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RL-ロバート・ジョンスンを読む アメリカ南部が生んだブルース超人 (CD付) (P‐Vine BOOKs)
RL-ロバート・ジョンスンを読む アメリカ南部が生んだブルース超人 (CD付) (P‐Vine BOOKs)
日暮泰文著
エディション: 単行本
価格: ¥ 3,990

8 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 伝説の生まれる時代の空気をパッキングした「読む時間旅行」, 2011/8/8
現在に至るまで数多くのロック/ブルースアーティストに多大な影響を与えながらも、
残された音源はたった29曲、数奇で短い生涯、ともすればフォークロアとも解釈されてしまうような多くの逸話とも相まって
伝説的存在となっているロバート・ジョンスン。

わずかに残された断片的な証言・証拠を紡ぎ合わせながら、
半生をブルースの伝搬に費やしてきた著者ならではの説得力のある推論も交えつつ、
ロバート・ジョンスン自身の音楽的革新性、人間性にとどまることなく、
彼の生きていた1910〜1930年代の南部デルタ地帯の生活、風習、宗教、文化などといった
その背景までをも鮮やかに描ききる。

いわゆる研究書のような堅苦しさが感じられないのは、
書籍自体のメタ・ノンフィクションともいうべき、モザイク状に散りばめられた全体構成によるものもあろうが、
それ以上に、ロバート・ジョンスンというブルースを発信する側、アーティストサイドについての考察を深めていく一方で、
受信する側、過酷な労働を終え土曜の夜にジューク・ジョイントにあつまる黒人オーディエンスへの考察も同時に深めていく著者の視線にあろうかと思う。
当時の「聞き手」に関する考察を深めていく過程で、謎多きロバート・ジョンスンの陰影もより深いものになっていく。

遠く離れたアフリカの追憶と奴隷主より与えられたキリスト教的世界観、定住する過酷な労働を捨て放浪生活を送りながら、まさしくその捨てたはずの綿花畑で辛い労働に勤しむ者たちと心を共有するブルース、それら相反する葛藤を深く包み込む広大なミシシッピ・デルタのむせ返るような熱気が、ロバート・ジョンスンに透けて見える「悪魔」なのだろう。

容易には取り上げられぬ、自分のような一般人にはなかなかなじみのないアメリカ南部デルタ地帯の、
極めてマイナーな旅行ガイドとしても秀逸。

録音複製物による産業が斜陽になっていると言われる昨今、まさにその録音複製物を深く深く掘り下げていくことでこれほどまでに豊饒な世界を描きだす著者の姿勢は、ブルースに留まらず、音楽と個人との関係性を考える上で、深く考えさせられるものである。

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