実は大胆なほどスピーディーなプロット展開。それらがあいまって、結果、本作は何度読んでもくみ尽くすことのできない豊かさをたたえた、希有な傑作となっている。(岡田工猿)



内容(「BOOK」データベースより)

妻の情事をきっかけに、家庭の崩壊は始まった。たて直しを計る健気な夫は、なす術もなく悲喜劇を繰り返し次第に自己を喪失する。無気味に音もなく解けて行く家庭の絆。現実に潜む危うさの暗示。時代を超え現代に迫る問題作、「抱擁家族」とは何か。第1回谷崎賞受賞。

Product Details

  • 文庫: 295 pages
  • Publisher: 講談社 (1988/02)
  • ISBN-10: 4061960083
  • ISBN-13: 978-4061960084
  • Release Date: 1988/02
  • Product Dimensions: 5.9 x 4.2 x 0.6 inches
  • Average Customer Review: 3.8 out of 5 stars  See all reviews (6 customer reviews)
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25 of 28 people found the following review helpful:
5.0 out of 5 stars 波長が合えば絶対面白いはず, 2003/3/20
講談社文芸文庫は少し高いので,心配な人は新潮文庫のアメリカンスクールを味見して下さい.村上春樹も紹介しているように,新潮文庫の中の「馬」という短編が,この本の下敷にあるようです.「馬」や「アメリカンスクール」を読んで面白いと思ったら,是非この「抱擁家族」を読まれることをお薦めします.個々の文体は平易で軽いというか,不思議な感覚です.歌で言うと一般の人とちょっとはずれたキーなんだけどはずしてない,という感じでしょうか.しかし,全体の構成はハードというか,読後はずっしりしたものを感じます.さっと読めるんだけど,結構残ると言うか,とにかく読んで下さい.

僕も何年か前に家を手に入れましたが,その中身の家族はどうなのか,どうしたいのか,そんなことを考えながら読みました.

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10 of 18 people found the following review helpful:
5.0 out of 5 stars 前衛でもあった小島信夫, 2006/10/29
By 野火止林太郎 (埼玉県) - See all my reviews
(TOP 500 REVIEWER)   
小島信夫が亡くなった。近年、保坂和志のエッセイなどで高く評価されていたこともあって、この大作家の真価が随分と知られるようになったようだ。当方も保坂の文章に触れなかったら、改めて読み直すこともなかった。戦後の作家では、三島、安部、大江がトップランナーとされていたが、いずれもどこかで読んだような作品が多い。特に前衛と言われた安部公房の作品は『箱舟さくら丸』など晩年の長編に顕著な作り物めいた、安手のSF風がちっとも世界文学ではなかったことに思い至る。『抱擁家族』は違う。何かもやもやとしたものが、読後も後をひく。「カフカ的不安」とはまさにこの作品にこそ相応しい。漂うような、しかも視点が散漫に見える「文学ぽく」ない文体が、一見少しも知的なイメージを与えない。しかし、これこそが小説だという保坂の指摘は誠に慧眼である(『カンバセーション・ピース』はこの域にまで達していない)。遺作の『残光』では、小島自身の日常が創作活動との間で揺曳しているような作風であるが、これには少しついていくのがしんどい。
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10 of 21 people found the following review helpful:
3.0 out of 5 stars 60年代半ばの、社会の急激な変化への憂いと諦め, 2004/12/31
By bluepasta (Brooklyn, NY USA) - See all my reviews
(TOP 500 REVIEWER)   
日本のアメリカ化が本格に進み始めた戦後10~20年の時期の、日本社会が崩壊・変形していく姿を、一家庭の壊れていく姿を通して、象徴的に描いているのが本書ではないでしょうか。その暴力的ともいえる変化の要請は、家庭に入りこんでくる米兵ジョージ(情事?)の存在、最新式の欧米風住宅を建てる、などのプロットを通して表現されていきます。主人公のなすすべもなく押し流されていく様子と、したたかに適応して生きていく子供たちの姿が、時代の変化をなにより雄弁に語っているように思いました。

1960年代半ばの、社会の急激な変化への憂いと諦めがこの小説の底に流れているように思います。その意味できわめて同時代的な小説なのでしょう。今読むと若干鮮度は低いです。21世紀には多分書かれない文章なのではないでしょうか? なぜなら現代には現代の問題が存在するからです。それでもあえて今日的な意義を見出すとするなら、本書はわれわれが抱える近代化のもたらした問題の発露を予見していたということになるでしょうか。

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4.0 out of 5 stars 敗北を抱きしめて
 素直に物語として読み解き、キャラクターへの感情移入を求めるのであれば、
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Published 5 months ago by しゅてんだる

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一言で言えば「ぶっとい作品」です。安部公房や三島由紀夫のような(この二人、タイプ全然違いますけども)才気走った鋭さは感じませんが、ある種の野蛮さがあります。タバ... 続きを読む
Published on 2003/10/29 by 電気鰻の蒲焼

2.0 out of 5 stars レビューに引かれて購入しましたが…
この作品が発表された当事と今ではあまりにも感覚の差が有り過ぎるようで、最後迄読み切るのがやっとというのが正直な感想です。
これをベースにリメイクされた作品... 続きを読む
Published on 2002/8/1 by ALMA_papa

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