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科学の社会化シンドローム (岩波科学ライブラリー)
 
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科学の社会化シンドローム (岩波科学ライブラリー) (単行本)

by 石黒 武彦 (著)
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Product Description

内容(「BOOK」データベースより)

ヒトクローン胚からのES細胞ねつ造事件が韓国社会をゆるがした。日本でも、国立大学や一流研究所における論文ねつ造・データ改ざんの疑惑、研究費の不正運用が、世間を騒がし科学システムを脅かす。社会からの要請を前に、科学は病的症状を現すかに見える。科学は今後、どのようにあるべきか。問題の根源から考察する。


著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

石黒 武彦
1938年大阪府生まれ。1961年京都大学工学部卒業、1966年京都大学大学院工学研究科電子工学専攻博士課程単位取得退学。工業技術院電子技術総合研究所電子物理研究室長・基礎部長、京都大学大学院理学研究科教授、パリ南大学固体物理学研究所・ソウル国立大学・立命館大学客員教授などを経て、京都大学名誉教授、同志社大学ヒューマン・セキュリティ研究センター専任フェロー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

Product Details

  • 単行本: 122 pages
  • Publisher: 岩波書店 (2007/05)
  • ISBN-10: 4000074717
  • ISBN-13: 978-4000074711
  • Release Date: 2007/05
  • Product Dimensions: 7.1 x 5 x 0.5 inches
  • Average Customer Review: 4.0 out of 5 stars  See all reviews (1 customer review)
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4.0 out of 5 stars 解決策は「木にぶら下がって」はいない。, 2008/3/1
By patella (千葉県) - See all my reviews
(TOP 1000 REVIEWER)   
 「社会化シンドローム」は著者の造語である。世界的規模の論文捏造やデータの改ざん事件、研究費の不正運用などのニュースに見られる「社会との関連が深まる中で生じてきた、科学の病的とも思われる症状」を指している。そういった症状が出現してきた科学の現状を、科学者サイドから分析、考察したのが本書である。

 権威のある科学雑誌にまでも捏造論文が掲載されてしまうのはなぜか。科学論文が認められて出版されるまでの問題点を扱った章がある。科学知識を「知的財産」として「特許」などの形で囲い込むことの問題を扱った章がある。博士の学位をもつ者と就職先の需要供給のアンバランスが書かれた章がある。理科系の高等教育を受けた者、研究職に進もうかと考えたことのある人間には、現状を明確に書いてあることがよくわかる文章である。問題点を洗い出すにはよくまとまっていて読みやすい。
 法人化に伴って大学にも競争原理が導入され、「大学に期待されていた批判精神は、余裕がなくなるにつれ、宿りにくい時代に差し掛かっている。p101」というのは良識的大学人の悲鳴にも聞こえる。しかし「宿りにくい時代に差し掛かっている」ぐらいではまだ悠長だ!といいたくなるのが現状ではないだろうか。著者の指摘する問題点は確かに正しい。しかし、どう解決したらよいのか、についての歯切れは悪い。著者自身、まだよい策が見えていない、と言うことなのかもしれない。あるいは「大学に所属する研究者の気質も変わってゆきそうだp100」という中で、著者自身も状況に適応せざるを得なくなっている、ということだろうか。
 
 医療や環境問題に顕著に現れているように、良くも悪くも科学・技術の知識は確かに直接的に身近な社会を変える力である。研究者側もそれを理解し、知識を広める方式を考えていくことも必要だろう。しかし、成果を享受する「大衆」側も少し考えを改めることも必要はないだろうか。オルテガは「大衆の反逆」という有名な著作で「大衆は自動車や冷蔵庫が自然に木になっているかのように考えている」と書いた。大衆はいまや「解決策」までも自然に木にぶら下がってくると思いかけているのかもしれない。そうならない方法こそが、考えなくてはならない問題だと思う。

 病気は薬や外科手術で治すこともできるが、生活態度や免疫力など、病人自身の治癒力がなければ治りはおそい。著者と同様「病気」になぞらえて問題解決を考えれば、そういうことになるのではないだろうか。未知の領域を開拓し続ける、未だ価値付けることができない科学の先端の「中立性」を維持しつつ、生活に密着する裾野の社会とのつながりを広く柔軟に、しっかりと作ること。先端にある科学者側からだけでなく、裾野の側からも努力することが、結果的に健全な科学の発展につながると考えたい。
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