ヤボ夫

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ベストレビュワーランキング: 440
レビューについて、参考になったとの票を受け取りました: 73% (参考になった数:2,227(投票総数:3,048))
住所: 西日本
自己紹介:
主に西日本に生息する 好き嫌いがハッキリし過ぎたレビューをアップし続ける日常を送ってます。 本は好きですが悪口言うのはもっと好きです 。買って読んだ本が不出来なら情け容赦なくボロクソに言うので反感買いまくりです。 全方位相手に喧嘩を売りまくる読書生活ですな

興味があるもの
ライトノベルをよく読むが、新作より読み逃した 過去の作品の発掘作業が半分ぐらい 売れてる物より埋もれている物の方が好き
 

レビュー

ベストレビュワーランキング: 440 - 参考になった投票の総数:3048中2227
恋に変する魔改上書 (ガガガ文庫) 木村 百草
10 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
80年代以降、ガルシア・マルケスに刺激された筒井康隆が発表し続けたマジックリアリズムとシュールレアリズムに満ちた
「虚航船団」、「パプリカ」、「残像に口紅を」といった作品群…その後継者とでも言うべき作品がまさかライトノベルから
現れるとは想像してなかった…途方も無い実験精神と飛躍する想像力に満ち溢れた一冊です

物語のベースになるのはヒロインであり、語り手である冴えない少女・浅間莉子が幼馴染の少年・山伏諒太への想いを巡る現実的な青春恋愛劇です
ところが、その青臭い青春の現実的な空間がラノベにありがちな「お約束で出来上がったラブコメ」、すなわち
「とりたてて見どころの無い少年が何故か次々と美少女たちに言い寄られコメディとお色気に満ちたドタバタ劇を繰り広げる」
という非現実的展開に浸食されて次第に現実と幻想の境界が薄れて行く事に。登場人物自身が困惑するラブコメによる現実の浸食の中で
莉子が<魔改上書>の能力により自ら種を撒いてしまったドタバタラブコメの収拾を図りつつ自分の正直な想いへと至る…というのが主な筋立て

巻頭のキャラ紹介を兼ねたカラーイラストや冒頭の展開に「なんで今更こんなベタベタなラブコメを?」と疑問を感じ、更に語り手が
ラノベにありがちな「なぜかモテモテになる少年」ではなくその少年に対して「自分は幼馴染に恋愛感情など抱いてない」と冷めた態度を取り続ける少女という事で… 続きを見る
クレイジーフラミンゴの秋 (GA文庫) 誼阿古
作者のデビュー作「クレイジーカンガルーの夏 (GA文庫)」があまりに素晴らし過ぎた為6年越しで掘り起こし拝読

…またしても言葉にならないぐらい素晴らしい。言葉は悪いが「GA文庫」という限られた層しか手に取らないレーベルから
出版されたことが悔やまれる程、ライトノベルという括りに収まらない完成度である

舞台は前作と同じ1979年、同じ宝塚市と思われる町が舞台の自然体の関西人たちが、そして前作と同じく「どこにでもいる中学一年生」が
織り成す物語である。前作は13歳の少年たちの物語であったが、今回の主人公は13歳の少女である。当然そこには明らかにこの年代で
既に差が付いている男子と女子の精神的成熟度の違いというものがある訳だが、その辺りの描写が非常に巧い

主人公の晴はわずか13票で二学期の学級委員に選ばれた少女であるが、その「たった13票で選ばれた」という点に引け目を感じつつ
同時に女子の間で主な話題となる自分も含めた「他人の噂」や男子も引き込もうとする女子間の駆け引きがどうしようもなく面倒くさいとしか
思えずに好きな洋楽の世界に埋没していたいと願う感受性の強い少女である

前作は「ガンダム」がモチーフであったが、今回は洋楽で少々ページ隅のジャ○ラック絡みの表記が鬱陶しく感じるぐらい当時を代表する… 続きを見る
クレイジーカンガルーの夏 (GA文庫) 誼 阿古
今月GA文庫に目ぼしいものがなく、過去の作品で面白そうなものが無いかと漁ってたら凄いのを見つけてしまった…
これは紛れもなく大傑作です。よくまあ昭和50年代の空気と13歳の少年のリアルをここまで表現して見せたと幾ら
賛辞を送っても足りないぐらい、巧い事構築された和製「スタンド・バイ・ミー」です

「ガンダム」が毎週末にテレビで放映されていた1979年、中学に上がったばかりの宝塚市(作中じゃT市とぼやかしてあるが)
に住む少年たちのひと夏の物語なのだが、起きる事件は主人公の少年と春に東京から本家の跡取りとして連れてこられた
彼の従兄弟が鈍行を乗り継いで東京まで家出するぐらいのものと凡そ地味ではある

しかし、そこで描かれる江戸時代から続く旧家のしがらみをタテに自分勝手な理屈を振り回し、子供の事を何一つ慮れない
大人たちに対する苛立ちを抱えた13歳の子供たちが彼らなりののレジスタンス活動を繰り広げる様は生き生きとしているし、
そのベースにある心情が彼らを夢中にさせているアニメ「ガンダム」になぞらえて少年たち自身の口から語られるなど
時代の特有の空気といつの時代も変わりない大人にはまだまだ遠い少年たちの鬱屈した想いが見事に両立している

関西の田舎(まあ、いまでこそ新興住宅地としてそこそこ開けているんだが=地元民の弁)で自然な関西弁を話す登場人物が… 続きを見る