9.11の時、ワールドトレードセンターに旅客機が突っ込む中継を見たときも、福島の原発で建屋が爆発した中継を見たときも、コトのあまりの重大さに衝撃を感じたもののその現実離れしすぎた光景に、そこで働く人の姿や闘う人の姿をリアルに想像するのは難しかった。
あの当時、電力会社や政府の説明や対応が二転三転した事で、被害や不安が広がったことは記憶に新しい。
結果として、あのとき植えつけられた国や電力会社に対する不信感は、相当根強いものになった。
このドキュメンタリーは、その原発で当時何が起き、誰が何をしていたのかをインタビューを重ねて立体的に描き出したものだ。
吉田所長を筆頭に、実際に起きた事故の現場に居た人達の生々しい証言記録。
改めてこういう格好で振り返ると、あの事故は「国」としての日本の姿をあと一歩で大きく変える、住める国土の大半を失うリスクをはらんでいたと言うことを思い知らされる。
まさにチェルノブイリ×10倍のリスクがそこにはあった。
この本は、あらゆるものが不足する極限の現場で死を覚悟した人達によって、かろうじて「今」がある、そういうことを改めて確認できる迫力の一冊だった。
選挙向けのスローガンとして原発撤廃を叫ぶのは容易いが、現実問題として、再び大地震に見舞われるかもしれない国土の上に、いま、稼動していなくてもそれは沢山存在している。実質、俺たちはそのリスクからは逃れられない。
図らずとも、福島の一件で、そのことに俺たちは気付いてしまった。…
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