本書には、日米安保は、オペラハウスでサンフランシスコ条約が調印された後、
米軍基地内の下士官クラブでひっそりと結ばれたなど、あまり知られていない
興味深いエピソードが紹介されています。また著者の指摘するとおり現在の外
務省は対米従属派が主流ですし、米国が極めて利己的かつ狡猾な国であること
もまた事実です。
しかし日本の外交三原則は「国連中心主義」「米国協調」「アジア地域主義」
で、米国とアジアの間でバランスのとれた外交を展開することが基本路線にな
っています。国連加盟時に明示されたこの方針は、決して付け焼刃ではなく、
敗戦直後に外務省内で作成された重要文書「日本経済再建の基本問題」に既に
その萌芽が見られるほど戦後日本にとって根源的なものです。
そのため米国協調とアジア諸国外交の両立こそが日本の本流で、対米従属や自
主路線は、どちらも非主流派にすぎなのが現実ですが、著者は戦後日本の外交
は対米従属と自主路線の綱の引き合いであったと、いささか無理な主張をして
います。
本来の本流を無視して、歴代の首相と政策を非主流派である「対米従属」と
「自主路線」に分類するわけですから、個々の評価はかなり強引で妥当性を欠
くものが多く、結果的に本書の主張は全体を通して「戦後史の正体」を標榜で
きる内容ではなくなっています。…
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