verkhovenski

 
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熱闘!日本シリーズ 1992 西武-ヤクルト [DVD] <b>DVD</b> ~ スポーツ
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ヤクルトは岡林―荒木―石井一のローテーションでしたが、荒木は故障からカムバックした投手で、石井はルーキー。岡林が4、7戦にも先発し、かつ荒木は第6戦まで間隔を開けなければならず、第5戦は先発不在の状態でした。

西武は当初、工藤―郭―石井丈、第4戦渡辺久で臨むつもりでした。西武の優位は明らかでしたが、開幕前に工藤が故障し渡辺を第1戦に。これが誤算の第一。そして第2戦、郭が打球を右手に受け、以後登板不能に。これが誤算の第二。

西武・森監督には独特の考へがありました。今も大抵のチームは第1戦から順にエース、2番手、3番手を立てます。これに対し、3番手、エース、2番手とぶつければ、2勝1敗の確率が高くなる。私はこの用兵を、史記巻65孫子呉起列伝で知りました。森監督は孫子を読んでゐたのではないでせうか。92年のペナントレースの西武は、郭と石井が好調だつたのです。

このローテーションにはもうひとつ利点があります。第1戦の先発は第5戦にも投げますが、第5、6、7戦のいづれが重要な試合でせう? 第5戦までの勝敗は3勝1敗、2勝2敗、1勝3敗です。前の二つはまだ負けられる。最後はもう負けたも同然。では第6戦は? 2勝3敗あるいは3勝2敗、前者はもう負けられない、後者は勝てば優勝です。より大一番ではありませんか? そして第2戦にエースを立てればこの第6戦に使へ、かつ2番手を第7戦に投入できるのです。… 続きを見る
【東宝特撮Blu-rayセレクション】 ゴジラ(昭和29年度作品) <b>Blu-ray</b> ~ 宝田明
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航空自衛隊のミサイル攻撃をものともせず、海に悠然と去つてゆくゴジラを見送りながら、畜生、と人々は歯噛みする。「どうしたらやつつけられるんだよ」。この映画の約10年前、日本人はこのやうに、B29を呪つたのでせう。

怪物が通過した町は焦土と化し、救護所に担架で運び込まれた負傷者が、大勢床に臥せつてゐる。子供に向けられたガイガーカウンターは、笊を引つ掻くやうな音を立て、頭から血を流した母の枕元で幼女が泣き叫ぶ。この光景も勿論、大空襲や原爆の記憶を反映してゐることでせう。胸に迫る場面です。が、この映画を面白がつて見てゐるアメリカ人に、その悲哀までは通じてをりますまい。

昭和29年の映画「ゴジラ」はかうして、まだ誰もが忘れてゐなかつた、悔しいみじめな敗戦を思ひ起こしつつ、惨禍を齎した真つ黒なおぞましい怪物を、ラストに至つて抹殺することで、現実には決して勝てなかつたアメリカに、夢の中で一矢を報いようとしてゐるのです。
どん底 [Blu-ray] <b>Blu-ray</b> ~ 三船敏郎
どん底 [Blu-ray] Blu-ray ~ 三船敏郎
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ゴーリキーの「どん底」をほぼ忠実に映画化してをりますが、黒澤は一点、重大な省略を行つてゐます。

巡礼ルカ(左卜全)の嘘の慰めは、結局泥棒(三船敏郎)も恋人(香川京子)も役者(藤原釜足)も救へない。そこで第4幕でサーチン(喜三郎=三井弘次)は、嘘は奴隷の宗教だ、真実こそ自由な人間の神なんだ、人間は憐れんぢやいけねえ、尊重されなくちやならねえ、と高らかに宣言する。それがこの劇の眼目でありクライマックスなのですが、江戸時代の長屋の住人に、そんな哲学を嘯かせるわけにはいかないと判断したのでせう、黒澤はサーチンの演説を丸ごと削つてしまひました。その代はりに馬鹿囃子の演出に工夫を凝らし、映画的カタルシスを齎し観客を瞞着しようとしてゐるのですが、このカットのため、劇構造の上で第4幕が何のためにあるのか、そもそもこの劇の主題は何かが、全くわからなくなつてしまつてをります。

さういふ皮相な映像化ではあるけれども、台詞がぶつかりあふ芝居としての面目は保つてをり、俳優にとつては腕の見せ所となつてゐます。宿屋の親父の二代目中村鴈治郎、鬼婆の山田五十鈴、左卜全(彼のキャリアで最高の役でせう)が特筆されます。香川京子も癖のない、いい女優であることがわかります。演劇好きの方にのみ、お奨めします。