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スライダーズは、自分たちのやれる範囲内を決して踏み出さなかったバンド。「チャンドラー」の後半なんか幾らでも展開できるだろうに(ストーンズの「キャント・ユー・ヒア・ミー・ノッキン」のように)、でも、こちらをそこまではイかせてくれない。いつも通り、ありのままに投げ出し、「LAST LIVE」というタイトルと写真以外ここには何の感傷性もない。
映画「夜をぶっとばせ」を見て以来、ずっと聴いてきた。「夢遊病」から「天使たち」に至る辺りは加速したが、その前も後も一定のレベルで走行していた。実はこのリズム隊、フロントの2人同様に異常に優秀だと個人的には思っている。ZUZUのタイコは、仲井戸麗市「ボックス・セット」の麗蘭の部分でも聴けるが、気持ち良過ぎる。
RCもなく、スライダーズももうない。麗蘭、CHABO、HARRY、The 99 1/2に期待するしかない。スライダーズのライヴ・アルバムにいつも付きまとう選曲の疑問(ファンだから)は置いといて、これを聴かなければもう聴けない。ライヴではもう聴けない。もう聴けないものは、聴いておくべきだと思います。
しかし、RCにしてもスライダーズにしても、あれだけ優秀なオリジナルアルバムが何で店頭に常時並ばないんだ。
ミュージシャンとしても無意味。それなのに、自分のバック・バンドに「トルーマン・カポーティ」と名付け、ただ一回のザッパの日本公演をプロデュースし、オノ・ヨーコと交流があり、「水のないプール」というタイトルはジョン・レノンのお気に入りだったそうだ。よく分からない。
きっと感性の赴くままに、知性も構成も後からついてきやがれ、と嗅覚だけを頼りに突き進んでいたのだろう。実在の連続強姦魔の話を嗅ぎつけたところに、若松孝二が乗った。映画としてどうこうと言うより、邦画史にマーキングされた犬の小便のような強烈な匂いを放っている。「十階のモスキート」も好きだが、こちらの方が悪臭がひどい。
感性と存在感。稀有な人であり、映画であることは間違いない。
2000年のボックス・セット以来、どれほど音源を待ったことか。CD4枚組のボックス・セットをコンパクトにしたような、CD1枚なので悪く言えば散漫な、でもここにCHABOの「今」が詰め込まれている。
RCもなく、スライダーズの解散の意味は全く分からず、清志郎は変なカッコしたりするし、ハイ・ロウズはブルー・ハーツに比べてちょっと焦点が定まっていないような気もするし、「どんと」もいなくなり、今、僕にとって、ベイエリアから、リバプールから、トランジスタ・ラジオで日本に届いたまともな音楽をやっているのはこの人だけだ。
クラプトンなんかよりもずっとザ・バンド的にふくよかな音像を構築していた「MY R&R」以来のフル・アルバム。… 続きを見る