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狼と香辛料 9 (9) (電撃文庫 は 8-9)
 
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狼と香辛料 9 (9) (電撃文庫 は 8-9) (文庫)

支倉 凍砂 (著)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

土地を巡って北と南が対立する町ケルーベに、伝説の海獣イッカクが陸揚げされる。町の力関係をひっくり返しかねない価値を持ったイッカクの登場で、ケルーベは俄かに騒がしくなる。『狼の骨』の情報を集めるロレンスたちも、不穏な空気を感じていた。そんな中、イッカクの横取りを狙う女商人エーブは、ローエン商業組合を抜けて自分のところへ来るようロレンスを誘う。狼狽するロレンスのもとには、さらにローエン商業組合からも協力要請の手紙が送られてきて…!?ロレンスの出した答えとは?その時ホロは?『対立の町』編いよいよ完結。


著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

支倉 凍砂
1982年12月27日生まれ。第12回電撃小説大賞“銀賞”受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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5つ星のうち 5.0 エーブルートってないの?, 2008/9/13
By YKS - レビューをすべて見る
(TOP 1000 REVIEWER)   
はい、ありません。
大変魅力的な人物なので非常に口惜しく遺憾な事ですが…。

・はじめに概要から
初の上下巻構成となったケルーベ編の下巻。
前回、所属組合とエーブの双方から取引の協力を持ちかけられ板挟みとなったロレンス。
巨大な権謀術数の前では一人の人間など路傍の石ころにも等しく、ひと度踏み入れば後は飲み込まれるのみ。
そうなる前に危険な綱渡りをせず、ケルーベから逃げ出すという選択肢もあるが…。
シリーズ最高傑作。

といったわけで待望の下巻ですが、まず一言。
支倉ヤベェ…(呼び捨てすみません)。
伏線活用のスペシャリスト!
よもやあの一件が事クライマックスに至って核心に刺さってくるとは…。
驚愕よりも驚嘆、素晴らしい書き手です。

さて、今回は渦中の中心人物とは対極的な歯車のひとつでしかない立場を求められたにも関わらず、かつてないほど大変なロレンス。
一人だったらすり潰される前に逃げていた。
けれど彼は一人ではなく…。
そうして彼は逃げずに飛び込む事を選ぶわけですが、果たしてエーブにつくのか組合につくのか。それとも…?
ここがケルーベ編の一番の魅力かも知れません。

これまではロレンスが窮地に陥り、彼が最終的に助かれば良いという話でしたので、過程をどう辿っても結末は事前に知れたもの。
しかしケルーベでの話はロレンスだけが、という程単純な事態ではありません。
ロレンスはエーブを助け組合も裏切らない、そんな道があるのか模索し、手探りで進まなければならない。
そしてこのまま行けば両者が両立すると思えるも、そう巧くはいかず予期せぬ事態が降りかかり…。
やはりどちらかを切らねばならないのか。
いや、それ以前にどちらも切らなければならないのか?
というわけで今回は道筋はおろかゴールラインもおぼろげ。
そのためこれまでにはない面白さがあり、興奮を覚えます。

また、二人旅ではなくなった事で当初は反対意見もあったかと思われるコルが前回にも増してその重要性を感じさせてくれます。
さらにこれまで最後にはホロの力を頼る事で何とかすることの多かったロレンスが、ホロは精神的な支えとするに留めほぼ独力で解決に漕ぎ着けた事も一目に値します。
(8巻あとがきで次回はロレンスがかっこいい、とおっしゃっていたのはこの事ですね)
そして何より一時は大分ラブコメに偏重していた観のあるこの作品が、本来一番のウリとし肝としてる物語の魅力を取り戻した気がしてならないのがたまらない。
いやー、本当に面白かったです。
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19 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 シリーズのテーマが明確になった第九巻, 2008/9/16
 中世商業をモチーフにした人気ライトノベルの九巻目。

 先にちょっとキツ目に言ってしまうと、当作はライトノベルのためか基本の設定に要素が入りすぎていて、ファンタジーなのか中世商業描写なのか全部口実に過ぎずラブコメなのか、という点が判然としないところがあります。
 もともと命(破滅)は必ずヒロインが助けてくれるという奇妙な前提を繰り返し主張する中で『商人生命』を賭けて戦うという話であったこともあり、本筋の話としては実際に商人生命が破綻する二巻と、商人生命とヒロインを天秤に掛ける三巻で基本的なドラマを使い果たしていた感がありました。後は妖狼譚を中心としたファンタジー路線なのかなと。
 しかし話は商談から離れることなく進み停滞感が否めないと感じていました。

 しかしこの巻終盤でようやく主人公が『なりたいもの』に対して明確な答えを提示したことによって、シリーズ全体が改めて串を刺したようにシャキっとしました。目指すものがわかれば、過去作の行動も全てそこに至るためにあったと考えられるわけで、四巻以降の展開にも俄然意味が出て、通巻して描こうとしてきたテーマも浮き上がって見えます。

 その意味で、主人公のパートナーになり得る女性のライバル、エーブの登場は素晴らしかったと思います。彼女という強烈なリトマス試験紙によって、ドラマに都合の良いお人好しにも見えた主人公が、試され、叩かれ、ようやく主体性をもっていく過程は痛快の一言。
 抽象的で大きな意味での商人精神しか語ってこなかった序盤巻の理想論から、「これが俺という商人だ」という具体的で能動的な結論が出たことは、作品を中世風景の寓話から独立した人間の成長物語に変える効果を与えてくれました。そして過程で様々なヒロインが出てきた歴史も主人公が文字通り『女に育てられた』という形がよく見えて、翻ってヒロイン・ホロのしてきたことも見える一石二鳥の展開だったのではないでしょうか。

 そんなわけで、この面白さを理解するためには、残念ながらこの巻だけでは足りません。できれば一巻から、せめてエーブが登場する巻までは遡りたいところです。
 単独の一冊としてはお勧めできないのですが、シリーズ全体として見るとなかなかのお勧めに成長した作品だと感じています。時間のある方はぜひ通巻してお読みください。
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10 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 作品として一つのヤマを乗り越えた!, 2008/9/27
第5巻で、一旦は近づいたホロの故郷から敢えて遠い街への行商に出るとロレンスとホロが決めたことは、商業的成功を受けてのシリーズ延長であると思われても仕方がない状態であった。
ここで著者は、その状況下でどうやって間延びせず、ご都合主義に陥らずに物語を進めていくかという試練を抱え込んだと思う。実際、第6巻では、5巻が盛り上がりすぎたせいもあるが、やはりテンションの低下は否めないと感じた。
しかし、本巻では見事にその課題をクリアして見せた、と思う。

その理由は、
まずは、本巻ではホロは完全に脇に回り、しばらく続いた恋愛のメインの話は中断。
初期のように、商売の話を前面に出して、萌え要素で売っていこうという安易な道に走らなかったこと。
次に、エーブというキャラをより魅力的に描き、今後もロレンスとホロの関係をかき回すであろう(?)存在として確立したこと。
悪女エーブを、不幸な境遇で歪んでしまったけど根は寂しがり屋の優しい女性、なんて分かり易いキャラにせず、そういう一面と共に、いつ裏切るかも知れぬ守銭奴の一面をも確かに同居させた人物として描いたのは大成功ではないだろうか。
そして、そんなエーブは男性としてのロレンスに興味を持ち、ロレンスも、ホロという存在がありながら、才と胆力に溢れるエーブにどこか惹かれてしまう・・・この辺りの男女の機微は、これまでの本作ではなかった展開が期待できそうである。
そして、私が今後のストーリー展開の足枷になるのではと何より危惧していた、コルという新しい旅の仲間を加えたことについて、説得力がある理由が示されたこと。
本巻ではホロがまったくの同情や気紛れから言い出したわけではなく、自分とロレンスの関係をいつまでも新鮮なものであり続けさせたい願った面もあること、ロレンスもそれに気付いていることが明らかにされた点は高く評価できる。
この先コルが最後まで旅を共にするか、途中で卒業していくのかは分からないが、この設定があれば、コルについても後味が良いストーリーが期待できそうである。

売れた作品が安易に萌え要素に偏った内容になっていくことはしばしば見られるが、
本作者はとりあえず、大きな難関をクリアしたといえるのではないか。
今後も読み続けたいと思わせるに十分なクオリティだと思う。
一旦遠ざかった方、再読はいかがですか^^?
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