「森のテグー」は施川ユウキにとって新しいタイプの漫画だと思う。
顕著なのは舞台設定だ。「がんばれ酢めし疑獄!!」は無秩序にキャラが存在しベースとなるものはなかった。「サナギさん」は学校、「もずくウォーキング」は家族という集団が土台にあった。
この「森のテグー」での舞台は森の中の村。どこか閉鎖的ながら、今までより一回り広い社会である。その中には学校も家庭もあり、各キャラの関係性も友達、家族、村民、仕事仲間と様々だ。
さらに主人公のテグーはネコ。他にも動物たち、謎の生物も村民として生活しており、キャラモノの要素もある。
と、まるで過去の総括的な作品にも思えてくる。
村の生活を覗いて見ると、木の家に住み、青空の下で学んでいるという自然に溢れた暮らしをしている。そこはイメージ通り。
だが視点を変えれば。図書館や天文台などの研究的施設。また貨幣制度があり、町から行商が来るという文化の発達。村の名物である風車も、電力を売ることで村の財政を支えているという機能を果たしている。動物たちもやり取りだけなら人間と相違ない。
というように、非常に現実的な部分が浮き彫りになってくる。架空の社会を描くために、今まで描かなくても良かった設定が掘り下げられているせいだ。
何より奇妙なのが、村には人間もいることだ。森の外には当然、人間の村もあるはず。少なくとも電気を利用している文明が。となると、この未発達な森の存在は一体?…
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