Adobe Photoshop Lightroom 4 実践レビュー

ついに出ました、『Adobe Photoshop Lightroom 4』(以降LR4)。発売して間もないのにカスタマーレビューから評判の高さが伝わってきますね。自分自身、前バージョンLR3のユーザーということで、今回の最新版もできるだけ早く手に入れようと狙っていたのです。そのきっかけとなったのは発売前に製品デモを見る機会があり、より便利な機能が増えているという印象を受けたからです。この連載ではそれら新機能に注目して、実際に自分で撮影した写真を加工しながら使用感をお伝えしたいと思います。

この連載で実践する新機能
ハイライトとシャドウの復元
ビデオ編集のサポート
撮影した場所で写真を管理


ちなみに前バージョンのLR3に搭載されている機能はLR4に継承されています。Photoshop Lightroomの基本的な作業工程を知りたいという人は、過去5回にわたって連載した 「Photoshop Lightroom 3 実践レビュー」をご覧ください。
実践人
古澤(アマゾンジャパン):PCソフトストアのエディターを担当。使用カメラはミラーレス一眼の『OLYMPUS PEN E-PL1』で、所有レンズはセット品の17mm単焦点のみ。その他『RICOH GX100』を所有するライトユーザー。

使用マシンスペック
MacBook Pro 13インチ/OS:Mac OS X 10.6.5/CPU:2.53GHz Intel Core 2 Duo/メモリ:4GB/HDD:250GB/グラフィック:NVIDIA GeForce 9400M(VRAM256MB)

ハイライトとシャドウの復元ビデオ編集のサポート撮影した場所で写真を管理

連載 第1回
ハイライトとシャドウの復元とは?
写真における明るい部分をハイライト、暗い部分をシャドウといいます。「ハイライトとシャドウの復元」は文字通り、それらをコントロールする機能です。例えば天気の良い日中に撮影すると逆光状態になったり明暗のコントラストのきつい写真になったりしがちです。そういった写真の暗い部分、明るい部分をピンポイントで調整できるのがハイライトとシャドウの復元です。

※本連載で使用する画像は、左側が補正前、右側が補正後です。

使用例
・ハイライトの復元
曇天で空は白く飛び、日中なので影も多い写真を例に挙げます。まず基本補正メニューの“ハイライト”をマイナス側にスライドすると、雲のディテールがはっきり見えるようになります。



・シャドウの復元
さらに基本補正メニューの“シャドウ”をプラス側にスライドすると、影になっていた部分のディテールも見やすくなります。



以降、この機能を用いて、いくつかのシチュエーションで撮影した写真で実践し、どのように作用するのか確かめていきたいと思います。


実践

[料理]
お店での食事の美味しさを誰かに伝えたくて撮影した1枚。この写真もそうですが、店内の照明を頼りに撮影すると料理が暗く写ったり、かといってフラッシュを焚くと色彩が不自然でせっかくの美味しさが伝わらない写真になったりと、シチュエーションに悩まされている人が結構多いのではないでしょうか。この写真は窓から差し込む外光で撮影したものです。左の補正前の写真はソテーした肉に影が落ちてあまり美味しそうに見えませんが、シャドウの復元によって出来たての魅力が伝わる写真になりました。

↑補正前(左)は、料理が暗くてせっかくの美味しさが伝わらない。補正後(右)は暗く沈んでいた部分のディテールがはっきり見えて魅力的な料理になった


[風景]
強い陽射しの中、富士山を狙った1枚。非望遠なのでせっかくの富士山が豆粒サイズなのはご愛嬌です。この写真はコントラストが強く出ていたので、シャドウとハイライトの両方を緩和してみました。それだけではやや物足りなかったので、バランスを取るため、基本補正メニューの中の“露光量”をやや下げ、“白レベル” “黒レベル”を調整。たったこれだけで、空、海、松の色が甦り、まるで絵に描いたような風合いになりました。大判プリントで写真を引き伸ばす場合など作品感を出したいときに便利です。

↑基本補正の他のパラメータも多少調整しているものの、ハイライトとシャドウの復元によって、写真の印象度がグッと上がる例


↑実際に目で見た印象と異なり、霞がかったような写真にも効果的。基本補正メニューではホワイトバランスや露光量も手軽に調整できる


[夜景]
まずシャドウの復元に使ってみました。しかし、いまひとつピンときません。逆にシャドウを復元するよりもハイライトをプラス方向で調整すると主役の光が際立って夜景の存在感が増すように感じます。また夜景のポートレートでは、シャドウの復元で確かに被写体が見やすくなるのですが、写真としての出来映えが良くなる感じはしません。効果は限定的で、かといってやりすぎるとハイライトが飛んだり光の輪郭がぼやけたりするので、このパラメータだけに頼るのは禁物のようです。むしろ普通に露光量を上げる設定が有効です。とはいえ少なくとも自分は夜景でのカメラの腕を磨くところから始める必要がありますが。

↑ハイライトを限界まで上げてみたが、光がぼやけるだけであまり効果は感じない


↑露光量を上げた場合のほうが効果的で、写真の変化も見て取りやすい


考察
その他にも色々試してみたところ、この機能が本領発揮するのは黒潰れ・白飛びに見える部分の中に、実際はディテールが存在する場合です。本当の暗闇などに使用してもただ黒が薄まるばかりで、写真を甦らせるのとは意味が違ってきます。実践で挙げているように、料理、風景ではかなり効果的に作用しています。他のシーンでも意図しないハイライトやシャドウの補正に役立つはずです。とにかく、難しいことを考えずにワンタッチで補正できるのはLR4ならではの気軽さといえるでしょう。


おまけ
[部分補正]
基本補正メニューは写真全体に適用するだけでなく、写真の一部に適用することもできます。手順は、基本補正メニューの上部に位置するブラシのアイコンをクリックするとプルダウンでメニューが表示されるので、ブラシで補正範囲を選択した上で補正をするだけ。選択範囲はブラシの大きさを変えることで、大雑把にも細部にも対応できます。便利な機能なのでぜひ覚えておいてください。

↑写真左上、ブラシで選択したことで補正適用範囲が赤く表示される(赤い表示は「選択したマスクオーバレイを表示」にチェックを入れた場合のみ)


↑部分補正を適用したことで、写真下部はそのままに上部のみ補正できた。ハイライトとシャドウの復元だけでなく、ホワイトバランスなども局所的に修正可能

トチヤ先生のワンポイントアドバイス
 デジタル一眼レフカメラやミラーレスカメラで高品位な写真撮影を行う事が主流となり、RAWで撮影してそれを現像するのもこの5、6年で一般的になってきました。最近発売されているデジタルカメラは、非常に高い数値(ある意味では必要範囲外)での高感度撮影ができるようになり、厳しい環境下でもクオリティの高い撮影が行えるようになったと思います。そこで今回はワンポイントならぬ、ツーポイントアドバイスです。

 一番目は「ややアンダー目で撮影する」です。適正露出を計測してプロは撮影しますが、この時にアンダー目に撮影設定しておくと、後処理でディテールが浮かび上がるような絵作りが可能になります。特に風景写真や白の背景や服装、逆光下での環境の場合でも、RAWデータにはその情報がある限りにおいて、より見た目や撮影時の印象に近い絵作りができると思います。あとはLightroomの中で今回紹介しているハイライトやシャドウのパラメーターを設定することになります。

 そして二番目は、Camera Rawのバージョンについてです。RAWデータの現像処理をするアルゴリズムですが、前回のLightroom 3からバージョンアップしたLightroom 4では、Camera Rawのバージョンもあがりました。最新のCamera Raw 7では、その絵作りが前バージョンのものと異なり、メニュー名も変更されて旧バージョンをお使いのユーザーは戸惑う事もあると思います。従来の絵作りに慣れている方は、現像モジュールのカメラキャリブレーションパネルにある、処理を「2010」に設定すれば以前の名称、およびアルゴリズムでの設定が可能です。ただし最新の「Camera Raw 7」(2012 *現在)では、よりディテールの絵作りや部分的なホワイトバランスの設定、ノイズ除去などが行えます。特にハイライト側の白飛びがより「ねばり」がだせるようになったので、古澤さんの写真でもあった空や、白いワンピースを着た女性の風でなびいているスカート部分などは、より鮮明な絵作りが可能になるでしょう。

 ぜひ新しいRAW現像処理にチャレンジしてみてください。

トチヤ先生(アドビ システムズ株式会社):アドビシステムズでPhotoshopシリーズの製品を担当。

次回は、「ビデオ編集のサポート」をお送りします。6/11更新予定。


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