いせむし

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ベストレビュワーランキング: 183 - 参考になった投票の総数:14091中10720
「噂の真相」25年戦記 (集英社新書) 岡留 安則
「噂の真相」編集長の岡留 安則氏による回顧録。
文章が抜群に読みやすい。
一気に読めます。

反権力、スキャンダルの編集方針の下、
売れる雑誌を追いかけた岡安氏の熱意や苦闘の日々が、
ビビッドに伝わります。

80年代の世相が語られていますが、
これが面白い。
「疑惑の銃弾事件」、「筒井康隆絶筆事件」等、
たくさんの事件が登場。
読者の記憶を大いに呼び起こします。

反権力やスキャンダル報道の意義も、
本書にたっぷり書かれています。
ただ元読者としては、
「噂の真相」の誌面作りに面白く読みました。
特にあえて雑誌の紙も安っぽいざら紙を使っていたというくだり。
確かにあのざら紙の手触りで、
「噂の真相」のマイナー感、スキャンダルへの期待感が高まっていました。
本書で岡安氏の戦略にまんまとはまっていたことに気づきました。

岡安氏の論じる雑誌の寿命論など、現在の出版界に通じますし、
本書で登場する様々な様々な有名人。
その人たちのその後と当時のスキャンダルを重ね合わせると、
これも面白い。

「噂の真相」、懐かしいですね。
妖櫻忌 (角川文庫) 篠田 節子
妖櫻忌 (角川文庫) 篠田 節子
女流作家大原鳳月のさまよえる魂が主題、
官能的なホラーであります。

赤江瀑のような和テイストが全面的に押し出された作風なのですが、
その和テイストだったり、
女流作家の魂が醸し出す妖気、エロスの気配は、
表面的で心を揺さぶるような圧力を感じません。

ストーリーも予想撮り。
予定調和と言っていい分かりやすさ。
2時間ドラマのストーリーと言ってもいいです。

本作の主題は、
篠田節子の持ち味を活かすとは言い難い。
篠田節子と情念は合わないなあと感じるのでした。
呪眼連鎖 桂修司
呪眼連鎖 桂修司
北海道の過去と現在を行ったり来たりしながら、
ホラーストーリーが進みます。

物語の半分、呪いの起点は、
明治時代の開拓の進む北海道。
囚人を酷使しながら開拓が進みます。

一方、現代。
刑務所で掘り出された木乃伊が、
呪いを蘇らす。

呪いに合理的な解釈を与えたり、
主人公や仲間が限られた時間の中で、
自分たちにかけられた呪いを解こうとするのは、
「リング」と同じテイスト。

明治時代と現代を往復するストーリー展開はスピーディー。
現代の主人公の存在感が希薄。
おそらく呪いを解く中で、
強く成長する姿を描きたかったのだろうが、
そこは物足りない。
もっと主人公の内面を書き込んでもいいかもしれなかった。

エンディングはあさっりしていて、
自分は満足。
「たいぞう」の姿をもっと読みたかったようにも思います。