Y. Naito

 
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@ynaitoで散発的に呟いています。
 

レビュー

ベストレビュワーランキング: 1,408 - 参考になった投票の総数:1430中1198
量子革命: アインシュタインとボーア、偉大なる頭脳の激突 マンジット クマール
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量子という概念が生まれ、量子力学という形に定式化され、コペンハーゲン解釈というドグマが成立するまでを、科学者たちの議論の系譜として描きだした、すばらしいポピュラーサイエンス。これまでも、量子を扱った一般書には傑作と呼べるものが何冊もありますが、私はこの本に圧倒的な感銘を受けました。類書にはない本書の特徴は、同時代を生きた科学者たちが、互いにどう影響しあったかを丹念に描きだしている点です。時に刺激しあい、時に嫉妬し、時に反目しつつ、互いの発想を糧に、自らの着想を磨いていく「群像劇」として、物理学の国際的「コミュニティ」をここまで活き活きと描きだした作品は他にないと思います。
自ら量子論の種を蒔きながら、晩年にはコペンハーゲン解釈最大の障壁となって立ちはだかるアインシュタインと、コペンハーゲン解釈の始祖にして最大の擁護者たるボーア。この2人が直接衝突する第2部後半が本書のクライマックスといっていいでしょうが、私は、第2部の最後の1行に図らずも落涙しました。かくも強固な研究者としての執念、生き様と、アインシュタインとボーアの間に巡った数奇な運命に心底痺れました。このような3部構成を企んだ著者マンジット・クマールにも脱帽です。… 続きを見る
監督不行届 (Feelコミックス) 安野 モヨコ
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「監督不行届」は刊行と同時に買って、つねに寝室の本棚の特等席に並びつづけています(他には「平成よっぱらい研究所」など)。基本的に新婚さんの「おのろけエッセイマンガ」なのですが、その当事者は庵野秀明と安野モヨコ。「美人画報」などに顕著なように安野モヨコは自分自身にも批判的な思考の目を向けられる視点をしっかりと持った作家ですが、それが夫・庵野秀明に向けられていて、愛情たっぷりに容赦なく丸裸にしているのが痛快。庵野秀明を単に間近で眺めているだけでは、こんなに活き活きとえぐり出すことはできないでしょう。
一見、日常のできごとならべた日記風のつくりですが、かなり深くパートナーを観察しているのがわかります。私の周囲にもいろいろな夫婦がいますが、1組ごとにその関係はさまざまです。結婚してから読むのと、そうでないのでは、ずいぶんと味わいの違うマンガなのかもしれません。

たまーに、わが家の脇の路地をアンノ夫妻が散歩していくのをお見かけしますが、このマンガの通り仲良くお喋りしながら歩いていらっしゃいます。
進化――生命のたどる道 カール・ジンマー
進化――生命のたどる道 カール・ジンマー
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当代最高のサイエンスライターのひとりCarl Zimmerによる「The Tangled Bank: An Introduction to Evolution」の全訳。装丁は原書のデザインをベースにしつつ、より格調高く仕上がっています。岩波書店の面目躍如という印象です(専門書と割り切っていたら、無味乾燥になっていたかも。拍手)。
内容もすばらしい。高校生あたりまでを射程に入れたポピュラーサイエンスですが、分子レベルの生命科学によって展開した最新の進化生物学の知見までしっかりと納められています。その一方で、伝統的な古生物学によってもたらされる知識もバランス良く盛り込まれており、進化を巡る生命科学の最先端のランドスケープを一望できる最高のガイドブックになっています。図版も1枚1枚、どれをとっても美しいです。
14ある章は、どれもひとりの研究者の具体的な研究からはじまります。紹介される14人の研究者のほとんどは、現在、最先端で研究に没頭する人たちで、すばらしいアイディアとバイタリティで未知の原野を切り拓いていく様が活写されています。そうした研究によって、進化をめぐるさまざまな科学的取り組みが、今この瞬間にもダイナミックに進展しているのだという躍動感が伝わってきます。… 続きを見る